球の高さは5mで十分! 100Yが面白いように寄る「ライン出し」のすすめ
PHOTO/Yasuo Masuda
THANKS/東名CC、ゴールデンクロスCC
ドライバーが当たって残りは100Y。バーディチャンスにつけたいところだが、ピンに寄らないどころか、グリーンにさえ乗らない……。ビシッとピンを差すショットを打つにはどうすればいいのか。シニア界きってのアイアンの名手に、100Yからピタリと寄せるための極意を聞いた。
解説/米山剛
よねやまつよし。南足柄の練習場「グリーンヒルゴルフパーク」を経営。65年神奈川県出身。レギュラー3勝、シニアは18年の日本プロシニアを含む3勝をマーク
「みなさん球を高く上げすぎです」
GD フェアウェイ真ん中から残り100ヤード。そこからベタピンに寄せて、バーディが取れる秘訣を教えてください。
米山 いきなり直球、ど真ん中の質問ですね(笑)。まずアマチュアの方を見て感じるのは、とにかくボールを上げたがることです。空中戦は距離感も難しければ、方向性も狂いやすい。滞空時間が長い分、風などの影響も受けます。ショートアイアンやウェッジでも低いボールを心がけるべきです。
GD 具体的にどのくらいの高さを目指せばいいでしょうか。
米山 アドレスでターゲットは左肩越しに狙います。アゴを引くと目線はほぼ肩の高さですが、それ以上にボールを上げない。そんな意識が必要だと思います。
GD 肩の高さというと、ずいぶん低いんですね。
米山 あくまでも意識です。というのもインパクトで体が開いて伸び上がったり、手をこねたり、ボールを上げようとするアマチュアが多いからです。100Yなら、実際には目線より高い5mほどの高さになりますが、それでも普段のショットよりだいぶ低くなるはずです。高さを抑えて打つ意識が必要ですね。
GD 低いボールを打つのに大事なことはありますか?
米山 アイアンは狙ったところにボールを止めるもので、飛距離はなんの自慢にもなりません。となるとフルショットはNG。フルスウィングの4分の3、肩から肩のスリークォーターショットを基本としましょう。また多くのアマチュアはクラブを長く持ちすぎ。短く持てばシャフトのしなりも少なく、ボールの高さも抑えられるはずです。
GD 結構、体がキツいですね。
米山 だからピンに絡むし、バーディが取れるんです!
GD 距離をコントロールする前に、まずは振り幅の大きさとボールの高さをコントロールするわけですね。
米山 はい。スウィングはコンパクトになるし、グリップを短く持てばクラブも扱いやすくなります。ライン出しもしやすく方向性が整う。低く抑えた球が打てれば距離感も磨かれてきます。アマチュアにとっては、いいことだらけです。
<ポイント1>振り幅は肩から肩
<ポイント2>指2本分短く握る
同じ振り幅でもクラブを短く握るだけで、シャフトのしなり、手首の動きを制御しやすく、ボールの高さも抑えられる。指2本分は短く持ちたいところ
振り幅を変えずに
距離を打ち分けてみよう
GD 100Yを狙うショットの精度を上げる方法は?
米山 振り幅を変えずに距離を打ち分ける練習法がオススメです。具体的にはたとえばPWで40、50、60Yと、同じスリークォーターの振り幅で10Y刻みに距離を変えていきます。シャフトを握るくらい短く持って、前傾角をキープしながら、アドレスからフィニッシュまで緩まないことがポイント。かなりエネルギーを使う練習ですが、インパクトで右肩がかぶったり、左肩が浮く、アマチュアに多いミスもなくなります。
<ポイント1>振るスピードを遅くする
<ポイント2>深い前傾をキープ
短く持ってアドレスし、そのときにできた深い前傾角をキープしたまま振ってみよう。手打ちの防止と体幹を使ったスウィングが身につく。インパクトも自然とハンドファーストに
<ポイント3>インパクトで胸は正面
インパクトでは頑張って胸の面がボールを向くようにする。肩の高さが変わり、胸の面がボールから外れることが、距離と方向性を乱す原因になる
週刊ゴルフダイジェスト2021年3月16日号より