トップアマに聞くティーショットの知恵とワザ<前編>「重要なのは飛距離よりも“狙った方向に打ち出す”こと」
ドライバーを握ると、つい飛ばしたくなってしまうが、2人のベテラントップアマに話を聞くと、飛距離よりも大切なことがあるという。まずは、トップアマの関澤誠さんに、ティーショットで大切にしていることを聞いてみた。
PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/嵐山CC
※アマチュアのみなさんにはボランティアとしてご協力いただきました
関澤誠さん(53歳・HC0.3)
日本」の名がつく公式戦への出場経験が豊富なトップアマ。昨年の日本オープンの“コースセッティングディレクター”も務めた。平均飛距離は250~260Y。使用ドライバーは「しっかり振れる」というブリヂストン「B1ST」、シャフトはツアーAD VF-7(S)
- ドライバーを握ると、つい飛ばしたくなってしまうが、2人のベテラントップアマに話を聞くと、飛距離よりも大切なことがあるという。後編では、トップアマの富田雅之さんに、ティーショットで大切にしていることを聞いてみた。 PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/麻倉GC※アマチュアのみなさんにはボランティアとしてご協力いただきました 富田雅之……
1ヤードでも遠くに飛ばしたい
と思ってませんか?
トップアマたちのドライバーショットは「飛んで曲がらないから70台で回れるんだろうな」と思っている人も多いはず。
ところが関澤誠さんいわく、「プロではないんですから、飛んで曲がらないボールなんて打てません(笑)。そもそもティーショットで大切なのは、飛ばすことよりも、いかに狙った方向に打っていけるか、だと思います。いわゆる“練習場でのナイスショット”で豪快に飛ばしても、行ってはいけないところに打ったら、それはミスショットと同じなんです」
飛ばないミスも嫌だが、想定外の飛びすぎもミスの一種だと関澤さんは言う。
「たとえば『7番アイアンだったら何ヤード』といった具合に、どの番手も、自分の“持ち飛距離”というものを持っていますよね。ドライバーも、自分の“持ち飛距離”を把握することが大切だと思います。キャリーの持ち飛距離を知っておいてはじめて『ハザードまで届くのか、届かないのか』がわかって、狙いどころがはっきりします。ドライバーだけ飛距離を青天井に考えて『飛べば飛んだだけ嬉しい』では、なかなかスコアにつながらないと思います。もちろん嬉しい気持ちはわかりますが(笑)」
考え方 1
「飛ばすことよりも
いかに狙ったところに打てるかが大事」
「ドライバーを握ると『とにかく遠くへ飛ばしたい』という人が多いですが、大切なのは狙ったところに打てるかどうか。そのホールのマネジメントを考えて、狙いどころを決めていきます」
考え方 2
「自分の“持ち飛距離”は
キャリー何ヤードなのか知っておく」
「ドライバーも他の番手と同じように自分の“持ち飛距離”を知っておくことが大切。キャリーの持ち飛距離を把握することで、はじめて狙いどころが決まってきますから。私は、真夏=250Y、真冬=230Y、それ以外の季節=240Yと年間で3パターン考えてます」
考え方 3
「“ドライバー上手”はいつも同じリズム、
同じところに打っていく」
「いつも一定のリズムで、同じところに打っていける人が“ドライバー上手”な人だと思います。自分の持ち飛距離以上に飛ばそう、振ろうとすると、バランスが崩れて、球がバラけてしまいます」
考え方 4
「狙いどころは大きな円。
そこにボールを入れていくイメージ」
「狙いどころは、左右30ヤード、前後20ヤードくらいの大きな円をイメージするのがいいと思います。やみくもに飛ばそうとするのではなく、自分の持ち飛距離でその大きな円の中にボールを入れていく感じですね」
考え方 5
「次が打てる“OKゾーン”へボールを運ぶ。
ティーショットはこれが最優先」
「行ってはいけない“NGゾーン”ではなく、次のショットが打てる“OKゾーン”へボールを運んでいくことが最優先事項だと思います。飛びすぎて“NGゾーン”に行ったらミスなんです」
“OKゾーン”に打つためには
丁寧なセットアップが肝心
狙ったところに打っていくためには、ターゲットに対して、きちんと構えることが重要、と関澤さんは語る。
「スウィングのような“運動”をいつでも一定にするのは難しいですが、止まっている“構え”なら、工夫をすればいつでも一定にできますよね。きちんと構えられれば、狙ったところにボールを運びやすい。ですから打つ前のセットアップを丁寧に行うようにしています。目標に対して、打ちやすいところにティーアップしてセットアップ開始。私の場合、まず右足をボール位置にセットして、左足かかとをつけ、右足を広げるようにしてアドレス。この手順を踏めば、だいたいいつも同じように構えられる、と思ってます。スウィングは調子の波がありますが、セットアップは好不調がないんです(笑)」
たとえば嵐山CCの1番パー4……
「右バンカーの左から、左のカート道付近までの大きな円がこのホールの“OKゾーン”。奥の木をターゲットにして、その方向に構えやすいティーイングエリアの右にティーアップしていきます」
関澤さんのセットアップルーティン
ターゲットを決め、狙ったところに飛んでいく球筋をイメージしてティーアップ。球筋イメージとボールのライン上にスパットを見つけ、そこへフェース向きを合わせ、構えを作っていく
構えが決まったら、あとは余計なことを考えない
リズムよく振ることを心掛ける
「セットアップが決まったら『やれることはやった』という気持ちで、あとはリズムよく振ることだけ考えます」。スウィングの形や動きのことを意識すると、バランスが崩れやすくなる、という
フォローサイドを意識して素振り
「とはいえ、どうしてもインパクト付近の動きをスウィング中に考えてしまうこともあります(笑)。余計なことを考えないためにも、小さなテークバックからフォローサイドを意識した素振りをするようにしてます」
クラブの重さを感じながらワッグル
アドレスしたら、クラブの重さを感じられるよう上下や左右にクラブを動かしてワッグルする。「体が固まると、リズムよく振れませんから」
>>1W飛距離220Yのトップアマ
富田雅之さんの場合
- ドライバーを握ると、つい飛ばしたくなってしまうが、2人のベテラントップアマに話を聞くと、飛距離よりも大切なことがあるという。後編では、トップアマの富田雅之さんに、ティーショットで大切にしていることを聞いてみた。 PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/麻倉GC※アマチュアのみなさんにはボランティアとしてご協力いただきました 富田雅之……
週刊ゴルフダイジェスト2024年6月4日号より