Dr.クォンの反力打法 Vol.19 一家に1本!? 素振りロープ!
ステップ素振りや3本指スウィング、肩担ぎスウィングなど、反力打法を身につけるための様々なドリルを紹介してきたが、今回はさらにとっておきの練習法をクォン教授が教えてくれた。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家
吉田 前から気になっていたのですが、先生、いつもそのロープを持ち歩いていらっしゃいますよね。
クォン ふふふ。気になるかね。
吉田 そんな太いロープを街中でぶら下げている人はなかなかいません……。

船の係留などに使うロープ。直径20ミリ程度の太めのものを、2メートルほどの長さに切り、それを半分に折って使う
クォン ゴルファーなら1人1本、携帯しておくべきだと思うが。
吉田 これ、ゴルフに使うものなのですか? 船なんかで使うロープですよね。
クォン これで素振りをすると、反力打法で大事なことがすべて身につくんだ。
吉田 これを振るんですね。でも、ちょっと長くないですか? 2メートル近くあります。
クォン これを半分に折れば、ちょうど5番アイアンぐらいの長さになる。
吉田 なるほど。重さも適度にありますね。これをどう振るんですか。
クォン 普通にクラブを振るように振ればいい。
吉田 こうですか。
クォン そう。そのままフィニッシュで止まらずに、連続で振るんだ。
吉田 はい!
クォン さすがはプロ。理想的なロープの動きになっている。
吉田 どうなっているのがよくて、どうなるとダメなんですか?
クォン いい動きができていると、トップでは左わきの下に、フィニッシュでは右わきの下に、ロープが巻きついてくる。
吉田 ダメなパターンは?
クォン ひとつは、ロープの先がわきの下に入らず、首のほうに巻きついたり、お尻のほうを叩いたりすること。これは、スウィング軌道がフラットすぎたり、アップライトすぎたりする証拠だ。
吉田 スウィングプレーンのチェックができるんですね。


クォン ただ、軌道がよくても、トップでロープがしっかりと体に巻きつかずに、体に当たってすぐ離れてしまうような動きはダメだね。
吉田 ロープがすぐに離れてしまうということは、ダウンスウィングを腕から下ろしているということですか?
クォン そのとおり。以前から言っているように、地面反力を上手に使って飛ばすには、下半身から上半身、腕という運動の順序が重要になる。切り返しで下半身が先に動き、腕が後からついてくる動きができれば、ロープが体に巻きつく時間ができる。これを左、右、左と繰り返し振ることで、自然と足を踏み込むタイミングもよくなってくるよ。
吉田 これはいいですね! さっそくホームセンターに買いに行かなくては。