スコアが伸びる“頑張り方”<前編>プロはミスしたあとほど「安全運転」を徹底していた

「よし、ここは頑張るぞ!」ダボを叩いた後、ベストスコアが見えたとき、つい口にしがちな言葉だが、頑張ろうとして上手くいった経験はあるだろうか? プロゴルファーの言う「頑張る」の概念を参考に、1打でも良いスコアで上がるための正しい“頑張り”方を学んでいこう。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara、Shinji Osawa ILLUST/Saekichi Kojima

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- プロは“頑張りたい”状況のときほど、無理をせず安全運転を心がけるというが、具体的にどのようなことを考えてショットを打っていくのか。マネジメントの鬼・青木瀬令奈プロと、コーチの大西翔太氏に話を聞いた。 TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara、Shinji Osawa ILLUST/Saekichi Kojima ……
無理をすることが「頑張る」ではない!
大叩きの後や目標スコアが見えてきたときなどは「頑張るぞ!」と気合を入れるのがゴルファーの常。しかし「頑張る」つもりはあっても、思惑通りのナイスプレーやバウンスバックはできた試しがない。
一方プロの試合を見ていると、ボギーの後にバーディを奪ってバウンスバックし流れに乗っていく場面は多いし、優勝争いで気合の入った「頑張り」を見せるプロも多い。
この差はいったい何なのか。プロたちに話を聞いてみた。
まずわかったのは「頑張り」には2種類あるようだということ。1つはボギーを打った後やミスの後の「頑張り」、もう1つは優勝争いや予選カットラインでの「頑張り」で、この2つはニュアンスが違ってくる。
前者については、ほぼすべてのプロが、ミスをしない、ボギーを重ねないことを最重視した「安全運転」だと話す。普段やらないことをしない、無理をしないことを前提に、マネジメントを再確認して確実にパーを取って流れを引き戻す。これがプロの「頑張る」の正体なのだ。
後者の「頑張る」については、ボギーのリスクを覚悟してバーディやイーグルを狙う、ややギャンブル性のある「頑張り」だ。ただしこの「頑張り」はしないというプロもいて、するという人も普段は100%ではない出力を抑えたプレーをしていて、そこからギアを上げる感覚だという。
翻って我々アマチュアの場合、ダボやトリの後の「頑張り」、ミスした後の「頑張り」は、「取り返そう」という欲が強いケースが多いのではないだろうか。平均スコアが90の人にとってのパーは、プロにとってのバーディに等しいが、それを狙いにいってはいまいか。
またベストスコアが見えたときの「頑張り」は、120%の力を出そうとしてはいまいか。普段から100%でプレーしている人がそれより出力を上げれば、空回りしてむしろミスのリスクが高まるのみ。まずはこの根本的なズレを再確認する必要がありそうだ。
アマチュアの“頑張る”
=実力以上の力を出そうとしがち!

アマチュアの多くは、実力以上の力を発揮して「取り返そう」と欲張るケースが多いが、これはプロの感覚では「頑張る」ではなく無謀なギャンブル。成功率が低いのも当然だろう
プロの“頑張る”
=無理せずパーセーブが基本だった!

取材したプロ全員が、ボギーやミスの後には、ミスを重ねないように安全運転でパーを取りにいくと回答。「普通にやればパーが取れる」実力を確実に発揮することが「頑張る」の正体だ
ミスした後は「頑張りすぎない」(青木瀬令奈)
優勝争いでは気合で「頑張る」感覚はありますが技術的に難しいことはしません。ミスした後の「頑張る」は、むしろ「頑張りすぎない」ようにしています。クールダウンして一歩引いて見て、確実にパーを取る。そのなかで、大事なショットでは、ライの判断や風の読みなどに普段よりエネルギーを割いて「頑張る」んです

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- プロは“頑張りたい”状況のときほど、無理をせず安全運転を心がけるというが、具体的にどのようなことを考えてショットを打っていくのか。マネジメントの鬼・青木瀬令奈プロと、コーチの大西翔太氏に話を聞いた。 TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara、Shinji Osawa ILLUST/Saekichi Kojima ……
月刊ゴルフダイジェスト2025年7月号より