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ザックリ激減! 女子プロ界のレジェンドが明かす“ノーフォロー”アプローチとは?

PHOTO/Yasuo Masuda、Takanori Miki
TEXT/Masato Ideshima
THANKS/キングフィールズGC

ベテランプロから今活躍中の若手プロまで、多くのプロが学んだという、レジェンド・小林法子の“ノーフォロー”アプローチ。やさしく寄せられる、その真髄を教えてもらった。

解説/小林法子プロ
1944年生まれ、千葉県出身。女子プロ1期生として長く活躍し、“7色のアプローチ”でツアー9勝を挙げる。2019年日本プロゴルフ殿堂入り

“ノーフォロー”なら
インパクトで緩まない

GD 女子プロをはじめ、多くのアマチュアが小林プロの教えで上達したという噂を聞きました。どんな打ち方ですか?

小林 私が教えるのは「インパクトがフィニッシュ」のアプローチです。

GD フォローを取らないということですか?

小林 そうです。「インパクト=フィニッシュ」という意識を持てば、緩みがなくなります。インパクトで緩むからダフリやトップのミスが出るわけで、世界のトッププロやアプローチが上手い選手に緩みはありません。体の正面でボールをとらえ、グリップは左太ももより左に行かせない。この“ノーフォロー”アプローチなら、緩むことがないので、ミスがグンと減るはずですよ。

“ノーフォロー”のメリット 1
体の正面でボールをとらえられる

手元が体の正面から外れることがないので、正確にボールにコンタクトできる。手が体から離れるとミスしやすい

“ノーフォロー”のメリット2
手首の角度がキープでき、再現性アップ



名手のアプローチは絶対に緩まない!

タイガーウッズ
インパクトの形が素晴らしい

「肩、手、ヘッドの関係性がまったく変わることなくインパクトしているから再現性がとにかく高いんです」(小林・以下同)

松山英樹
「柔らかいけど締まっている」

「手首の柔らかさがありつつ、左肩を使ってストロークできている。ミスが出ない打ち方です」

石川遼
「右手首の角度がいい」

「ハンドファースト強めのインパクトですが、体の正面でしっかりボールをとらえています」

渋野日向子
左わきの締まりがいい

「手が前に出ているように見えるが、左わきがしっかり締まった状態で緩みのないインパクトです」



「ダフリ、トップをなくしたい!」

“ノーフォロー”体験#1 筒井萌子さん

「アプローチが苦手で90が切れない」
ラウンド経験を重ねるごとにグリーン周りの重要性を痛感。女優、ゴルフユーチューバーとして活躍しながら80台を目指す

GD アプローチでトップやダフリのミスが多いという筒井さんが一人目の体験者です。

筒井 よろしくお願いします。

小林 筒井さんの打ち方は、バックスウィングとフォローが1対1で、一見するとよさそうなアプローチですが、フォローを出そうとして、手元が体から離れています。バックスウィングも同じ。体から手元が離れるのがミスの原因なんです。

<小林’s CHECK>
フォローで手元が体から離れている

筒井 フォローは出さなくてもいいんですか?

小林 むしろフォローを出してはダメ。インパクトがフィニッシュです。そして、バックスウィングでクラブを上げるときに、手元が体から離れていくのもよくない。手元の動きはできるだけ小さくします。そうすればクラブを上げて下ろすだけのシンプルな動きになるので、確実に打点が安定します。

筒井 アプローチは、ターゲット方向に手を出したほうが寄るのかと思って、ずっとフォローを取っていました。

小林 手元の動きを小さくするポイントは、バックスウィングでコックを使うことです。手元が体から離れないように右太ももの前からコックして、インパクトに向けて下ろすだけ。このとき右手首の甲側の角度をキープすること。手元を動かしすぎると、元の構えた位置に戻しにくくなるからです。

筒井 “ノーフォロー”を意識したら、確かにダフリやトップがなくなりますね。

コックを入れて手元の動きを抑えよう

グリップを短く持ち、テークバックは早い段階で手首の動きを使ってヘッドを上げる。このとき、フェース面がボールを見続けるようにシャットに上げる意識を持つ。ダウンでは右手首の角度をキープ

左サイドに木があるつもりで打つ

<Drill>
ボールの先のカゴにヘッドを当てない

カゴなどの障害物を置いて“ノーフォロー”を意識するドリル。「コックを使って手元を大きく動かさないようにしたら、確かに緩まないインパクトになりますね」(筒井)

「フワッと柔らかく上がる
球が打ちたい」

“ノーフォロー”体験#2 田島凛さん

「高低の打ち分けが苦手」
15歳からゴルフを始め、今年初めてプロテストを受験。260Yの飛ばし屋だが、アプローチの腕を磨いて、合格を目指す

GD もうひとりはプロを目指す田島さん。アプローチが苦手なように見えませんが、技を増やしたいそうですね。

田島 はい、私は低い球は得意なほうですが、フワッと柔らかく打つアプローチが苦手なんです。

小林 田島さんは、インパクトでクラブを止められる技術があります。

田島 “ノーフォロー”の感覚はわかります。

小林 高さを出すには「インパクトがフィニッシュ」の意識はそのままで、フェースの開き方と構えを覚えれば、すぐに高さの調節もできるようになります。

田島 カット軌道に振ったりすることもないんですか?

小林 難しいことを考えなくて大丈夫。同じ打ち方でいいんです。まず、高さを出したいときはボールを左足寄りに置いて構えます。田島さんはハンドファーストが少し強いので、クラブを地面に対して少し垂直にしたほうがボールが上がりやすくなります。あとは打ちたい球の高さに合わせてフェースを開いて打つだけです。

<小林’ CHECK>
アドレスでハンドファーストが強すぎる

“ノーフォロー”の打ち方は基本的にできていたが球の高低の打ち分けが上手くできなかった田島さん。「いつも右足前にボールを置いている。これが球が上がらない原因」(小林)


田島 どんな状況でも“ノーフォロー”でいいんですか?

小林 そうです。構えを変えるだけであとは上げて下ろすだけだから、ものすごくシンプルでしょう。高さだけではありません。インパクトで緩まないからどんなライにも対応できます。状況が変わるたびに打ち方を変えていたら、迷いが出ます。迷いもミスの原因のひとつですから。

アドレスを変えるだけで
高低は打ち分けられる

Point.2
フェースを開いて構える

「低い球はハンドファーストに構えてロフトを立てればいい。高い球を打つには、反対にボールを左寄りに置いてフェースを開くだけ。打ち方は同じでOK」(小林)

ノーフォローなら距離の打ち分けもシンプル

GD 距離の打ち分けも“ノーフォロー”アプローチなら簡単なんですか?

小林 もちろん。例えば1Y先にキャリーさせろと言われるとかなり難しく感じますが、「インパクトがフィニッシュ」の動きだと緩みがないから、30cm程度クラブを引くぐらいの小さな振り幅で打てます。

GD 逆に40Yくらいの長めの距離はどう打ちますか?

小林 私はSWからAWに番手を替えて、クラブを大きく上げて打ちますが、力のある方はSWでちょうどいいかもしれません。基本的な打ち方を変えずにできるから簡単です。バックスウィングを大きくすると、インパクトでヘッドは止まらず惰性で先行しますが、問題ありません。フォローを取ろうとしないで「インパクトがフィニッシュ」を意識することが大切。緩みのない巧みなアプローチができるようになります。

「SWを30センチ引いて1Y
AWを大きく上げて40Y」

週刊ゴルフダイジェスト2021年4月13日号より