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【イザワの法則】Vol.55 ピンを狙うか、狙わないか…「境界となる距離」を決めておこう

プロでさえ、常にピンを狙っているわけではなく、残り距離やグリーンの状況、ライなどによって、十分なリスクヘッジをした狙い方をしている。アマチュアはどのくらい積極的にピンを狙っていいのだろうか?

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

>>前回のお話はこちら

  • アドレスで肩、腰、足元のラインをすべて「スクエア」にしないと、真っすぐなボールは打てないと思い込んでいるアマチュアは多い。しかし、「それよりももっと大事なことがある」と、伊澤プロは言う TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM) >>……

キャリーだけでなく
落ちてから転がる距離も把握しておこう

スコアの良しあしを決める要素のひとつに、グリーンに向かって打つショットの「狙い方」があります。アマチュアの中には、どんなときでもピンを目がけて真っすぐ狙っていく人が多い印象ですが、それだとスコアはまとまりません。まず大事なのはそれぞれの番手のキャリーの把握ですが、それと同じくらい大事なのが、落ちてから「どれくらい転がるか」を知っておくことでしょう。

たとえば、残りが100Yしかなくても、100Yキャリーするクラブで打ったら5~6Y転がってしまう人の場合は、ピン位置によっては花道から転がし上げる狙い方が必要になります。ピッチングウェッジで打つからといって、いつでもピンの根元を狙って打てばいいというわけではないんです。 

私の場合は、ピンを狙うかどうかの境目の距離が190Yくらい、番手で言うと5番アイアンくらいになります。もちろんライや風、グリーンの硬さ、ピン位置によっても変わりますが、基本的に190Yくらいは「グリーンに乗せること」を優先して打ちます。ピンを狙うとしても、リスクヘッジしたフェードで、もし曲がらなくても大ケガにならない方向に打っていく感じです。もう少し具体的な例で言うと、グリーンの左にカップが切ってあったら、ピン方向から曲がるフェードで、なおかつ10Yも曲がったりはしない球筋で打てば、最低でもグリーンに乗る計算ということですね。


たとえ1mのパットでも
「入る」とは決めつけない

アマチュアの場合も、100Yとか120Yとか、自分の腕前と球筋に応じて「ピンを狙う距離の境目」を決めてプレーするのがいいと思います。あるいは、ピンを狙う「番手」の境目でもいいかもしれません。8番以下で打てる距離が残ったらピンを狙う、7番以上の距離だったらグリーンセンターを狙うという感じですね。ただし、ストロングロフトアイアンとディスタンス系のボールの組み合わせだと、短い番手で打っても落ちてからかなり転がってしまうことが多いので、必ずそれを考慮に入れた決め方をしてください。

アプローチやパットにも「狙い方」はあります。グリーン周りのアプローチだと、「プロはどんなときでもカップインを狙っているんですよね?」なんて言う人がいますが、そんなことはありません。現実は、5~6Yの距離でライがいい状況に限り、「入ってくれたらいい」くらいのつもりで打っています。パッティングも同じで、10メートルのパットはそう入りませんから、「お先に」ができる距離に寄せることが優先。また、傾斜があるグリーンなら、カップの上には残さないことも大事。4~5メートルくらいのパットは、上りで、カップ1個程度曲がるラインなら「入れたい」と思って打ちます。

でも、下りだったり、カップ5個も曲がるラインなら、「入ればラッキー」くらいの気持ち。1メートルのパットは、95%は入ると思って打ちますが、曲がるラインは外れることもあるので、自信は持ちつつ、「入る」と決めつけないようにはしています。

「ウェッジで打つ場合でも
ピンの根元を狙うかどうかはグリーンの硬さ次第」

やみくもにピンを狙わない!

グリーン周りのアプローチでは、グリップの真ん中くらいを握ると、クラブコントロールがしやすくなる。カップインを狙うショットの場合はそれよりも短く、シャフトに近いところを握って、手首をなるべく使わずに打っていく

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2025年6月号より