【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.33 スウィング作りからショートゲームまで 青木コーチの教えをおさらい

「競技ゴルファータニシゲ」のシーズン2は今回で一区切り。プロ野球の解説で大忙しの谷繁だが、競技ゴルフもこれからがシーズンイン。今回はシーズン2の「谷繁メモ」を振り返る。
PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/裾野CC、六甲国際ゴルフレンジ

青木翔 1983年福岡県生まれ。2017年渋野日向子を全英女子オープン優勝に導いたコーチ。2020年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。ジュニアから一般アマチュアまで幅広く指導。「六甲国際ゴルフアカデミー」校長
>>前回のお話はこちら
- 青木レッスンも佳境に入り、コースでの実践編となったが、青木のUTアプローチを見て谷繁の目がキラリ。まだ新しい技術を習得する気満々のようだ。今週も引き続き裾野CCでのラウンドレッスン。青木も打ちながらの“対決形式”だ。 PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/裾野CC 谷繁元信 1970年広島県生まれ。88年ドラフト1位で横浜大洋ホエールズ入団。02年中日ドラ……
忘却のスポーツだから
反復練習が大事
青木 シーズン2も谷繁メモは増える一方でしたね。
谷繁 ちょっと復習をしておこう。ゴルフは忘却のスポーツだから。
青木 まず、ドライバーとアイアン。ドライバーがいいとアイアンが悪いというゴルファーあるある現象の正体がわかりましたよね。
谷繁 クラブは最下点に向けて振り下ろすんだけど、長さが違うから最下点も違う。僕はドライバーショットのとき、アドレスで左かかと延長線上に置いたボールをじーっと見てしまい、そこに向けてクラブを振り下ろしていた。でも、青木さんのアドバイスで、ドライバーの最下点である左耳延長線上を意識するようにし、そこに向けてドライバーを振り下ろす感じにしたら自然とアッパー軌道になった。一方、アイアンはクラブの最下点がボール位置よりやや先だから、意識もボールよりやや先。
青木 その通りです。アイアンでトップやダフリが出やすい人は、練習の際にボール位置の少し先にテープを張ったり印を付けたりして、そこに向けて振る練習をしてみるのもいいですね。
谷繁 あと、ドライバーショットの際の下半身の粘りの大切さ。粘りがある松坂大輔が飛ばせる理屈もわかった(笑)。
青木 野球選手、特にバッターの人に出やすい、良くないクセが谷繁さんにも出ていました。ゴルフではダウンスウィング時に左サイドに壁を作り、インパクトで体重をぶつけるイメージで上体をねじりたい。それを野球選手は体を開いてパワーを逃がしちゃうんです。
谷繁 そこでドリル登場。
青木 普通にアドレスして右足を20センチほど引いてクローズスタンスにします。そのとき、右足のかかとは上げます。クラブを両手で持ち、右手はグリップエンド付近を押さえ、左手はヘッドのソール部分を押さえる。この持ち方、このスタンスでトップからダウンスウィング、フォロースルーまでやる。
谷繁 この動きだと左足を引いてパワーを逃がすことは不可能ですもんね。このドリル、けっこう実践しています。

ドライバー上体突っ込み防止ドリル
クラブの両端を押さえ、トップからダウンスウィング、フォロースルーまでやる。右足を20センチほど引いたクローズスタンスで行う
青木 谷繁さんは器用なのでどうしても手元で調整しようとしてしまうんですが、バンカーショットもそうでしたね。
谷繁 手元の強弱で距離感を作っていたけど、青木さんがフェースの開閉で距離感を作るようアドバイスをくれた。
青木 そのためにバンカーから“出さない練習”を伝授しました。フェースを思い切り開いて打って、球のスピードが出ないようにして打つ。それから徐々に閉じて「これぐらい開くと球はこれぐらい」「これだけ閉じるとこれぐらい」という感覚を体に染み込ませていくというやり方です。
谷繁 距離感の調整はフェースの開閉でする。そのためにはもっともっと練習が必要、と。
青木 あと、谷繁さんはアプローチの際にボール位置からジワジワと離れるクセがありました。手元で調整をしたいという意識からだと思いましたが、パットの際は逆にボールに近づく傾向にありました。
谷繁 指摘されるまで気付かなかったです。正しいアドレスを取るには、左腕とシャフトを一直線に、でしたよね。で、ひじは軽く曲げて……チェックポイントが多い。でも、あれがあるじゃない。あの、簡単なやり方(笑)。
青木 両腕を左右に広げて、ひじを少し落としてわきを締める。そこから両方の手のひらを体の前でパチンと合わせる。そして前傾して、グリップを握る。これでOK。
谷繁 最近、グリーン上でこの動き、けっこうやっています。

パットのアドレスの前傾を確認する動き
両腕を左右に広げて、ひじを少し落としてわきを締める。両方の手のひらを体の前で合わせ、前傾して、グリップを握る
青木 いいですね。これで今年、谷繁さんが何かタイトルを取ってくれれば……。
谷繁 急にまとめに入った。
青木 谷繁さんの1勝は、指導しているプロゴルファーの1勝と同じだと思っています。
谷繁 じゃあ何かの大会で優勝しないと……。大きめのコンペ優勝とかじゃダメかな?
青木 ダメです! 大会での優勝。報告をお待ちしています。
谷繁 じゃあ、僕の競技情報は週刊ゴルフダイジェストでも逐次報告していきます。
青木・GD 勝つまで追っかけます!
週刊ゴルフダイジェスト2025年5月13日・20日合併号より
CS放送のGAORAでは「谷繁元信×青木翔の勝つゴルフノート」がオンエア中