【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.7 数値を見たら一目瞭然! ちょっとの意識でドライバーの弾道が激変
野球では1年後の自分の姿、3年後の姿を描きながら目標設定してきたという谷繁。すぐにできることと、時間をかけてじっくりやることがある……それはゴルフも同じだ。
PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/六甲国際GC
弾道計測器の数値で一目瞭然
谷繁 この間、パターの打ち出し角の話をされて驚きました。これまで、ヘッドを真~っすぐ引いて、真~っすぐ出すと心がけてきたから……。
青木 「そう教えていた時代もある」と言いましたよね。でも、ゴルフは道具の変化が野球よりずっと大きいこともあり、技術もそれに合わせて変わることがけっこうあるんです。
谷繁 野球はボールもバットもグラブもそれほど変わらないんですよね。
青木 ドライバーなんて、今、どんどんやさしくなっていますから。本当によく飛ぶし、曲がらなくなってきました。
谷繁 僕のドライバーは、基本はフェードかスライス。ミスすると距離がまったく違います。
青木 ミスの原因はもちろん打ち方なんですが、昔は「ドライバーもアイアンも同じようにスウィングして」というレッスンが多かった。でも、最近は違ってきています。僕たちプロを教えているコーチが見ていると、アイアンが得意な人はドライバーが苦手で、ドライバーが得意な人はアイアンが苦手というケースが多いんですよ。
谷繁 ということはドライバーとアイアンで打ち方は変えたほうがいいということ?
青木 どちらかに寄せていく必要があると思います。そして「なぜ変えたほうがいいのか」を理解しておいてほしいんです。納得できるとトライしたくなりますから。
谷繁 それで、今度はドライバーショットのデータも取ってもらいました。そしたら、青木さんが笑い出して。あれ、まあまあナイスショットなのに……と思いましたよ(笑)。
青木 フライトスコープの数字を見ていたので。そりゃあスライスだよなと思って笑ってしまいました。
谷繁 パッティングの時と全く同じ流れでしたよね。パッと見は悪くない、でも数字に出ているんですよね。ミスショットでもなかったし、これまでさんざん「ナイスショット」って言われてきたもので「あれ?」って。
青木 いや、結果的にナイスショットではあるんですが。
谷繁 前田智徳もいい当たりのヒットを打った後、よく首をかしげていたけど、ああいう感じか(笑)。
青木 前田さんはフィーリングで納得できなかったのかもしれませんが、谷繁さんのドライバーショットの場合、数字に出ていたので、わかりやすかった。まず、スウィングプレーンはアイアンの時よりさらに左を向いていましたし、インパクト時のフェースアングルが6.2度開いていました。ドライバーショットは最下点よりボールが先にあるので、一般的にボールは左に出やすいです。じゃあ、どうするか。
谷繁 アイアンの時と同じ話かな。今度はスウィングプレーンを右に向けるってこと?
青木 その通りです。で、クローズドスタンスにしてスウィングプレーンを右に向けて打ってもらったら、即いい球が出ましたよね。
谷繁 打ち方自体は変えていないのに、球はつかまるし、飛ぶし。ドライバーショットだと、ラバー部分を隙間なく覆う握り方(グリップ)も違和感があまりなかった。
下半身の動きの修整は
一朝一夕にはできない
青木 ただ、スウィングプレーンの確認は地道な作業みたいなところがあるので、コース上でも忘れずに。あとは、下半身の使い方も伝授しました。テークバックで右足のかかとに体重を乗せて、その後、左足に重心を移し、地面を蹴るようにスウィングする、というものです。
谷繁 ふむふむと思って、その動きを意識して打ってみたら、出ましたねえ、どスライスが(笑)。
青木 下半身の動きを変えるって難しいんですよ。さっきまでのスウィングプレーンを変えるというのはイメージ重視ですし、谷繁さんのお得意なところだと思うんですが、下半身の動きを変えるのは大変で、これには反復練習がすごく重要。練習場では、すごく大げさに内側からドライバーを入れる感じで、高いドローを打つ練習をしてみてほしいですね。繰り返し、繰り返し、です。
谷繁 その、すごく大げさな動きで再度打ってみたら、いいフェードが出た。
青木 それでもドローにならなかったですよね。あれでいいんです。
谷繁 あのときはたまたまできたけど、この動きは急には習得できなさそう。ちょっと時間がかかりそうだなあ。
青木 そうなんです。だから、関東ミッドアマのある夏までに完全に習得するのは難しいと思います。ですから、いつものラウンドではスウィングプレーンの向きのほうを課題にしながら、下半身の動きは中長期的目標みたいな感じで。あんまりガラッと変えると、スコアがまとまらなくなる危険性があります。そのへんは匙加減です。
谷繁 スウィングプレーンの調整は取り入れやすかった。あと、パッティングの時のフォロー幅を小さく、も同様。一方でグリップラバーが見えないように覆う握り方や、下半身の使い方、こちらはすぐにはできない。でも、短期目標と中長期目標のバランスを見ながら……というのは、まさに野球と同じだから。やれそうな気がします。
スウィングプレーンの向きを変えるのは短期的な課題。長期的な課題と組み合わせながら向き合う
週刊ゴルフダイジェスト2024年4月23日号より
CS放送のGAORAでは「谷繁元信×青木翔の勝つゴルフノート」がオンエア中