【人気連載アーカイブ】遊ぶつもりでやってみて Vol.54「飛ぶ人と飛ばない人の違いは“右ひじ”の使い方」
家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載!
ILLUST/Masaaki Takauji
飛ぶ人と、飛ばない人。一体何が違うのだろうか?
体格、筋力、スウィング、クラブ、センス……様々な要素が絡みあっているので、ひと言で片づけるのは難しい。ボクの知り合いにも、背格好(170センチちょい)やハンディ(片手シングル)が同じぐらいなのに、飛ぶ人と飛ばない人がいる。
ふたりは友人で、使っているドライバーまで一緒なのにAさんは280ヤード、対してBさんは230ヤードと、飛距離がまったく違うのだ。この差は何なのか!?
不思議に思ったボクは、しばらく双方を観察してみた。ボクも含め全員知り合いなので、一緒にラウンドすることも多く同じ条件で観察することができた。
そもそも、飛ぶ飛ばないは、インパクトでいかにヘッドを走らせるかにかかっていると思う。よく、”フォローで飛ばす”的なレッスンがあるけど、フォローでは飛ばせんよねー、というのがボクの意見だ。
その観点でいうと、AさんとBさんには、ひとつだけ決定的な違いがあった。それはダウンからインパクトにかけての右ひじの使い方だ。ふたりとも、トップがコンパクトという点も似ている。違うのはその先だ。
飛ばないBさんはダウンで右ひじをフリーにするのが特徴。つまり腕を動かしやすい状態にしておいて、思い切りローテーションして打つ。
一方、飛ぶAさんは、ダウンで右ひじを体側にくっつけ、体を回転。ぎりぎりまでその形を崩さず、インパクト直前で一気に腕を解放して打つ。
一見、球をつかまえて打つBさんの打ち方のほうが飛ぶように思う。
でも、進化した今のクラブはローテーションを抑えて体の回転スピードを上げるAさんの打ち方のほうが飛ぶのだ。腕も思い切り振らなくていいので、体もラク。それで飛ぶならサイコーである。
さらに、最新クラブは曲がらないようにできているので、わざわざ曲がらないように打つ必要はないのだ。そういった意味でもAさんのほうが、効率的だと言える。
ダウンで右ひじを体につけてインパクト直前まで我慢するのは、「タメがある」と表現されることが多い。でも、Aさんに「タメ」の意識はまったくない。
右ひじを絞るなどして意識的にタメをつくろうとすると、ダウンで右肩が落ちやすくなり、クラブが寝てしまうのでボールを強くとらえることができない。ここのところが難しいんだけど、タメを意識すると、まったく違う形になってしまうので、意識するのは絶対にダメ。
意識するのは、ダウンで右ひじを体につける、それだけ。そうすれば勝手にタメができてヘッドが走る、というわけだ。
ヘッドスピードが2上がれば、10ヤード飛距離が伸びるので、そんなに大袈裟なことではない。ちょっとの意識改革でいいので、飛距離を出したい人は、ぜひ右ひじの使い方をチェックしてみて。
右ひじを体につけてクラブを下ろせれば”勝手に”タメができて、ボールにパワーを伝えられる。離れてしまうと、現代のクラブでは”非効率”な打ち方になってしまう。
全員がチャンピオン! 二宮家
週刊ゴルフダイジェスト2017年12月26日号より