Myゴルフダイジェスト

【ゴルフの急所】Vol.47 “スコアの壁”を乗り越える方法は?

30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。

PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/美奈木GC

前回のお話はこちら


ここ数年80の壁を破れずにいます。自分では、それなりに情報を収集して練習もしているつもりなのですが、スコアが思うように伸びてくれません。壁にぶつかったとき、乗り越えるにはどうしたらいいのでしょうか。(山本隆さん・55歳・HC12)


壁にぶつかったとき、どうしたらいいか。これは、ボクの弟子や生徒さんにもよく聞かれる質問です。そんなときボクが必ず言うのは、「(その壁を乗り越えるために)自分に何が足りないのかを書き出しなさい」ということです。

80が切れないのであれば、70台のスコアが出る人と自分を比べて、何が自分に足りないのか。それはドライバーの飛距離なのか、正確性なのか、アイアンやアプローチの精度なのか手数(ショットの種類)なのか、パターなのか、マネジメントなのか、体力なのか、心なのか。ひとつひとつ書き出していくのです。


質問者の方のように、スコアやハンディを目標にする人は多いと思います。しかし、ただ漠然と数字を目標にしていても、それを達成する答えは見つかりません。なぜなら、それだけでは目標を達成するために自分が何をすべきかが見えてこないからです。

そこで必要になるのが、自分に足りないものを書き出すという作業です。自分に足りないものがわかれば、今すべきこと、これからやらなくてはいけないことが見えてきます。あとは、その具体的な課題をひとつひとつクリアしていく。そうすれば、自ずと目標を達成する道筋にたどり着けるというわけです。

同時に、自分が一番得意としているものを書き出しておくことも大切です。80台のスコアが出る人であれば、得意としているものが必ずあるはず。それを具体的に書き出したら、より自信をつけるために、それを伸ばす訓練をするのです。

人間である限り、常に同じ状態でプレーすることはできません。いいときもあれば悪いときもある。いいえ、むしろゴルフは、思うようにプレーできない日のほうが多い競技だと思います。

迷ったとき、プレッシャーがかかったとき、追い込まれたとき、自分を救ってくれるのは、自分が得意としている切り札であり、それを磨いてきたという自負です。目標を達成するためには、欠点を克服することも大切ですが、得意なものを伸ばすことがとても大切なのです。

最後に。自慢をするわけではありませんが、ボクは壁というものを感じたことがありません。ゴルフを始めた頃(30歳になる頃)には100も叩きましたが、間もなく80台、70台、60台のスコアが出るようになっていたからです。

ただ、それには今回お話ししてきたような考え方で、目の前の課題をひとつひとつ克服してきたことが大きかったような気がします。質問者の方も、まずはボクの方法を試してみてください。きっと新しい発見があると思いますよ。

寺西流「壁を乗り越える方法」
① まず、自分に足りないものを書き出す
② 足りないものを克服するにはどうしたらいいかを考え、そのための練習をする(わからないときはプロに相談する)
③ 同時に、自分が得意としているものを書き出す
④ 得意なものにより自信をつけるための練習を繰り返す

「よく、『シングルになるためにはトラック1杯分の球を打て』などと言われますが、ただ単に球数を増やしてもゴルフは上手くなりません。ゴルフが上手くなりたいのであれば、自分に足りないものを書き出し、それを克服するためには何をすべきかを考えて、そのための練習をするようにしてください」

常に本番を意識した練習をしよう

「壁を破るには常に本番を意識して練習することも大切です。本番は一球しか打てないのですから、一球一球アドレスをほどき、セットアップして球を打つ。一球ごとに番手を変える。一球ごとに目標を変える。コースの景色を想像しながら球を打つなどの練習を習慣づけるのです。また、練習場では同じ打席で打たないようにします。そうすることで、コースで出合う様々な景色、苦手な景色にも対応しやすくなると思いますよ」

月刊ゴルフダイジェスト2025年2月号より

寺西明のゴルフの神髄が凝縮!
『30歳からゴルフを始めた賞金王』好評発売中