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【低く出てキュッと止まるアプローチ】#1 ビクトール・ホブランを年間王者に導いた「ツアーチップ」ってどんな技術?

昨シーズンの年間王者ビクトール・ホブランはつい最近まで、アプローチのトップやザックリに悩んでいた。ところがコーチを付けて「ツアーチップ」という技を習得してからは見違えるように寄せワンが増えたという。ツアーチップとは、いったいどんな技術なのか?

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara、Getty Images THANKS/千葉よみうりCC

ビクトール・ホブラン 23年のプレーオフシリーズ「BMW選手権」と「ツアー選手権」を制し、初の年間王者に輝く。世界ランク4位(Photo by Gregory Shamus/Getty Images)

解説/永井直樹

96年プロテスト合格。20年からプロコーチの目澤秀憲に師事し23年からコーチングを開始。タイトリストのボーケイウェッジフィッターも務めている

低く出てスピンで止まる
それが「ツアーチップ」

ホブランは苦手だったアプローチを克服して年間王者になったということだが、「ツアーチップ」とはどんな技なのか?

「簡単に言うと、日本でも昔からプロたちが打ってきた低く出てスピンで止まる球です。これがPGAではツアーチップと呼ばれています。この技のデータが分析されていて、打ち出し角が27~30度、スピン量は4000回転以上が目安となりますが、データ上でキモとなるのが“スピンロフト”を55度程度にすることです」(永井、以下同)

スピンロフトは、ダイナミックロフトと入射角を合わせた数値で、スピンに直結するため重要だとされている。では55度にするにはどう打てばいいのか?

「例えばダイナミックロフトが45度で入射角が10度のダウンブローならスピンロフトは55度になり、スピン量は球を止めるには十分の5000回転くらいになります。そしてこのとき重要なのが打ち出し角で“低く出す”ことが前提のツアーチップでは27度~30度の幅で収まっていたいのです。スピンロフトが55度となる組み合わせはたくさんありますが、打ち出し角の条件を満たすためにはある程度鋭角にクラブを入れ、ロフトを立ててインパクトしないといけないということです」

ロフトを立てながら10度もダウンブローに打つのはアマチュアにはハードルが高いのでは?

「確かにロフトを立てたりダウンブローに打とうとするとザックリやトップになりがちで、フェースに当たってもスピンロフトが足りずにただの強い球になってしまいます。どうすれば上手く打てるかは次項で説明します」

入射角10度・インパクトロフト45度が目安になる

入射角11度でダイナミックロフト47度だからスピンロフトは58度になり、打ち出し角26.4度でスピン量は4914回転

スピンをかけるにはスピンロフト55度を目指しましょう

入射角とダイナミックロフトを合算したスピンロフトが55度程度になると、十分なスピン量が得られる。このとき、打ち出し角が27〜30度に入っていることがツアーチップの条件となる

ツアーチップのメリット1
高く上げるよりもラインが出て距離感も合いやすい

スピンをかけるだけなら球を高く上げたほうが簡単だが、低い球のほうがラインが出るし距離感も合いやすい。だからツアーチップが有効なのだ

ツアーチップのメリット 2
ピンをダイレクトに狙えるから傾斜の影響を受けない

2段グリーンやアンジュレーションのきついグリーンでピンをダイレクトに狙えるから寄せやすい

>>では、どうすれば
「ツアーチップ」が打てるようになる?

月刊ゴルフダイジェスト2024年4月号より