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【40Y以内のアプローチ】#3 一番はパター、次は8I、9Iのランニング…SWは最後の手段です by久保勝美

アプローチで重要なのは、打ち方よりも状況判断だと久保勝美プロと塚田好宣プロは口を揃える。では具体的に、どのようにして状況を判断し、どんなイメージで打っていけばいいのか。久保勝美プロの考えを聞いてみよう。

PHOTO/Tadashi Anezaki、日本プロゴルフ協会(優勝写真) THANKS/カレドニアンGC、高根CC

解説/久保勝美

昨年、シニアツアーの「コマツオープン」で優勝。60歳以上の選手が出場する「関東プログランドシニア」「日本プログランドシニア」も制した。所属の高根CCでアマチュアのラウンドレッスンも行う61歳

もう1回アプローチしない
ことが大事

「いつでもピンに寄せようとするのではなく、最悪の状況にならないように考えるのが、グリーン周りでは大切なこと。ミスして、もう一度アプローチをしなくてはならないのが、一番よくないですからね。だから番手選びは、まずパターでいけるかどうかを考えます。ダフリ、トップがないから一番グリーンに乗せやすい。アプローチが苦手な人にとって、ウェッジは、『うまくヘッドを入れなきゃ』なんて打ち方に意識がいって、寄せるどころじゃなくなりやすいんですよね」(久保)

Step 1
ボールのライをチェック

「やはり、一番大切なのはボールのライのチェック。芝やラフの状態、左足下がり、つま先下がりなどの傾斜を見て、どんな球が打てるのか考えます」

Step 2
落としどころを確認

「グリーン面も、どんな傾斜になっているのか、固いのか、柔らかいのか、などをチェック。ボールの転がり方を考えて、落としどころを決めます」

Step 3
使用番手を決める

「グリーン面の起伏があるところに落とす場合、SWだと上に跳ねる、9Iだったら前に行ってくれるということも考えて番手を選びます」

ダフリ、トップがないパターが最初の選択肢

「番手選びの最初の選択肢は、ミスが少ないパターです。次に8I、9Iのランニング、その次にPW、AWのピッチ&ラン。SWを使うのはバンカー越えやライがいいとき。ミスする確率の低いものでアプローチするのが大切です」


落としどころから逆算していく

「たとえば上の写真のような、エッジまで10ヤード、ピンまで40ヤードという状況でライがいい場合。グリーンの硬さや傾斜、スピードなどを確認して、落としどころと番手を決めていきます。9Iでエッジの先1個目のボール付近を落としどころにして、転がりを多めにするのか、58度で一番奥のボール付近に落として、転がり少なめでいくのか、どこに落として、どうピンに寄せていくのかをイメージする。これが、グリーンの真ん中から下っている状況だったら、エッジから3個めのボール付近に58度で落として、ピンまでトロトロとボールを転がすことを考えます。もちろん、ここまで細かく考えるのは慣れや経験が必要ですが、打ち方ばかり考えるより、弾道イメージを意識したほうが、寄るアプローチができると思います」

昨年のコマツオープン優勝も最終ホールのアプローチが決め手だったという久保プロ。

「パー5でバーディを取らないとプレーオフという状況の40ヤードの3打目。ライがいいので、58度でピン近くに落とそうと考えたのですが、『プレッシャーがかかってるから強めに入るかもしれないな』と思った。さらに、先にアプローチした崎山武志が“ポッコン”してショートしたんです。58度では同じことになるかも、と思って52度に持ち替えて、転がり多めで1メートル半くらいについてバーディ。やはり冷静に状況判断して、弾道イメージを出すことが大切なんだ、と改めて思いました(笑)」

Case 1 グリーン手前花道
エッジまで10Y・ピンまで40Y

【58度】キャリー3、ラン1くらいで寄せていく
【52度】
キャリー2、ラン2くらいでピンまで転がす
【PW】
キャリー1、ラン3くらいのピッチ&ラン
【9I】
エッジの先に落として、転がり多めで寄せていく

振り幅の大きさから考えても転がしのほうがミスの確率が低い

Case 2 グリーン横左足上がりラフ
エッジまで20Y・ピンまで40Y

「上げられるライ。落としどころを考えると52度ですかね」

「52度で、少し足を出して、ピンに寄せていくイメージです」

「ラフの場合、強く入りやすいので、PWだとランが多めに出る可能性も。この状況ならピンとエッジの真ん中を落としどころにして52度を考えます。大切なのは落としどころを意識しての素振り。ピンに対してでは振り幅が大きすぎます」

Case 3 グリーン奥左足下がりラフ
エッジまで10Y・ピンまで20Y

手前の土手にワンクッション

「ここからは乗れば“御の字”。寄せられないこともあるんです」

「ピンから先が下っていて、これはほぼ寄らない状況。手前の土手にワンクッションさせて、なんとか乗ればいい。『ここは寄らない』という状況判断も大切なんです」

短い距離こそ
体を回して打つ

「打ち方で大切なのは、どんな距離、どんな番手でも、体の回転で打つこと。打つ距離が短いアプローチだと、ヒョイッと手先でクラブを振ろうとする人が多いのですが、それだとパンチが入ったり、ヘッドの入射角がバラバラになってしまいます。ひじのあたりにクラブを挟んで、肩、胸を回すシャドースウィングをしてみてください。体を回して振る感覚がわかってきます。これがアプローチの打ち方の大基本なんです」

クラブ挟みドリルで
「体を回す」を覚えよう

体の回転で打てば、ヘッドの入射角が安定。アプローチは手だけで打とうとしてしまいがち。ボールの手前にヘッドが落ちて、ザックリ、トップになる

Point 1
体重配分は左6、右4

体重配分は左6、右4くらいのやや左足体重で構える。体重移動すると最下点がズレやすいので、そのまま振っていく。右足かかとを少し上げて打つのもありだ

Point 2
腕とクラブは常に体の正面

腕とクラブは常に体の正面にあるようにして、体の回転で振っていく。「手元よりヘッドが上になるフォローをしている人もいますが、それは手を使っている証拠」

上げようとする構え、動きが一番のミスの元

「頭の位置がヘッドの最下点になります。上げようとして、頭がボールの右になる構えでは、最下点も右になって、ザックリする確率が高いんです」

週刊ゴルフダイジェスト2024年4月30日号より