小祝さくらが強すぎる! 圧巻ショットの秘密は“インパクト直後の二等辺三角形”にあり
PHOTO/Tadashi Anezaki
2021年初戦「ダイキンオーキッドレディス」、さらに3戦目の「Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」で見事な逆転優勝を遂げた小祝さくら。抜群の安定感と勝負強さを誇る彼女のスウィングの進化について、コーチの辻村氏に話を聞いた。
解説/辻村明志
1975年生まれ、福岡県出身。野球の理論をゴルフに取り入れるなどして、小祝のほかに上田桃子、永井花奈、吉田優利など多くの女子プロを指導している
下半身が使いやすい構えになった
21年初戦、3戦目と見事逆転優勝し、ツアー4勝目を挙げた小祝さくら。19年の初優勝からさらにパワーアップし、努力の末に勝ち取った優勝だと辻村コーチは言う。
「まず、彼女のアドレスに注目していただきたいのですが、骨盤の傾きが明らかに変わりました。19年は後傾していたのが、今年は前傾しているのがわかります。骨盤が前傾することによって下半身を使って打ちやすくなり、さらに再現性も高くなります。トップの位置が決まった後は、下半身リードで打っていけるのが彼女のスウィングの良さなのですが、19年のアドレスでは、その下半身のタイミングのズレや暴れが生じていました。それを修正すべく試行錯誤した結果、現在のアドレスに行きついたのです。アドレスが改善したことで、トップでしっかりとした捻転ができるようになり、かつ下半身リードのタイミングが安定。飛んで曲がらないスウィングへと進化したのです」
このアドレスのおかげで、元々もっていたクセも抑制されるようになったと辻村コーチ。
「元来、トップでシャフトがクロスし(飛球線に対して右を向く)、オーバースウィング気味でしたが、構えの改善で理想的なトップの位置に収まるようになりました」
骨盤が前傾し、どっしりしたアドレスに
小祝さくらの1Wスウィング(後方)
インパクト直後の“二等辺三角形”が肝!
力強いアドレスになったことで、小祝の強みがより生きてきたと辻村コーチ。
「インパクト直後の写真を見てください。両肩とヘッドを結んだラインがきれいな二等辺三角形になっています。スウィング中にこの三角形ができたときが、最もヘッドスピードが速くなっている瞬間。彼女の場合はそれがインパクトの直後。つまりヘッドが最大限に加速しているなかでインパクトを迎えているわけです。これは簡単にできることではありません」
このオフには、素足でボールを打つ練習を繰り返したという。
「素足練習の意図はスパイクのグリップ力に頼らず、自分の力で踏ん張って、下半身をしっかりと使っていく感覚を養うこと。これによって、トップから下半身を使ってクラブを引きつけ、ヘッドを走らせる動きができるようになりました。とくに上手くなったのは“左足の受け”。すべてのエネルギーを左足で受け、耐える。耐えることでヘッドが走り、低く長いインパクトゾーンを作ることができます。ドライバーに限らず、ショットの正確性は左足の受けの上手さによって決まります。右足で地面を蹴り、左足でしっかりと受ける。これができているからこそ、フォローのきれいな二等辺三角形が生まれるのです」
タメも深くなった
2019年 2021年
小祝さくらの1Wスウィング(正面)
週刊ゴルフダイジェスト2021年3月30日号より