【ゴルフの急所】Vol.32 ハーフスウィングで打とうとすると上手く当たらない…寺西流の解決法とは?
30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/六甲国際GC
よく、上手くなりたかったらハーフスウィングを練習しなさいと言いますが、腰から腰の振り幅で打とうとしても上手く当たりません。何かいい方法はありませんか?(西岡智康さん・44歳・HC24)
自分がイメージした振り幅でスウィングできない。これは、大人になってからゴルフを始めた人にありがちな悩みではないでしょうか。
たとえば、子どもに「あそこを狙ってごらん」と言うと、見た目と感覚だけで、その目標までの距離が打てるようになります。
しかし、大人に「あそこを狙って」と言うと、「あそこまでは何ヤードですか?」と聞き返す人が多い。これは、大人になると、見た目や感覚だけでは距離を打ち分けられなくなるためです。大人は、感覚ではなく、頭で考えて対処しようとします。そのために具体的な数字が必要になるのです。
ハーフスウィングにも同じようなことが言えます。子どもの場合は、腰から腰の振り幅でスウィングしようと思っただけで、感覚的にそれができてしまいます。
でも、大人の場合はそうはいきません。振り幅をイメージしただけでは、その振り幅で打てないことも多いのです。
ここで必要になるのが、「腰から腰の振り幅のスウィング」の形、体のポジション、その振り幅で打ったときの弾道など、具体的な映像を体と脳に覚え込ませる訓練です。距離を打ち分けるときに具体的な数字を必要としたように、大人がハーフスウィングを身につけるときには、その具体的な映像が必要になるのです。
練習をするときには、腰の高さのトップを作った状態から、球を打つとよいでしょう。アドレスしたら、腰の高さまでバックスウィングして静止し、クラブのポジションを確認します。このとき、トップの大きさがイメージ通り(腰の高さ)であれば、そこからダウンスウィングして球を打つのです。
もし、トップが思っていたより大きかったり、小さかったりしたときには、もう一度アドレスからバックスウィングして、自分がイメージした位置にクラブが上がるようになるまで練習します。
これを繰り返しながら、腰から腰の振り幅でスウィングしたときのクラブや体のポジション、弾道などの映像を脳に焼き付けていきます。そうすることで、自分のなかに、ハーフスウィングの感覚を作り上げていくのです。
注意したいのは、バックスウィングするとき、ヘッドを目で追いかけないことです。トップの位置を確認する意識があると、顔を右に向けた状態でバックスウィングしがち。でも、それでは通常のバックスウィングとは体の形や動きがまったく変わってしまうので気をつけてください。
この練習で、腰から腰までのスウィングができるようになったら、胸から胸、肩から肩などの振り幅も練習してみるとよいでしょう。そうすることで、コントロールショットの精度もグンと上がってくると思いますよ。
Point 1
イメージ通りの高さに上がっているかを確認する
【1】スタンスを狭めてアドレスを作る
【2】「腰の高さまで上げる」意識でバックスウィング
イメージ通りの高さに上がっていれば問題ないが、イメージした位置より大きい場合、小さい場合には、再度バックスウィングしながら修正していく
【3】クラブのポジションを目で確認する
【4】そこからダウンスウィングして球を打つ
トップの大きさがイメージ通りなのを確認できたら、ダウンスウィングして球を打つ
Point 2
反動を使ってダウンスウィングを開始
腰の高さまでバックスウィングした状態から球を打つ。このポジションからいきなりクラブを下ろすのは難しいので、トップの位置からほんの少しクラブを上げ、その反動でダウンスウィングして球を打つとよい
【注意】
顔を右に向けてバックスウィングしない
顔を右に向けた状態でバックスウィングすると、体の形が通常とは変わってしまう。この状態で練習しても、実際に球を打つときには同じ動きができない(同じ位置にクラブが上がらない)ので注意しよう
月刊ゴルフダイジェスト2023年10月号より