【浦ゼミナール】Vol.38「バンカーを避ける」の本当の意味
身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。今回は、「バンカー越えを避ける」話から、マネジメント全般の話へと発展していった。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー
浦大輔
うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰
本気でバンカーを避けるのは難しい
――前回「6.1P」のアプローチのなかで、転がし中心でマネジメントするために「バンカー越えを徹底して避ける」という話がありました。でもそれ、かなり難しいですよね?
浦 もちろんです。「バンカーに入れなければ、バンカー越えを避けられて、いいスコアが出る」というよりも、「バンカーを徹底して避ける腕前があるからスコアが出る」といっても過言ではないと思います。コースでは、グリーン右にバンカーがあって左を狙えばOKというようなシンプルな状況なんてそう多くはありません。3方向が池やバンカーに囲まれているホールもあるし、ティーショットの置き所を間違えばグリーンを狙うときと同じくらいの精度で方向や距離感を求められる場合もあります。たとえば下のようなホールで、ショートアイアンならまだしも、ロングアイアンやUTで「バンカーを避ける」のが、相当な高等技術であることはわかると思います。
ここを狙える力があればいつでも70台が出せる
左のようなグリーンに対して長い距離が残り、刻もうと思ったら、左手前のゾーンにボールを置くしかない。右手前のバンカーに届かないように打っても、次打がバンカー越えになってしまう。本気でバンカーを避けようと思ったら、このレイアップを確実に成功させる技術が求められるのだ
――刻むつもりでもついピンが目に入って、右手前のバンカーに入れてしまうイメージしか湧きません(笑)
浦 そうなんです。「目標を外して狙う」って実はすごく難しいんですよ。プロがよく「ピンを狙わずグリーンセンターに打つ」って言いますけど、それ自体がかなりハイレベルな話ですからね。
――アバウトでいいはずなのに、どうして難しいんでしょうか?
浦 点ではなくゾーンで狙わなければならないから。狙いがアバウトならやさしいというわけではないんです。経験値が足りないということもある。だって「あの辺」っていうゾーンを狙って打つ練習、したことないですよね?
――考えたこともないです……。
浦 「ゾーンで狙う」のはマネジメントのベースとなる技術なので、ぜひ練習してください。それにゾーンで狙う練習をすると、自分のミスの傾向や誤差の範囲もすごく明確に見えてくる。多分、70台で回る人でも左右……というか半径40ヤードくらいはズレると思いますし、ズレる方向も偏るはずです。
「乗せない」ゴルフでマネジメントがわかる
――具体的にはどういう練習をすればいいんですか?
浦 練習場の「何もないところ」を狙って落とす練習をしてください。グリーンも看板もないところで、目印も決めずに極力アバウトに狙うのがポイントです。「ゾーン」とは言いましたが、「ここからここ」とか「この範囲の中」というような具体的な範囲も決めないでください。その境界線があると「そこより内側・外側」というように結果が白黒ハッキリしてしまうのですが、あえて白黒つけずに「成功」「失敗」の線引きもせずにやるんです。
――なるほど。
「目標を外す練習」がコースで役に立つ
バンカーを避けたりグリーンを外す時、レイアップ時などに役立つ「ゾーンで狙う」技術を磨くには、練習場の「何もないところ」に打つ練習が有効。目標や範囲を決めずにできるだけアバウトに打って、球の散らばりや偏りのデータも取りたい
浦 それと、ぜひやってみてほしいのが「パーオンさせないゴルフ」です。これをやると本当にゴルフが上手くなりますよ。
――あえて外すんですか?
浦 パーオンさせたらペナルティ。ティーショットが完璧でベスポジであっても、残り100ヤードを切っていても、グリーンに乗せちゃダメというルールです。パー3も意図的に2オンでプレーします。2打で乗せちゃいけない(パー4)なら、3打目をどこから打てばやさしいかを考えるようになるし、どうせ2オンさせられないならティーショットも飛ばす意味がなくなる。
「グリーンに乗せない」ゴルフをしてみよう
「パーオンさせないゴルフ」はマネジメント力を磨くのに最高の練習。「もったいない」と思わずにぜひトライしてほしい。できれば、完璧なティーショットを打ったと想定したベストポジションから「乗せない」練習がベターだ
――こういうときに「狙わない」練習が役に立つわけですね。
浦 そうです。実際にやってみると、メチャクチャ脳が疲れます。普段どれだけ頭を使わずにゴルフをしているか痛感すると思いますよ(笑)。でもこれをやると、マネジメントと言われてもピンと来なかった人も、なるほどこういうことなのかと実感できますし、平均スコア90台以上の人なら、絶対に普段よりもいいスコアが出ます。多分、80台で回っている人でも普段と変わらないスコアにまとまると思いますよ。
――本当ですか?
浦 そりゃあそうです。自分の普段のパーオン率が何パーセントか知ってますか?(笑)。どうせほとんど乗らないのは一緒なんですから、普段「意図せず外している」のを、「意図したところに外す」ようにしたら、結果がよくなるに決まっています。
――そ、そういうことですか……。
浦 マネジメントを組み立てるには、コースを俯瞰でイメージすることも大事です。これには経験も必要なので、いま見えている景色からレイアウトを想像する練習を普段からしておくといいんです。たとえば、ティーイングエリアからの景色だけでコースの俯瞰図を絵に起こしてみる。写真とかシミュレーションの画面でもできるので、ぜひやってみてください。
ティーイングエリアからの景色でレイアウトを想像
ティーイングエリアからの景色だけで、ホール図を俯瞰で想像し絵に描く訓練をしよう。コースに仕掛けられた「錯覚」の罠が見えてきたり、ブラインド部分や奥行きに対する想像力なども磨かれ、マネジメント力アップに有効だ
月刊ゴルフダイジェスト2023年4月号より