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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.162「歩測するな、線合わすな、ウロウロするな」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Tsukasa Kobayashi

前回のお話はこちら

あるプロアマで一緒に回った、年の頃は40半ばくらいのアマチュアの方なんですが、バーンと素振りしたときに、「あ、この人上手いな」ってすぐにわかるやないですか。それでパーンと打ったら、めっちゃいい球が出て、「この人より前に行かなシャレにならんな」と考えて、思い切り打ったら、僕がちょっと前に行ったんです。

それで「ハンディいくつですか?」と聞いたら「6」やったんですね。「上手ですね。だいたい所作を見たらわかります」言うたんです。

そしたら、今度はそこからレーザーを持って測って。カートに積んであるナビゲーションも見て、ルーティンを始めて。グリーンに乗ったらすぐに歩測。足を均等に開いてラインまたいで立つやつをやって“アダム・スコットの指”をやって。素振りも丁寧にやって、構えてもう1回大きいワッグルやって。


そのホールはそれでパーやったんですけれどね。

「パターが苦手なんです」言うてはったけど。「そうなんですか。それやったらその歩測やめたらどうですか」とその場で言うたんです。「え、わかりますか」言うから、「そんなもん丸わかりですよ」と。「指を立てるのと、ボールの線を合わすやつ、あと8ホールあるから、これ全部やめはったらどないですか」言うたんです。

次のホールのグリーンでもまた、線合わそうとしておるから、「僕が置いてあげますわ」言うて、何もない面を向けて置いて、「行きなはれ」言うて。「えぇ~」と言いながら、またラインに立って手をかざす動きをやるんですよ。歩測はやっていないんだけど、「あんた心のなかで、5歩6歩とか言うてませんか」言いたくなる感じで。

それで最後に、色紙を頼まれたから、『狙うほど、ラインに乗っても寸足らず』と書きました。もう一人の人には、『飛ばすほど、上手いと思う下手な君』。そして裏には『歩測するな、線合わすな、ウロウロするな』と書いておきました。

「今年いっぱい、これ守ってやってみなはれ。そしたらハンディ『6』から『3』になりまっせ。あとは何も変えんでええわ。そしたらもっと自分の感覚が出てくるからね」とね。

情報を集めれば集めるほど自分が縛られて動けなくなるいうことがよくわかるようになりますよ。

「2024年、情報をなるべく集めないゴルフをしてみなはれ!」

奥田靖己

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2024年1月23日号より