【アダム・スコットの教え】<後編>バンカーはカットに打たない!「フェースに砂を乗せて背中の後ろに飛ばすだけ」
ジュニアのためのイベントで来日したアダム・スコット。後編では、ジュニアレッスンで語っていたバンカーショットの極意をお伝えするとともに、アダムが考える理想のスウィングについて、本誌だけに語った内容をお届け!
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki THANKS/ユニクロ、横浜CC
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- 「ジュニアの頃になるべくプロと触れ合う機会を持ったほうがいい」との考えのもと、毎年日本でイベントを開催してくれているアダム・スコット。その内容はジュニアだけではなく全ゴルファーの参考になる教えが満載だった。 TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki THANKS/ユニクロ、横浜CC アダム・スコット……
「オープンに構えてカットに振る」
は間違いだった
近年PGAツアーでは、バンカーショットでもアウトサイドインに打たないと言われているが、アダム・スコットのバンカーレッスンでも同じことが語られた。
「多くのアマチュアがオープンスタンスでクラブをクロスさせて打っているけど、そうするとボールは前に飛ばない。僕はターゲットに真っすぐ振って、そのときにフェースに砂を乗せて背中の後ろに飛ばすようなイメージで打っているよ」と言いながら実際に打ってみせると、確かにピンに向かって真っすぐ飛んでいく。これまで日本で言われてきたバンカーのセオリーは、やはり世界の主流ではないようだ。
Point 1
真っすぐ立って真っすぐ振る
ターゲットラインに対してヘッドを左にクロスさせて打つ人が多く、それではボールは真っすぐ飛ばない。スクエアに立って真っすぐ振っていくのがアダム流
Point 2
フェースに砂を乗せて背中側に飛ばすイメージ
Point 3
左足に体重を多く乗せてずっとキープ
ジュニアからの「体重配分は?」という質問に対して「アドレスから左足に多く体重を乗せておいて、その状態をずっとキープして打つ」と返答
ここもPoint
左足下がりでは肩と斜面を平行にする
左足下がりでは肩を斜面と平行にして構える。ただしロフトが立たないようにしっかりフェースを開くこと
バンカーショットは深いラフでも練習できる!
練習用のバンカーがないときでも、深いラフで打てば練習になる。ボールを直接打たないという共通点がある
バンカーの名手ミケルソンを参考にしよう
バンカーはイマジネーションが大事だというアダム。「僕が思うバンカーの名プレーヤーはセベ・バレステロスとフィル・ミケルソン。彼らもイマジネーションを大切にしていろいろな打ち方をしているね」
スウィングは形よりも
リズムのほうが大切
アダムといえば教科書のように欠点のないスウィングが持ち味。『さぞや精密に作り込まれた賜物なのだろう、インタビューではその秘訣を聞きたい!』と意気込んでいた取材班だったが、答えは予想外なものだった。
「皆さんにきれいなスウィングだと言ってもらっていることは承知しているけど、僕自身がスウィングで最も大切にしているのはリズムなんだ。多くの人がポジション1、2とかパーツで形をチェックするけど、あれは“静の動き”で流れがないから練習としては良くないと思う」
しかしリズム重視だけでは良いスウィングを作るのは難しいのではないだろうか。だからみんなビデオで撮ったり弾道計測器を使ったりするのでは?
「もちろんテクニカルな練習も必要だけど、リズムも同じくらいに大事なんだ。コースで自分のスウィングは見られないし、データは測れない。人にはそれぞれ“スウィングDNA”があるから、データに踊らされずに自分の直感を信じてスウィングしたほうがいいと思うよ」
Q. どうすればアダムみたいに美しいスウィングになれる?
「ポジション1、2とか“静の動き”でチェックするのはナンセンスだよ」
「形を気にしてポジションごとに止めて確認したりする練習は、流れがなくリズムが生まれないから良くない。自分の直感(本能)のままにリズムよく打つことが大切だ」と力説するアダム
Q. スウィングの流行りはどう思う?
「あまり流行は追うべきではないと思うよ」
Q. ロールモデルはいる?
「パク・インビのテークバックのリズムがいいんだ」
「僕はテークバックが速くなるクセがあるから、インビのスウィングをイメージすると良くなるんだ」
Q. 飛ばしと美しいスウィングは両立できる?
「飛距離を求めると美しさは犠牲になるかな」
「ブライソン(デシャンボー)は強く叩くわりにはいいスウィングだけどね。僕は効率良く真っすぐ飛ばすことを重視しているよ」
アダム・スコット(44)のお手本スウィング
週刊ゴルフダイジェスト2024年12月24日号より