Dr.クォンの反力打法 Vol.21「振り遅れ」は“オーケストレーション”に問題あり!
クラブが遅れて下りてきてフェースが開いて当たる「振り遅れ」。この原因は上半身と下半身の「オーケストレーション」が取れていないことが原因であるというのだが……。
【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家
吉田 今日は読者から質問がきています。「地面反力を使うと、たしかに体が勢いよく回る感覚はあるのですが、インパクトで振り遅れてしまい、ボールが右に出ることが多いです。もっと腕を振ることを意識したほうがいいのでしょうか?」
クォン ふむ。これはオーケストレーションの問題だね。
吉田 オーケストレーション?
クォン オーケストラは、いろんな楽器が別々の音階を奏でながら、ひとつの「音楽」として見事に統合されているね。ゴルフのスウィングも、足や腰、腕、クラブとさまざまなパーツが異なる動きをしながらも、それらが上手く作用し合ってひとつのスウィングを作り上げる。これがバラバラになると、不協和音が生じてしまうわけだ。
吉田 そのひとつが「振り遅れ」だと。
クォン スウィングがオーケストレート(統合)されるためには、体の各部がしっかりとコーディネートされていなければならない。
吉田 オーケストレートとコーディネート……なんだかややこしいですね。
クォン コーディネートというのは、各部の運動がちゃんと順番どおり行われるということ。
吉田 以前からおっしゃっている、足→腰→胸→肩→腕……という正しい動きの順序のことですね。
クォン そう。ダウンスウィングは下半身(足と骨盤)が引っ張って、上半身(お腹、胸、肩、腕、クラブ)が後からついてくる、というのが正しい順番。切り返しでの腰の鋭い回転が、上半身と下半身のオーケストレーションを生むわけだ。
吉田 でも今回の質問者のように、腰を強く切ることを意識するあまり、腕が振り遅れてしまうケースもあります。
クォン それはおそらく、切り返しで腰や胸が回転するタイミングが早すぎるのが原因。いわゆる「開きが早い」ために、上半身と下半身がバラバラになり、腕とクラブが体の後ろに下りてきてしまっているのだろう。
吉田 これを防ぐにはどうすれば。
クォン 前回紹介した「斜め前ステップ・ロープ素振り」はまさにうってつけだね。
吉田 左足を前にステップしながらロープ素振りをするアレですね。たしかに上体の開きを抑えられますし、ロープをスムーズに振るにはタイミングよく各部を回していく必要があります。
クォン 指揮者が腕だけでなく体全体でリズムを取るように、ゴルフも腕だけを速く振ろうとしてもオーケストレーションは上手くいかないよ。
Dr. クォン&吉田洋一郎
『驚異の反力打法』
無料サンプル版あり。Myゴルフダイジェスト有料会員は全ページ閲覧可能!