扇風機を浴びながら鉄アレイに向かって打つ!? トップアマの巣ごもり練習が深かった
なかなか思うように練習ができないなか、トップレベルの競技アマは自宅でどんな練習をしているのか。自撮り写真を送ってもらい、話を聞いた。
File.1 佐藤慶太さん(46歳・HC0)の場合
「部屋で毎日アプローチ&パット
1年後に結果が出ます」
北海道在住、サラリーマントップアマの佐藤慶太さん。ラウンドできない冬でも練習場には3日と空けず通うが、自宅でのアプローチ&パター練習は毎日欠かさない。
「練習場ではすぐに結果を求めてしまいますが、この毎日の自宅練習をめげずに積み重ねれば、1年後に結果が出ます。ラウンド数の少なさをカバーするため、また転勤族なので環境が変わっても練習するため、常に工夫が必要。実戦に則した練習にもしたい。工夫するのはもともと好きなんです。練習すべてに意味がありますし、効果がなくなったら方法を変えます」
自宅リビングが練習場に早変わり。細かい工夫がいっぱいだ。
「アプローチとパターは100点でなくてもいい。それぞれが平均80点であれば、どちらも補い合えます。そのためには毎日感覚を磨く。お箸を持つのと一緒で、使わないと器用になれません。頭でゴルフをせずに、感覚を研ぎ澄ませるんです。アプローチもパッティングもまずは芯に当たる感覚こそが大事だと思っています」
アプローチはソファーに向かって打つ
最初は壁際に布団を置いて打っていたが、ソファーのほうが安全だと気づく。マットはゴムが厚手のタイプを使用して、階下に音が響かないよう配慮。音が響かないように打つのもポイントだ。また厚めのスリッパを履いて打つことで、目とボールの距離を実際のコースと同じ感覚にすることができるという
ときにはテレビをつけながら練習することも。
「テレビをつけるのにも意味があります。集中力の練習になるんです。アプローチは52度、58度で3mくらいを打つ。5~10分行います。芯に当たれば手の力を使わなくても同じ高さに上がりますし、芯から外れるとフェースに乗って終わり。弾まない感じです」
パットは2mのストレートラインを練習。20回連続成功することが目標。
「2m以内はラインを読み間違えなければ入れるべき距離。ロングパットも2mには寄ります。また、5つのタイプのパターで練習。パターの形ごとの利点とは、正しい体の動きをサポートするためにある。重心距離、重さ、打感、バランスの違いによってボールの転がりや勢いも変わるので、すべてのパターでよいストロークができたら、パット全体のレベルアップにつながりますし、調子が悪いときにはその原因もわかります」
パットは扇風機を浴びながら鉄アレイに向かって!?
北海道在住にも関わらず、なぜか1年中扇風機が出ている斉藤家。風の日は集中力が低下しやすいので、あえて風を浴びながら練習するという。狙いはカップではなく5kgの鉄アレイ。おもりの間の幅がカップより少し狭いので、しっかり打たないと真っすぐ返ってこない。またテレビをつけながらやることで、音に惑わされずに集中力を高める訓練になるという
特徴の異なる5つのパターでセルフチェック
左から(1)ピン型はストロークのクセや特徴、(2)2ボールは目標に対して正確に構えられているか、(3)ピン型フェースバランスは正しい手の動き、(4)ツノ型マレットはスムーズなテークバック、(5)センターシャフトはシャフトの動きをそれぞれ確認できるという
File.2 二宮慎堂さん(38歳・HC+1)の場合
「難しい練習よりも
楽しい練習をするほうが効果的」
小誌伝説の連載「遊ぶつもりでやってみて!」でも数多くの練習法を教えてくれた二宮慎堂さん。パッティングが大得意で、パットが入れば60台は出ると豪語! 練習場での仕事が終わると自宅に戻るのは22時過ぎ。それでも毎日2時間くらいはパット練習を行う。
「昨年の平均パット数は30前後。3パットはほとんどしませんよ(笑)。目標は1試合30パット、最大35まで。40パットしなければ、安定して80台は出ます。パットに自信がつくと、グリーンに乗ればそこそこのゴルフができると思える。ドライバーをすごく練習するより効率的です。苦手な人は、考えすぎていたり、難しい練習をしすぎかも。入れるより、自分が思った場所に打ち出す練習が肝心だと思います」
練習は多岐にわたる。でも、二宮さんは常に楽しそう。“考えすぎ”ではなく“研究・探求”なのだ。「パットでも芯に当てるのは本当に大事。読みは別としてラインには乗ります。あとは強いか弱いかだけ。プレッシャーがかかる場面や、ショートパットや下りのパットでもそこが大事。芯を外してサイドスピンがかかると打ち出しは思いどおりでも曲がってしまいます」
芯で打つための練習法は?
「寺西明プロに教えてもらった練習があって、ボールのディンプルの1つをペンで黒く塗り、それを見ながら打つ。不思議なことに、芯にしか当たりません。頭も動かなくなる。僕も調子が悪くなったらこの“ドット打ち”をやります」
寺西プロ直伝「ドット打ち」
ディンプルの1つを黒く塗り、それを見ながら打つ。「黒丸を右側にして置き、ビリヤードのイメージで、パターの芯とぶつける感じで打つ。不思議と芯に当たるようになります」
距離感・タッチを磨くには、「ボールが転がって入るイメージを“時間”として考えて練習します」という。いったいどういうことか。「僕の場合は、インパクトしてから1秒=1mというのをベースにしています。3mなら3秒、10mなら10秒……と何秒か数えながらやると邪念も入りません。練習グリーンで1ピンの距離が何秒か数えると、グリーンの速さがつかめます。また下りの場合は0.7秒、上りの場合は1.3秒というふうに考えることもできます」
常に進化を求め、グリップ、ネック形状と打点の関係など、発見したパットのコツは数知れず。「3年くらいかかったんですよ」と笑う二宮さんなのだ。
二宮さんの気づき1
この握りならヘッドがブレない
「(ノーマルグリップの場合)右手の親指・人差し指と、左手の薬指。この3本を100%で握って、あとの7本は50%で握ってストロークすると、一番ヘッドがブレないことに気づきました」
二宮さんの気づき2
ネック形状で打ち方は変わる
ヘッドとネックが一体化しているタイプ(クランクネックなど)は、ボールを真ん中~右寄りに置き、上めの打点でぶつけ気味に打つのが合う。一方ヘッドとネックが別々なタイプ(センターシャフトやベントネック等)は、ボールを真ん中~左寄りに置き、下めの打点でフォローを大きく出していく打ち方に合うことに気づいたという
※登場したアマチュアにはボランティアとしてご協力いただきました。
週刊ゴルフダイジェスト2021年3月2日号より