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【浦ゼミナール】Vol.2「インパクトの衝撃をなめてはいけない! 飛ばしたければグリップは“強く”握りましょう」

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。グリップは強く握るべきだという浦プロだが、その強さはどのくらいが適正なのだろうか? 力む心配はないのか?

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroyuki Tanaka THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

右サイドをボールに
近づけてインパクト

――前回はグリップについてのお話を伺いました。フィンガーでしっかり握れとのことでしたが、強さについてもう少し詳しく教えてください。「しっかり握る」「強く握る」ってどのくらいですか?

 インパクトの衝撃に負けない強さで握ることが絶対条件です。

――インパクトの衝撃ですか……

 はい。ゴルフスウィングのインパクトって、ものすごい衝撃が発生して、あちこちにすごい負荷がかかるんです。でも人間の体というのは、無意識にリミッターがかかるので、最初からその負荷に耐えられる準備をしていないと、パワーやスピードを制限してしまってポテンシャルを出せない。だから自分のインパクトの衝撃に耐えられる強さでグリップしなければいけないんです。当然、飛ばせる人ほど強く握らなければならないということになります。

――具体的にはどのくらいの強さなんでしょう? 10を最大としていくつくらいとか……。

 まあまあ、そう焦らずに(笑)。まずはグリップの強さより先に、インパクト時の体全体の形のことを考えてください。インパクトの衝撃はとても大きいから、手の力だけでは到底支えきれません。だからまずは体自体が衝撃に備えた形でインパクトすることが大前提なんです。

――体のポジションありきということですか。

 そうです。アドレスの形はだいたい腰や肩がターゲットラインと平行になっていますが、これではカが入らないのはわかりますよね。ターゲット方向に力を出しにくい。なのでインパクト時には、腰や胸を目標方向に向けて、ボールを飛ばす方向に力を出しやすい形をつくります。いわゆる「腰が切れている」とか「体が回っている」とか言われるような形です。このときのポイントは、アドレスの状態から右ひざ、右腰、右肩の全部がボールに近ついていること。この形、メチャクチャ強そうじゃないですか?

右ひざ、右腰、右肩がボールに近づくインパクト
衝撃に耐えられるインパクトの形の基準は、アドレス時よりも右肩、右腰、右ひざの全部がボールに近づいていること。結果的にアドレスよりも頭の位置も右肩の位置も下がっている

右半身でしっかり衝撃に備えることが大事

――そうですね。でもこれって、体が開いているんじゃないんですか?

 体? 開きますよ。体が開かずにインパクトしているプロなんて、1人もいません。目標方向に球を飛ばしたいなら、腰や胸がそっちを向くのは当たり前じゃないですか。タンスとかの重い家具とかを押すときに、真横向いて押す人はいませんよね? それと同じことです。まずはこの、衝撃に十分備えたインパクトの形を覚えてください。

目標方向にいちばん力を出しやすい形で打つ
ボールを飛ばすのはターゲット方向。ならば体もその方向にパワーを出しやすい状態でインパクトすることが重要だ。手元が浮いたり腰が伸びてしまってはダメ。胸や腰はターゲットと平行ではなく、開いているのが当たり前だ

最速でワッグルが
できる強さで握ろう

――では改めて、どのくらいの強さでグリップすればいいのか教えてください。

 そうですね。自分がモノを動かせる範囲でギリギリ最大の強さ、って言えばいいでしょうかね。わかりやすく言うと、いちばん速くワッグルできる力加減です。

――速くワッグルするんですか?

 はい。ピンとこなければ、胸の前あたりでグリップしてクラブを立て、ヘッドを左右に動かしてみてください。これでヘッドを最速で動かせる力加減が、いちばん飛ばせるグリッププレッシャーの強さです。手のなかでグリップを遊ばせてヘッドをグラグラさせるのとは違いますよ。ギュッと握った状態で、ヘッドをピッピッピッって動かすんです。かなり強く握らないと速く動かないことがわかると思います。

試してみよう!クラブをいちばん速く動かせる力加減
胸の前でグリップを持ってクラブを立て、そこでヘッドをいちばん速く動かせる力感がいちばん飛ばせるグリッププレッシャー。手のひらのなかでグリップを遊ばせるのではなく、ギュッと握ってヘッドをシャープに動かす

――こんなに強く握って大丈夫なんですか?

 こんなに強く握らないとダメなんです!

――な、なるほど。力を入れるのは、インパクトの一瞬ですか?

 いえ。スウィング中ずっと力を入れておいてください。インパクトの瞬間だけ強く握るなんて難しすぎます。タイミングがズレたらグリップがブレ、グリップがブレたらへッドはもっとブレます。ためしに顔の前にヘッドを持ち上げてみてください。このフェースを僕がビンタしますよ。叩かれる瞬間だけ強く握るなんて、できますか? 衝撃に備えるってそういうことです。フェースをいつビンタされても大丈夫なように、ずっとしっかり握っていることが大事なんです。

フェースをビンタされてもグラつかない強さで握る

――なんだか力んでしまいそうな気がします。

 そのイメージ自体が、大きな間違いだと僕は思っているんです。みんな「力み」という現象を自分のミスの原因にして、それをアピールしたがります。でも、飛ばす人はみんな力んでいますよ。タイガー・ウッズやローリー・マキロイのスウィングを見れば、力感が伝わってきますよね。あれだって力みです。ナイスショットすれば「力感」になるけど、ミスすると「力み」になる。「力み」の正体なんそんなものなんです。
 そして力んだら曲がると思っている人が多いですが、それも間違いです。曲がる、飛ばないは下手な人。飛ばせる人は上手い人。上手い人はスウィングがいいから、思い切ってスウィングしてもフェースや軌道が乱れないから曲げずに飛ばせるんです。でもスウィングが悪い人はどこかで調節してフェースや軌道を操作しないと真っすぐ飛ばせないから、スピードを犠牲にしてその微調整をしている。だから飛ばないんです。力を入れることを悪だと思わないでください。力まなきゃ飛びません!

インパクトバッグの練習はぜひやってほしい

インパクトバッグを叩く練習は、 衝撃に備えるための最高の練習方法。実際に押してみて、自分にとってどの形がいちばん力を出しやすいかを探ろう

月刊ゴルフダイジェスト2020年3月号より