水谷花那子の20Yアップ計画<後編>自然なアッパー軌道とスクエアインパクトを身に付けるコツがわかった!
飛距離に悩むゴルル・水谷花那子のレッスン後半戦。軸のブレとフェースの開きが飛ばない原因だということはわかったが、どうすれば改善できるのか? 体の使い方やオススメの練習法をレクチャー。
PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos THANKS/広尾ゴルフインパクト
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- スウイングはきれいなのに、ドライバーの飛距離は160Yほどと思うように飛ばせないゴルルの水谷花那子。そこで飛ばしのレッスンを得意とする服部公翼プロに相談してみると、プラス10~20Yは十分に可能とのこと。果たしてどこに問題があるのか? PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos THANKS/広尾ゴルフインパクト 服部……
軸回転でアッパーに当てよう
水谷 原因はわかりました。飛ばしレッスン、お願いします。
服部 まずはスウィング軌道を見直していきましょう。クラブの最下点はわかりますか?
水谷 クラブヘッドが最も低くなる場所ですよね。
服部 その通りです。この最下点は、おおむね頭の下になります。つまり頭のある位置にヘッドは落ちるということです。ドライバーの場合、左にボールがあり、さらにティーアップしていますから普通に振ればアッパー軌道になります。それが水谷さんは、左への体重移動が大きく、ヘッドが上から入るダウンブローになっているんです。
水谷 頭が左に動いているわけですね。実はボールが上がらないってずっと感じていました。
服部 スウィングにおいて体重移動は必要ですが、大きすぎる移動はかえって軸がブレてしまい、インパクトが安定しないというデメリットになります。
水谷 でも、体重移動したほうが飛ぶんじゃないですか?
服部 確かにそうです。自分の体重が加えられれば、ボール初速も上がります。水谷さんもぶっ飛んだ経験はありますよね?
水谷 200Y近くまで、激飛びしたことがあります。
服部 今のクラブはヘッドが大型化し、シャフトも長くなっています。当然、飛距離性能が高いわけですが、芯で打つのが難しい側面もあります。ですので、クラブの性能を引き出すには体重移動より、その場でクルッと回る、軸回転のほうが相性はいいんです。
水谷 どう回るのですか?
服部 脚を使います。足踏みするようにひざを使えば、骨盤は簡単に回せます。この脚使いを身に付ければ、軸が安定し、アッパーで強いボールが打てますよ。
体重移動が強いと頭が左に動く
最下点が左にズレ、ダウンブロー軌道に
「水谷さんは左への体重移動が大きい(体の突っ込み)。頭が左に動くと最下点も左になるのでダウンブロー軌道に。これでは球が上がらない、キャリーが出ない、飛距離も伸びません」
脚を動かすと軸はブレない
頭が残ったアッパー軌道になる
「腕を振ると上半身は暴れます。軸をブラさないためには脚を使いましょう。アドレスの位置に頭が残っていれば、軌道は自然にアッパーになり、球の高さが出てキャリーが伸びます」
Point
テークバックで右ひざを伸ばし
インパクトに向かって左ひざを伸ばす
「イメージは足踏みです。テークバックでは右ひざを伸ばし、インパクトに向かって左ひざを伸ばします。多少ヒールアップしても問題ナシ。脚を積極的に使っても軸は安定します。歩くのと同じです」
背中の使い方で
フェースコントロール
水谷 体重移動ではなく、軸回転。イメージがつかめてきました。もうひとつの原因は、フェースが開くことでしたね。
服部 これも今のクラブにマッチした理論になります。
水谷 難しい理論は苦手です。わかりやすくお願いします。
服部 クラブは野球のバットと違い、すべて偏重心です。簡単に言えば、シャフト軸線上の右側に重心があるわけです。そしてクラブの中で最もヘッドが大きいのがドライバーです。ということは、大型ヘッドは、右に回りやすいのです。
水谷 右に回りやすい……。
服部 つまりドライバーはフェースが開きやすいんです。
水谷 あっ なるほど。ようやく理解しました。
服部 クラブ全般に言えることですが、とくにドライバーはフェース面の管理が重要になります。フェースは開かせない、あるいは閉じたまま使う、そういう意識が必要です。できるだけフェースの開閉
を抑えること。これがドライバーを使いこなす大きなテーマになります。
水谷 わかりました。どうすれば、フェースは閉じますか?
服部 まずは手や腕を使わないこと。手元が先行するほど、フェースは開くからです。そのうえで意識してほしいのが「背中を丸める」イメージです。
水谷 背中を丸める? 猫背になるってことですか?
服部 猫背だと姿勢が悪化する可能性があるので「背中を丸める」がベストです。背中が丸い状態が作れるといいことが2つあります。ひとつは水谷さんの欠点だった肩の開きが抑えられること。もうひとつは腕と体が一体化しやすくなります。その結果、手打ちが防げるんです。前述した脚を使った軸回転、そして背中を丸めたインパクト。この2つを組み合わせれば、飛距離アップへの道がきっと開けますよ。
水谷 やる気が出てきました!
肩の開きが早いと振り遅れる
フェースが開きインパクトが弱くなる
「左肩が早く開くと振り遅れになり、フェースが開きます。フェースオープンではボールがつかまらず、飛距離も出ません。体の正面で球をとらえられないのでインパクト効率も悪いです」
背中を丸めれば肩は開かない
フェースが閉じインパクトが強くなる
「背中を丸めてインパクトできれば、肩が開くことはありません。フェースが開かないのでインパクトが強くなりますし、体の正面でボールをとらえられるので飛距離も伸びます」
Point
両肩甲骨を開きながら軸回転していくイメージ
寸止めドリルで
飛ぶインパクトが身に付く
水谷 飛距離アップのポイントがよくわかりました。最後に何かいいドリルはありますか?
服部 おすすめは「寸止め素振り」です。簡単そうに思われますが実は難しいです。ボールの直前でヘッドを止める寸止めを数回繰り返します。スピードはゆっくりで構いません。フェースがスクエアに止まることを心がけましょう。寸止めの流れでボールを打つのもいい練習になります。ラウンド前ならフェース面と軸の安定が確認できます。
Drill 1
インパクトの直前で寸止め。そのイメージのまま振り抜く
「寸止めは軸が動くと上手く止められません。脚を使った軸回転を意識しましょう。2回寸止めし、イメージを作ったら、その流れでボールを打つ。フェース面や軌道の確認もできます」
Drill 2
左サイドに椅子を置き当たらないように素振り
「自分の左サイドに椅子やキャディバッグなどを置き、それに当たらないように素振りします。脚が使えれば、その場でクルッと軸回転できるようになります」
Drill 3
左手でクラブを支えシャドースウィング
「体の正面にヘッドを置き、左手でクラブを支え、右手でシャドースウィング。背中が丸まる感覚、肩が開かない感覚が身に付けられます。クラブはあまり傾かないように」
週刊ゴルフダイジェスト2024年12月31日号より