金子駆大の「ライン出し」講座<後編>「右手のひらで地面を押さえ込む」

低い球でピンを直線的に狙う「ライン出し」ショット。前回はアドレスのポイントについて教わったが、今回は引き続き、打ち方で注意すべき点を教えてもらった。
PHOTO/ARAKISHIN THAKNS/知多カントリークラブ


解説/金子駆大
かねこ・こうた。2002年生まれ。愛知県出身。2020年にツアープレーヤーに転向。今年の「関西オープン」で悲願のツアー初優勝を手にした。ツアー屈指のショットメーカーでアイアンが最大の武器
>>前編はこちら
- ショートアイアンの距離でグリーンを狙っていくうえで、覚えておくと役に立つのが「ライン出し」。風の影響も受けず、低い球でピンを直線的に狙うショットのポイントについて、アイアン名手の金子駆大がわかりやすく解説! PHOTO/ARAKISHIN THAKNS/知多カントリークラブ 解説/金子駆大 かねこ・こうた。2002年生まれ。愛知県出身。……
右手で地面を押さえ込む
――次に具体的な打ち方を教えてもらえますか。
金子 ポイントは右手です。トップからインパクトにかけて右手のひらで地面を押さえ込むように振り下ろします。そしてインパクトからはボールを押し込むように、ややロフトを立てながら当てていくイメージです。
――フェース面を閉じる動きですか?
金子 少し違います。閉じてしまうと引っかけるので、あくまでロフトを立てて当てるイメージです。ライン出しは出球を低くしたいので、この感覚を強く持つようにしてください。インパクトでボールを長く押し込めるようになるのでライン出しのイメージが必ず湧いてきます。手首を返すことなく、アドレス時の右手首の角度を保ったままフォローまで振り抜いていくことで、ライナー性の真っすぐなボールが打てるようになりますよ。

体の回転に沿って手元を動かし、手首を返す動きは入れない
左腕を伸ばせば体は自然と回転する
――ほかにもライン出しショットの注意点があれば教えてください。
金子 インパクトはもちろんですが、スウィング全体が緩まないようにしなければなりません。なぜならボールを低く抑えたライナー性の弾道を打つうえで、スウィングが緩むとコントロールが難しくなるからです。そこでもう1つのポイントが左腕です。アドレスからテークバックまで左腕をピーンと伸ばしたままにします。その状態を保ったままインパクトする意識を持っておきます。これができると、自然に締まったコンパクトなトップにもなりスウィングが緩むことはありません。
――左腕を伸ばそうとすると力みそうですが。
金子 腕だけで上げようとするから力むんです。アドレスで伸ばした左腕は何もしないで胴体を回転させるだけでいいですよ。
右手のひらを地面に向ける

湧いてコントロールしやすくなる
胸でボールを打つイメージ

トップは小さくフォローは大きめ
――金子プロは右手でボールを押さえ込むと表現していましたが、打ち込むということでしょうか。
金子 軌道は確かにダウンブローで上から下にヘッドを動かしますが、始めに説明したようにアドレスで少し左へ重心が移っているので、勝手に打ち込む体勢になっています。
――では、フォローは小さくなるのでしょうか。
金子 いえ、そんなことはありません。打ち込むからといって小さくすると、体が突っ込んでしまい逆にボールが吹き上がりコントロールできません。ボクのイメージでは、トップはコンパクトにして、フォローを大きく取っています。
――どうしてですか?
金子 トップをコンパクトにしてフォローを大きくして飛ばそうとすると、インパクト以降もヘッドを加速させるイメージになりますよね。そうなるとインパクトで緩まず振り切れるんです。ライン出しショットでやってはいけないことは“緩み”です。それを排除できれば誰でもピンを一直線に狙い打てるライン出しショットができるようになりますよ。

金子駆大のお手本スウィング
週刊ゴルフダイジェスト2025年6月17日号より