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【浦ゼミナール】Vol.44 バンカーショットは「ハイバウンス=やさしい」とは限らない

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。バンカーが苦手ならハイバウンスのウェッジがやさしいとよく言われるが、浦さんは必ずしもそうではないと話す。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

フェースを開く人は
ハイバウンスは合わない

――今回も、前回に引き続きバンカーの話をお聞きしたいと思います。バンカーが苦手な人は、やっぱりハイバウンスのウェッジを使ったほうがいいんでしょうか?

 バンカーが苦手な人は、バンカーに入れなければいいので、バウンスは気にしなくていいです! これは毎回しつこく言いますよ!(笑)

――まあ、それはそれとして。バンカーショットがやさしくなるウェッジってあるんですか?

 砂質やスウィングのタイプ、どういう球を打ちたいかによるので一概には言えませんが、ハイバウンス信仰はいい加減やめたほうがいいと思いますね。ハイバウンスが必ずしもやさしいわけじゃありません。

――そうなんですか?

 まず使い方が大前提。バウンス角が12度以上あるウェッジは、フェースを開いて打っちゃダメ。ソールが砂の中に入り込んでいかずに弾かれてしまいます。反対にバウンス角が10度以下の少なめのウェッジは開いて使わないとダメ。ローバウンスをスクエアに使ったら、ソールで浮力が得られず刺さってしまって、砂を上手に飛ばせません。

――バウンス角に応じて正しく使わないと、適正なバウンス効果が得られないという感じでしょうか?

 まあそんな感じです。言い方を換えるなら、フェースを開く人はハイバウンスは使えないし、開けない人はローバウンスを使っちゃダメ。その意味で、フェースを開かなくてもオートマチックに砂を飛ばせるので、開かない・開けない人にとってはハイバウンスはやさしいという言い方はできるかもしれません。しかしこのオートマチック性は、繊細なコントロールができないということでもあり、いろんな細工はローバウンスのほうがしやすい。私はフェースをめっちゃ開くしいろんな球を打つので、ハイバウンスはむしろ難しく、ローバウンスのほうがやさしいということになります。


――万人にやさしいウェッジはないということですね。

浦 そうですね。ちなみにローバウンスのウェッジは、インパクト時に砂の抵抗でロフトが立つ動きが生じて球は低く出るので、フォローでフェースが自分の顔を向くように、フェースが閉じないように使います。反対にハイバウンスはバウンスの重さで少し沈むように動いて球が高く出る特徴があるんです。

私のウェッジは開けるローバウンス

浦さんはフェースを開いて使うので愛用のウェッジはローバウンスで、ヒール側が削り落とされている。これでフェースを開いてもバウンスが出すぎず、繊細に扱えるという

ローバウンスはロフトが立つ
ハイバウンスは重さで沈む

ウェッジはバウンス角の大きさによってインパクト時のヘッドの振る舞いが変わる。ローバウンスはロフトが立つ方向の力が働き球が低く出るが、ハイバウンスはソール後方が砂に沈むように動いてロフトが増え、高めの球が出やすいという

距離はフォローの
大きさで打ち分ける

――応用編になりますが、バンカーショットの距離の打ち分けはどうすればいいんでしょうか?

 基本的にはバックスウィングとフォローの大きさで打ち分けます。とくに大事なのはフォロー。飛ばしたいときは小さいバックスウィングから大きなフィニッシュに振り切る。飛ばしたくないときは、しっかりバックスウィングするけれど、振り切らずにフォローを小さく抑える。砂=ボールに伝えるエネルギーを変えることで距離を打ち分けます。ちょっとフェースの開き方を加減したりはしますが、構えやスウィング自体は変えなくてOK。インパクトの力感で距離を打ち分けようとするアマチュアは多いですが、これはミスのもとです。

飛ばすときは小→大

飛ばしたいときは小さなバックスウィングからフルスウィングと同じ大きなフィニッシュまで一気に振り抜く。ボール位置も構えも普段と同じでOK。「強く」ではなく「大きく」振っていくのがポイント

飛ばさないときは大→小

飛ばしたくないときはフォローを小さくし、最後まで振り切らない。バックスウィングは大きくていいが、フィニッシュの位置を事前に決めて、そこまでゆるまないようにスウィングしよう

――スピンでキュキュッと止める打ち方って、どうやるんですか?

 スピンね……。よく聞かれますけど、普通のアマチュアにはできませんから、絶対にやめといたほうがいいですよ。

――ですよね。でもどうやっているのか、興味はあります。砂を薄く取っているんでしょうか?

 バンカーショットはフェース面の触り方でスピンをかけるわけではないので、砂を薄く取ればスピンがかかるわけではありません。ヘッドスピードを上げてスピンをかけているんです。目いっぱいフェースを開いて球が飛ばないように構えて、ヘッドを走らせてフルスウィングする。強振するぶん軸ブレしやすいので、左足体重のまま軸をブラさず思い切り振り抜きます。インパクトがズレやすいうえホームランしたら大ミスになるし、距離を合わせるのも難しいから、簡単にはできないんです。

――ランを出して転がして寄せるときは?

 あれは、ボールを砂ごと前にゴソッと飛ばすイメージですね。ボールの手前から砂をブルドーザーみたいに削りながら、低く長くヘッドを動かして砂ごと運ぶように打ちます。でもこんな技に色気を出す前に、ちゃんと基本の技術を身に付けてくださいね。そして「バンカーに入れないこと」。しつこいけれど、バンカー攻略はこれに尽きます!

スピンをかけるならHSアップ

ボールは左寄り、フェースは最大に開いて左足体重で構えたら、左足体重のままヘッドスピードを極限まで上げて振り抜く。軸ブレすると大ミスになるので注意

ランを出すならブルドーザー

左足体重でハンドファーストに構え、ボールの手前から砂を削り取るようにヘッドを低く動かし、砂ごとボールを前に運ぶイメージ

月刊ゴルフダイジェスト2023年11月号より