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【上手くなる! ゴルフの日の時間割】<前編>「スタート1時間前」では遅すぎる? “80分前到着”を目標にしよう

普通のアマチュアにとって、コースでのラウンドは楽しい時間であると同時に、貴重な経験の場でもある。ラウンドの機会を有効に生かし上達につなげるカギは「時間の使い方」にある。まずはラウンド前の理想の過ごし方について、小野寺誠プロに教えてもらった。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/芳賀CC

解説/小野寺 誠

1970年生まれ。16歳で渡米しゴルフを学び、帰国後96年にプロ入り。年間250ラウンドする現場主義の実戦派コーチ

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“80分前”の到着を
目標にしよう

普通のアマチュアにとって、コースでのラウンドは練習の場ではなく貴重な「本番」。毎回ベストスコアを出したいし、仲間よりいいスコアで回りたい。しかし、本当に上手くなりたいのであれば、この考え方には大きな問題があると、ラウンドレッスン経験豊富な実戦主義コーチ小野寺誠プロは言う。

練習場での練習はあくまでスウィング作りが主であって、スコアメイクやコースへの対応、マネジメントのプラクティスにはならない。もちろんラウンド自体が練習にはなるし、「本番」でしか得られない経験もある。

しかし本当の意味でスコアを作れるようになるためには、気楽なエンジョイゴルフとも、スコア至上モードの「本番」とも少し違う、集中力を持った実戦練習の場が必要なのだ。熱心に練習場に通う割にスコアにつながらないアマチュアの多くはこれこそが不足しており、もっとコースで実用的な経験値を稼ぐ必要があるというわけだ。

しかしアマチュアには、プロの練習ラウンドのようなスコア無視の練習プレーはしにくい。だからこそ、スコアにこだわりつつ、ちゃんと実戦経験が蓄積されるようなラウンド術が必要なのだ。

「コースでの普段のプレーをより大きな経験に変えるには、時間の使い方が肝心なんです。練習量も多くコースにも出ているのにスコアが伸びない人は、時間の使い方が下手でラウンドの経験をことごとくムダにしています。練習に徹したプレーをしたりスコアを度外視する必要はないし、極端にストイックなことも求めません。些細なひと工夫で、同じ1日のラウンドを普段の3倍の経験にできるので、ぜひ意識改革してほしいですね」

たとえばスタート前。一般的に「スタート1時間前にコース入り」と言われるが、実際はこれでは意外にバタつきがちで、ティーオフ時間に慌ててティーイングエリアに駆けつけたり、もう少しやりたかったパッティングを早めに切り上げるハメになることも多い。小野寺プロはあと20分余裕を持って「80
分前」にコースに来ることで、1日を自分のペースで過ごすことができ、スタート前にも必要十分な準備ができると話す。

「朝からバタついてプレーに入ると、落ち着くまでの最初の数ホールは上の空で経験になりません。ましてそこでOBを連発したりしたら、残りホールのモチベーションや集中力も下がってしまいます。朝イチのティーショットからすべてのプレーを自分の血肉にするためには、スタート前の準備が肝心なんです。たとえばショット練習の前にまずパッティンググリーンに行き、朝の移動で鈍ってしまった目や手のひら、足の裏を“起こす”ことから始めてほしい。そうすればドライビングレンジでの球打ちも、単なる“ウォーミングアップ”ではなく、その日のスタートに向けた有効な準備に使えるんです」

スタート前のドライビングレンジも同じ。ここでいい球を打つことに意味はないし、あまつさえここで「練習」に励んでも上達には寄与しない。目的を持って、限られた時間と球数を有効に使うことが、その日のラウンドに生きるのだ。

Point1 80分前到着が目標
出だしでバタついた時点ですべてが「後手」になる

ティーオフの60分前到着では意外と慌ただしく、スタート前にバタついてしまうことも多い。これでは1日のゴルフすべてが後手に回り、細部に気を配って経験にする余裕は生まれない。最低80分前にはクラブハウスに到着し、練習はもちろんティーペグやマーカーの準備、ボールの印付けまで余裕を持って済ませて、落ち着いた心でティーオフすることがとても重要だ

Point2 ウォーミングアップはコレ
まずは練習グリーンで目と手と足裏を「起こす」!

練習場に行く前にまず一度パッティンググリーンに寄りたい。ピンの影を利用して「真っすぐ構える」感覚を整えたり、真っすぐ転がるラインを練習して自分の平衡感覚をリセットすることで、まず目や足裏のスクエア感覚を「起こす」のだ。パッティングの繊細な打感を感じて手のひらを「起こす」ことも、ショットの前にやっておきたい

グリーン端から端を打って数往復すれば1、2ホール分くらい歩くことになり、体が目を覚ます

Point3 朝練は「1カゴ4本」
「いい球」は求めない「振り心地」を思い出そう

朝の練習場では「いい球」を打つことに意味はない。手を使って当てたり合わせるのではなく、長いものをしっかり振り切り「クラブに振られる」スウィングを重点的に行うことで、スタートする「準備」ができていく。クラブ4本(1W、FW かUT、アイアン、ウェッジ)で1カゴを均等に割って、素振りを織り交ぜつつゆっくりボールを打とう。ドライバーから始めるのがオススメ

いきなりドライバーでOK

まず長く遠心力の大きいドライバーから打ち始めるのがおすすめ。ナイスショットや飛距離を求めず、素振りを交じえながら「振る」ことを重視しよう

クラブに「振られる」こと

結果を気にすると「振る」ことよりも「当てる」ことに意識が行きがち。まずはクラブの重さを感じながら、クラブに振られるようにリズムよくスウィングする

止めたトップから反動をつけずに打つ

体を揺さぶって反動をつける動きは、スタート前に排除しておきたい。トップで一度静止し、反動をつけずにダウンスウィングして球を打つ練習をしておこう

技術面の修正は当日やってもムダ!

何かを試したり技術的な上積みを期待した「練習」や、問題点の修正は、当日朝にやっても無意味。朝これをするくらいなら、前日までに練習場に行くべき。朝は当たらなくて不安でも修正しようとせず「振る」ことに集中しよう

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月刊ゴルフダイジェスト2024年12月号より