Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • 【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.11 グリーン奥の左足下がりから寄せるには?

【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.11 グリーン奥の左足下がりから寄せるには?

今週も“苦手”とじっくり向き合う谷繁。目をそらして何とかなるほど日本ミッドアマへの道は平坦ではないのだ。

PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/六甲国際GC

谷繁元信 1970年広島県生まれ。88年ドラフト1位で横浜大洋ホエールズ入団。02年中日ドラゴンズに移籍。14、15年はプレーイングマネジャー、16年は専任監督。通算3021試合出場は日本記録、捕手として2963試合出場は世界記録。ベストスコア67
青木翔 1983年福岡県生まれ。2017年渋野日向子を全英女子オープン優勝に導いたコーチ。2020年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。ジュニアから一般アマチュアまで幅広く指導。「六甲国際ゴルフアカデミー」校長

前回のお話はこちら

グリーン周りの引き出し
劇的に増加中!

青木 さて、今週もアプローチです。

谷繁 苦手を抱えていると大事なときに弱気の虫が騒ぎ出すので、さらなる解決策の引き出しを増やしたいところです。

青木 これまでのアプローチの引き出し、どんなものを増やしましたか?

谷繁 まずはスタンス幅ですね。フルスウィングの飛距離を考慮して狭くする。

青木 そうです。谷繁さんは手元で調整しようとしていたから、再現性が今一つでした。

谷繁 あとは左足上がりのアプローチでは、ボールが左に行きやすいので、フェースを右に向けるためボールとの距離を縮める。


青木 アプローチが成功するかどうか、アドレス時にほとんど決まるという話でした。

谷繁 いかに準備が大事か。ゴルフも野球も仕事だって同じですね。あとは、なんとなくわかっているつもりだった“傾斜なり”もわかってきました。

青木 傾斜に逆らわずに打つことですね。

谷繁 これまで、どれだけリーディングエッジを地面に刺してきたことか。

青木 左足下がりの大げさなインサイドアウトで、全然違ってきたでしょう?

谷繁 かなり大げさな感じだったけど、大げさなぐらいでちょうどいいんですね、もう刺さる気がしません(笑)。

青木 で、次は左足下がりのシチュエーション。競技ゴルフでよくあるシーンなんですよ。ピンに突っ込んでいって、ちょっと奥のラフにこぼれてダウンヒルになるという。

谷繁 ありますねえ。

青木 そんなとき、大事なのは芝とボールの状態のジャッジです。ラフでもボールが浮いているのか沈んでいるのかで打ち方は変わります。

どれだけパーを
拾えるかが課題

谷繁 ライによって、正しい引き出しを開ける必要がある、と。難しいなあ。でも、実はここが勝負だと僕は思っているんです。アマチュアですから、グリーンを外すケースは多いですよ。半分近くは外すと思います。そんな時、どうパーを取るか……実は僕の一番の課題です。

青木 そこで、実際に打ってもらいました。芝の上に浮いたようになっているボールと、沈んでしまっているボールです。

谷繁 まず、浮いていたら「あ、ラッキー」ですよね。打てるイメージが湧く。一方で沈んだほうは「さて、どうするかな」という感じ。

青木 で、浮いているライから実際に打ってもらいました。

谷繁 一応、球が上がって、ピンから3メートルくらいに寄りました。これならパットを頑張れば何とかなるかな、というところまでは行った。

青木 でも、日本ミッドアマ出場を狙うなら、それじゃあダメなんです。3メートルのパットは確実には入りません。

谷繁 その後、青木さんが打ってくれたら50センチくらいに寄った。そこで、何も聞かずに、すかさず真似して打ってみたら今度は1.5メートルにまで寄った。

青木 さすが「ワザは見て盗む」世代。どういうところを盗みました?

谷繁 まずはスタンス。僕は若干オープンで打ったけど、青木さんはクローズスタンスでしたよね。

青木 そうそう。じゃあ、なぜクローズにしたかというと……。左足下がりのアプローチでは、左足に重心を置き、カット軌道で打つので右足が邪魔になります。だから引いたんです。

谷繁 あと、フェースも少しオープンにしていましたよね。

青木 さすがよく見ていますね。左足下がりは、ロフトが立つシチュエーションでボールが飛びやすい。だからフェースを開いたんです。

谷繁 その解説を聞いてから打ったらさらに寄った。見て盗むのも大事だけど、聞くと納得感が増すし、上達のスピードも違う気がする。

青木 僕らには聞いてOKですから。「見て盗め」というレッスン企画なんて斬新すぎるでしょう。時代は令和ですよ(笑)。

谷繁 そうか、聞いていいんでした。青木さんは対戦相手じゃないですもんね。それで、教わったことを新しい引き出しにしていけばいいんですね。僕がプロ野球界に入ったときは若菜嘉晴さんというキャッチャーがいて、捕球後の二塁への送球が速く、まるでリモコン操作でもしているようでした。大矢明彦さんの映像もよく見たし、同世代では古田敦也さんのスローイングもよく見ました。いずれも観察、ですね。「教えて」とは言っていないです(笑)。

青木 僕にはどんどん聞いてください。そして、浮いたボールの次に芝に沈んだボールを打ってもらおうとしたら、谷繁さんが「?」というような顔をしていましたね。

谷繁 だって、ほら、その引き出しがまだないので。無い袖は振れないというか、ない引き出しは開けようがないので……。

青木 「?」のまま、実際に打ってもらったら、低く出たボールがかなり転がってピンを大オーバー。じゃあ、そんなときの解決策は……。来週やりまーす。

谷繁 テレビのような引っ張り方ですね。これ、青木さんの新しい引き出しなんじゃない?(笑)

左足上がり、左足下がり、浮いた球、沈んだ球、さまざまなシチュエーションに“適解”あり

週刊ゴルフダイジェスト2024年6月4日号より

CS放送のGAORAでは「谷繁元信×青木翔の勝つゴルフノート」がオンエア中