Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • 【ゴルフ野性塾】Vol.1779「球を芯で捉えるスウィングを目指せ」

【ゴルフ野性塾】Vol.1779「球を芯で捉えるスウィングを目指せ」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

今日4月13日、
木曜日。

現在時、午後12時5分。
福岡は昨日も今日も霞む街。
春霞みなのか黄砂なのか。
15階の廊下、薄くはあるが色異なる砂の層が出来ていた。
文句は言えぬ中国からの黄砂飛来だ。
コロナは誰に文句言えばいいのか。
文句言っても通じぬ国か。
日本はいい国だ。
海外を旅して帰国した時、強く思うは日本の善さだった。
2020年の1月にタイから帰国した後、海外の旅はなくなった。
昨日今日と中途半端な暖かき日が続くが、均一の暖かさ続く様になったら国内の旅出来たらと思う。
イチゴ大福とあわび餅、食べたいな。
体調良好です。

左腕一本の素振りで何かが変る。

芝がないうえに、霜が解けて水を吸い込んだ春のライが嫌いです。アイアンショットもアプローチもダフってばかりでゴルフになりません。ダフりやすいライでは、ボールを右に置いて、上からヘッドを入れるほうがいいのでしょうか。それともボール位置は真ん中で、ボールだけクリーンに打つほうがいいのでしょうか。自分でいろいろ試していますが、どれもしっくりいきません。塾長、どうすればいいでしょうか。(宮城県・佐藤亮介42歳ゴルフ歴15年平均スコア95)


クラブヘッドの軌道が不均一だと強き自信は生れ得ぬものだ。
人の幸せに多く存在するのが空自信、空確信の類いだと思う。
成功の数、多く在れば本物の自信、確信は生れようが、成功の数、単発数だと自信確信持ったとしても、それは空自信、空確信の類いであろう。
アプローチ然り。
どれ程の練習したとて試合で成功した結果、続かなければ空の文字の取れた自信と確信を得る事は出来ないと思う。

どうすればコースラウンドで上手く打てるのか、善き結果、得る事、出来るのか。
私は首筋を立てて左腕だけの素振りを勧める。
そりゃ、ゴルフやられる方、皆が器用じゃない。
10度の素振りで振りのコツ得られる方もおられれば、30回素振り続けても「ああ、この振りだったのか」とのコツ得る事出来ぬ方もおられよう。
人それぞれだ。
継続は忍耐を生む。
忍耐が継続を生むとの考えもあるが、楽しく続けたければ継続の後の忍耐、生じる事、覚悟しなければならないと思う。
稽古事、鍛錬事、戦い事、いつ迄も続く楽しさはない。
いつ迄も続く苦しさもない。
いつかは変る節目、いつかは変る潮目だ。

私の経験で申すが継続に苦痛生じた時、どこ迄辛抱すればいいのかと考えた事がある。
高校時代、ドイツ文学に傾倒した。
ルソー、ゲーテは読めた。
ニーチェが読めなかった。
ニーチェの翻訳本をいつも食事するテーブルの上に置いて読もうとしたが、開いても最初の一行から進めなかった。
上滑りの読みであれば進めたと思うが、当時の私は素直であり、頑固であり、両の面を強く持っていた時期であり、上滑りの対応出来ぬ不器用者であった。
どれ程の時を過したのかは記憶なしだ。
そして、上滑りの読みを始めたと思う。
ニーチェは読んだ。
ただ、読んだだけの事だった。
ルソー、ゲーテへは深く入れたのにニーチェに深く入る事は出来なかった。
今は想う。
苦しみの経験が少な過ぎたからだと。

ゴルフ然り。
楽しい練習、コースラウンドは必要だが、苦しい練習、苦しいコースラウンドも必要と思う。
ゴルフ初心者は練習場通いに精を出す。
球打つのが楽しいからだ。
だが、いずれかの時、苦しさが姿を現す。
稽古事は一歩一歩だ。
その一歩一歩を楽しいと思うか、苦痛と思うかは人それぞれ。
答えは己の中に在ると思う。
人様に出して貰う答えじゃない。

左腕だけの素振り、アドレス時の前傾角度を強く出せば左肩と左腕、そして左グリップの型は窮屈さを生む。
首筋を立て、前傾角度を緩やかにして左腕一本の素振りをすれば、クラブヘッド軌道は方向と地面に対する高さの均一性を生む。
この均一性がダフリ、トップのミスを失くすのです。
ミスは一連を持つ。
シャンクに悩む方のシャンク出る迄のミスを分析した事がある。
まず、ダフリ球ばかりを打たれていた。
次にトップ球ばかりが出た。
トップの後に来たのはヒールトップだった。
低く出て、右へ曲るヒールトップ球である。
そして、シャンク球が出た。
シャンクに注意してもシャンク球出れば大いなる問題ありだ。
その時は苦しみ覚悟せねばなるまい。
シャンクは突然出る球ではない。
ダフリ、トップ、ヒールトップ、そしてシャンクと続くミス球である。
低く右へ曲って行くヒールトップ出たら、その練習止めるべきと思う。
クラブヘッド軌道の修正が要る状況であります。

首筋を立てて左腕一本の素振りを続けて下さい。
毎夜、50回。
1カ月続けるは必要だ。
この1カ月、苦痛が苦痛で終るか、苦痛が楽しみに変るかは熱の入れ方次第。やる気、負けん気、へこたれん気の三つの気が生む熱が貴兄の悩みと不安を変えてくれる筈です。

人は体・技・心の順番で事を覚えて行くと思う。
体、技、そして心の三連番だ。
貴兄は心に悩みと不安を持つ。
その悩みと不安を体・技・心の体へと移行すればよいのです。
体を鍛えて修正出来るものあれば簡単。
難しい事ではない。
技での修正も難しくはない。
だが、心の修正となると困難さ生じる。
稽古事は難しい事から覚えて行くか、易しい事から覚えて行くかで10年先は大きく変ると思う。
私は想う。稽古事、継続事、戦い事は基本が持つ易しさから始まるを最善とするのではないかと。
易しさから入れば己の中に入り易いと思う。
難しさから入れば己の中に入るは困難だ。
数学は算数から入る。
だが、稽古事、継続事は算数と数学の区分けは難しい。
だから難しい事から入ろうとする方が出て来る。

この傾向、特に指導者に多い様である。
初心者に300ヤードを目指せ、プロゴルファーを目指せと申しても300ヤード打つには300ヤード飛ばせる体、技術が要る。
まず、目指すは球をクラブヘッドの芯で捉えるスウィング作りであろう。
本能で打て、思いっ切り振れ、スウィング型に拘るな、と教える人もいるが、成功の確率考えた事のない人の指導姿勢の様な気はします。
指導には責任が伴う。
無責任の指導は後の苦しみ増やすばかりだ。
苦しみから脱して楽しさ増す時期に苦しさ増すばかりじゃ教わる人は迷惑至極。
指導に必要なのは責任と思う。
責任の取り様は身を引く事。

貴兄は左腕一本の素振りを続けよ。
それで何かが変る。
体・技・心の心に達すれば幸運。
体・技・心の中の体への戻りを勧めます。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2023年5月2日号より