【教えて! なっち先生】Vol.8 トップは「高く」「深い」ほうが有利だが…忘れてはいけない超重要な部位とは?

飛距離アップのためには「飛ばしに必要な要素を取り入れること、そして、それを無理なく取り入れるための下半身の踏ん張りが必要です」とプロゴルファーの大谷奈千代は言う。詳しく教えてもらおう!

>>前回のお話はこちら
- スウィング中のバランスを保つことは、ショットの安定性を保つためにも非常に重要。プロゴルファー・大谷奈千代は、正しい立ち方がわかっていれば、体重を乗せる正しい位置、そして体重移動の仕方もわかってくると言う。詳しく話を聞いてみよう! 人が正しい姿勢で真っすぐ立つためには、母趾球、小趾球、かかとの3点で体重を支える必要がある。ゴルフでは前傾姿勢を取るため、とくに母趾球がバランスを保つため……
Lesson 8
飛ばしに必要な2つの要素と
注意すべきポイント
ドライバーショットではとにかく1ヤードでも遠くに飛ばしたいですね。スウィングを見る時、クラブの通り道以外にもトップの大きさは気になるチェックポイントの1つになります。
トップとは、手元やクラブが高い位置に収まって、ダウンスウィングに向かって位置エネルギーが貯蓄された大切なポジションのことを言います。
今回は、そんなスウィングの大きさと飛距離アップの要素についてまとめてみました。
まずトップでは手元の位置が高いほうが位置エネルギーが溜まっていると言えます。これは身長が低い人より高い人のほうが有利な理由でもあります。同じ身長であっても、クラブの通り道がアップライトで手元が高いほうが有利であるということでもあります。
さらに、トップはスウィングの切り返し地点です。ゴルフスウィングは回転運動なので、トップの回転が深いほどクラブの運動量も体の捻転量も大きくなり、飛距離を出すのに有利になります。
しかし、飛ばしに有利な2つの要素も、注意が必要です。一般的にオーバースウィングは振りすぎと言われ、エラーの評価の対象になってしまいます。トップの位置を必要以上に高くしすぎてしまうと、自然な回転運動を損なってしまうので効率が悪くなってしまうのです。
また、大きく回転しすぎても、捻転を受け止めるための体の右サイドのテンションが抜けてしまうため、スウェイのエラーを起こしてしまいます。
ほかにも前傾姿勢を保てなくなって、軸ブレを起こしてしまったり、重心のポジションといったバランスも崩しやすくなってしまうため、エネルギーを溜め込むことができなくなってしまうだけでなく、再現性の面でも不利になってしまいます。
このように、飛ばしに有利ないいトップの位置を求めて、手元をより高く上げて、より回転を深くしても、自分に合った筋力や関節の可動域などの範囲外で、無理に大きなトップを作ろうとしてしまうと、逆効果になってしまうので注意が必要です。

飛ばしのエネルギーは
股関節が生み出す
ゴルフスウィングの成功は股関節と胸椎(胸付近の背骨)の2つの関節を正しく使えるかどうかにあります。下半身は上下に動き、上半身は回転する動きをします。体の使い方を上下左右に分離して考えていきましょう!
捻転を受け止めるには下半身の上下方向の踏ん張りが必要です。重たいものを持ち上げるときの体勢と同じで(下のイラストA)、アドレスでは股関節を折り込んで(屈曲)腰の入った状態を維持しましょう。これをスクワットの要領で10回ほど行いましょう。
そして、下半身の左右方向への踏ん張りも必要になります。腰の入った状態で、右を向きます。腰周りが安定することで頚椎(首の骨)と胸椎が回旋してくれるようになり、体に必要な関節の捻転を確保することができます(下のイラストB)。これを左右10セット行いましょう。
パワーの源は股関節! 捻転は胸椎の回旋です。力強いスウィングのために必要な可動域を確保しておきましょう!


大谷奈千代
1984年、神戸市出身。JLPGAトーナメントプロ&ティーチングA級。関西を中心にレッスン活動を行う
週刊ゴルフダイジェスト2025年5月13・20日合併号より