【南出仁寛の千日回峰行】Vol.6 上体の起き上がり克服に光明!

シニア入りを機にツアープロ転身を目指す南出仁寛プロの修行の旅。前回、切り返しで「みぞおちから曲げる」動きは、腹部にパンチをもらって耐える感覚に近いとわかった南出。長年の癖である、インパクトでの起き上がりはついに直るのか?
PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/KEN HORIO GOLF ACADEMY


ゴルフ修行僧/南出仁寛
みなみで・きみひろ。78年生まれ、大阪府出身。06年にプロ転向。ドラコン日本タイトル15冠。世界大会は11度出場し、最高成績は10位(日本人最上位)。シニアツアー出場資格年齢まであと4年
今月の「師僧」/勝又優美
かつまた・ゆみ。一般企業就職後にゴルフの魅力に取りつかれ、ティーチングプロを目指す。2010年、JLPGAティーチングプロ、13年、同A級を取得。最新機器を駆使し、きめ細やかなレッスンに定評がある

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- シニア入りを機にツアープロ転身を目指す南出仁寛プロの修行の旅。前回、「GEARS」による計測で、切り返し直後の「Xファクター」の数値が小さいことが判明した南出。数値増大のカギは上体を「起こさない」ことだというが……。 PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/KEN HORIO GOLF ACADEMY ゴルフ修行僧/南出仁寛 ……
右わき腹は縮むが
右腰は下げない
南出 切り返しでみぞおちのところから曲げるときに、右サイドは縮める? 縮めない?
勝又 腰の右サイドは下げないほうがよくて、右肩もなるべく落とさないほうがいいです。みぞおちから前屈するときには、腰はもう回転を始めていますから、そこで引っ張り合いが起きて、結果的に右のわき腹が縮む(側屈する)感じですね。
南出 右腰の高さは保ったまま、体を右に傾けないで、右わき腹は縮めるってことですか。あかん、わきがつりそうやわ。
勝又 右腰を下げないというのは意外と重要で、なんでかというと骨盤が水平じゃないとフォローに向かってスムーズに腰が回転しないからなんです。前回も言いましたけど、切り返しでみぞおちから前屈して、手がある程度下りたら、そこからはただ真横に回ります。このときに、骨盤が傾いていると腰を先行回転させられないので、上体が詰まって起き上がることになるわけですね。
南出 途中から真横に回ると、感覚としてはカットになるんですが、それでいいんですか?
勝又 それでいいんです。データを取ると、それでほとんど真っすぐになると思います。
南出 ドローボールでつかまえるイメージだと、そこまで腰は切らないんで、腰を先に切るのは球がどっか行きそうで怖いです。
勝又 PGAツアーの選手はみんな思い切り腰を切ってるので、そこは南出さんにも我慢してやってもらわないと(笑)。
南出 ただ、腰を切ることで右の腹直筋が縮んで、右肩と右腰の距離が縮む感覚はわかりました。
南出「胸を起こさないで腕を振るのがとにかくムズい!」
渡邊「ボールを地面に叩きつけるイメージですよ」

Point
手が下りたら体を真横に回転

Drill
右ひじを内側に絞って下ろす

切り返しの瞬間、腰が先行回転するのに対して、上体は前屈するだけで回転しないため、上半身と下半身で引っ張り合いが生じる。このとき、右わき腹が縮んで肩と腰が接近する。右ひじを絞る形でわき腹につけると、クラブが縦に下りる
インパクト時の起き上がりが改善!
最後に取ったデータでは、インパクトでまだ上体はやや起きていたものの、最初のデータと比べると明らかな改善が見られた。感覚をつかんだら、あとは反復して体に覚えさせるのみ。
【Before】
上体上部がかなり起きていた

【After】
上体上部の前傾が約6度深くなった


PGAツアー平均は40度以上!
PGAツアー選手の前傾が深いのは、腰の強い水平回転で上半身を引っ張ることにより、起き上がりが抑制されるから
月刊ゴルフダイジェスト2025年6月号より