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【グリップ大研究】#2 重要なのは「右手のV字を締めること」いいグリップの作り方

手が何もしない握りこそが「いいグリップ」だと中井学プロは言う。では具体的に、どのように握ればいいのか? 引き続き、中井プロに詳しく教えてもらおう。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/こだまゴルフクラブ

解説/中井学

1972年生まれ。アメリカの大学に留学しゴルフの腕を磨き、以後コーチとして活躍。登録者数27万人の人気ユーチューバーでもある

グリップの基準は
昔も今も「ベン・ホーガン」

では改めて「いいグリップ」の作り方を教わろう。

「力感などの問題は最後まで残りますが、最初にいい形を作っておけばそういった問題が起こりにくいのは前述のとおりです。形自体はあまり大事ではないと言いながら逆説的ではありますが、やはり形は大事なんです。その形を掘り下げると、『モダン・ゴルフ』にあるベン・ホーガンの教えにたどり着きます。本質が詰まっているので、しっかりおさらいする意味は大きいと思います」

中井プロがとくに重要だと話すのは、左手小指側の腹と人さし指にクラブを引っかける最初の形。この段階で「グリップが手のひらを横切る角度」を決めることが、いいグリップを作るための重要なポイントになるというのだ。

「インターロッキングでは最終的に左人さし指は離れてしまう、つまり握るうえでは重要でない指なのに、最初にこの指を使ってこの形を作るのは、ライ角のガイドとして不可欠だからです。ここが定まらない握りはスウィング中にライ角を維持しにくく、ダフリなどのミスも出やすいですし、それを防ぐための“小細工”が必要になるんです」


これで手とグリップの角度を決めたら、それを崩さないように左手の3本でクラブをホールドし、次に右手を添えていく。このとき、右手の生命線が左手の親指に沿うようにフィットさせることが「密着」を生むための重要なポイントとなる。

そして右手の薬指、中指でクラブを下から支えるようにホールドしたら、右手の「V字」を作って完成だ。グリップを判断する際にこの「V字」は重要視されるが、これは何を意味するのだろうか?

「この『V字』を締めるということは、指先ではなく付け根のほうに力が入ります。これによって右手の悪い動きを抑制するとともに、自然と右手首に角度がつき、右ひじも体に近い位置に収めやすくなります。これがハンドファーストと、インサイドからクラブを下ろせる軌道を作るうえで重要なんです」

なお、10本の指のなかでもっともクラブを強くホールドしているのは、両手の薬指だと中井プロ。柔道で襟を持つ際なども重要になる指で、ここが力まずに適切に力を入れられる「要」になるという。

「いいグリップ」のための2つのコツ

Point 1
右手の「V字」を締める

右手の親指と人さし指の「V字」が締まっていると、自然と右手首に角度がついてハンドファーストが作りやすい。インパクトで手首がほどける人の多くはこの「V字」がゆるんでいる。力んで締めるのではなく、形で締めるのがポイント

Point 2
両手の薬指でホールド

グリップは「左手の3本指でホールドする」という指導をよく聞くが、中井プロはむしろ「両手の薬指」が要になると考える。前腕の「総指伸筋」という筋肉の延長線上にあるのが薬指なので、力が入りやすく、しかも強く握っても握りの形が変わりにくい指だという。柔道で襟や袖をつかむ際にも小指以上に薬指が重要視されるそうだ

「いい握り」を作る5ステップ

Step 1
左手小指側の腹にグリップを引っかける

「グリップを左手のひらの母指球の下の部分にあてがう」「シャフトが左人さし指の第1関節の上にきている」形を作ることで、グリップが手のひらを横切る位置を決め、ライ角の基準を作る

Step 2
左手の3本指でグリップをホールド

Step1で作った手とクラブの角度を崩さないように、人さし指は一度離してから、左手の小指、薬指、中指でグリップを持つ。「握る」というよりも形で「ホールドする」感覚が力みにくい

Step 3
右手のひらを隙間なく密着

そのまま左手の親指をグリップ上に乗せ、そこに右手のひらを添えていく。このとき左親指の右上に右手の生命線を添わせるように隙間なくセットすることで両手の一体感と密着を生み出す

Step 4
右手の2本指でさらにホールド

両手の密着感を保持したまま、右手の薬指と中指でクラブを下から支えるようにホールドする。このとき、まだフリーな左人さし指と右手小指で、オーバーラッピングやインターロッキングの形を作ろう

Step 5
右手の「V字」を作って完成!

右手の親指と人さし指の間を締めて「V字」を作って完成。親指はやや反らすような形で上に、人さし指はカギを作って下に添えるようにし、この2本の指先に力が入りすぎないように注意

ここもPoint!
フィンガーで握ったほうがライ角を保持しやすい

>>ストロングとウィークはどっちがオススメ?

月刊ゴルフダイジェスト2024年6月号より