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【ゴルフ野性塾】Vol.1764「ドライバーの飛距離生むは9アイアンの練習」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

今日12月21日水曜日。

現在時、午後零時35分。
窓の外、鳥の行き来が激しくなって来た。
今年一番の激しさと思う。
烏が多い。小鳥も多い。
私の住む福岡市中央区赤坂の15階、海より2キロは離れているがカモメもいた様な気はする。
理由は分らない。
雨、降っている。
小雨なれど、窓に雨の水滴くっ付く様になって来た。
雨は東からの雨。
3日前から一気に寒くなって来た。
読者諸兄、御自愛あれ。
謹賀新年。
皆様の善き新年、善き一年を赤坂の15階か大濠公園のベンチで祈っております。
風邪引かれぬ様、御自愛あれ。

同じトップから3種類の距離を打て。

350ヤードまでのホールしか2オンを狙えません。あと20ヤード、せめて10ヤード飛べば、2打で届くパー4が増えます。現在のドライバー飛距離は180ヤードです。長いパー4を2つで届かせる飛距離をいまから身につけることはできますか。練習場には週2~3回通えます。(兵庫県・松田哲雄・67歳・ゴルフ歴35年・HC25)


私も努力している。
しかし、75歳から76歳へ向う途中、維持の飛距離を保つのが精一杯であります。
若い時の10ヤードや20ヤードはその日の気分、要するに自信の厚さ重たさで生れるものだった。
毎日、ゴルフをしていると分る事なれど、自信がスウィングスピードを変えてくれた。
だが、65歳過ぎると、そう簡単ではなかった。
若い頃は簡単に出来た事が難しくなり、若い頃は難しいと思っていた事が簡単に出来る様になるのが若さと老いではないかと思った。
一打一打の飛距離の変化は若さが持つ変化の領域であろう。
若い頃は自分で驚くドライバー飛距離もアイアン飛距離も出ていた。
この番手で届くと感じればそのクラブで打ち、届いていた事もある。

私は140ヤード前後は9アイアンで打っていた。
140ヤードをサンドウェッジで打つ事はなかったが、160ヤードを9アイアンで打つ事は出来た。
練習ラウンドでその直感は生れず、試合で生れる直感だった。
直観の占める割合は多かった。
そして今、直感とは10年前に別れた様に思う。
老いれば直感は引退する事が分った。
だが、多くの方は直感がいつ迄も現役であると思われている様だ。

違うと思う。
感覚の生きる年齢は存在する。
如何なる領域に於てもだ。
いつ迄も直感、我が身に存在すると思うは間違いである様な気はします。
直感、元気なのは60歳前後の年齢迄と思う。
そこから先は直感に頼らぬ思考考察のゴルフに入るを勧める。
誰でもがそうだ。
直感はスピードを持つ。
そのスピードが飛距離を生み、昨日と今日のゴルフ、そして明日のゴルフの飛距離を生む。
だが65歳を過ぎ、75歳ともなれば直感は住所不定、居所不明の存在となろう。

多くの方は65歳過ぎても直感のゴルフを求める。
70歳になればその欲求は憧れにも似る。
75歳は諦めるべきか、尚も青い鳥を求める日々を過すかの葛藤の年齢に入って行く。
若い頃は分らなかった。
直感が消えるなんて事はだ。
75歳になって分った。
直感は年齢と共に変り行き、大きくはならず、小さくなって行く事が。

貴兄は直感が残る方だ。
練習時、いい当り出来た後の一球、同じ感覚、同じ振り、同じ飛距離、あわよくば前の一球以上の飛距離求めたいと思っての渾身のスウィング、当りはヒールか先っぽかであった記憶、お持ちではないか。
その記憶、私は持っている。
研修生時代はその繰り返しばかりだった。
人それぞれと申すが、年齢が与える能力は誰もが経験して来た事と思う。
その経験、記憶しているか、していないか、気付いていたか気付かなかったかの違いである様な気はします。

貴兄のゴルフ、直感感覚から思考考察のゴルフへの過渡の時と思う。
今迄と同じ感覚で振り行けば同じ結果生れるだけであろう。
トップ位置とフィニッシュ位置の確認が必要だ。
そして、トップ位置は変えず、フィニッシュ位置で飛距離を作る振りを目指すべきと思う。

偶然と思うが11月30日と12月19日の2日間、平成5年から現在迄続くテレビ熊本自社制作番組「坂田信弘のゴルフ理論」の収録、アプローチの飛距離の作り方を主題とする収録を行った。
貴兄の質問、その収録に合致するものであった。
この番組の視聴率は高い。
土曜日夕刻の放送なれど4%から10%の視聴率を取っている。
熊本だけのローカル放送ではあるが、お化け番組と言われて35年、今もお化けの視聴率は取れている、と聞く。
スポンサーは35年間、変ってはいない。有難い事だ。
老舗の地場企業、大劇と米焼酎「しろ」の高橋酒造の二社である。

11月30日と12月19日に撮った9週分の収録、どの距離も同じトップ位置かフィニッシュの大きさで飛距離を変えて行く打ち方を述べた。
そして、後半、飛距離をインパクトの力加減で作る内容へ踏み込んだ。
貴兄に見て貰いたい内容と思う。
飛距離変え、新たな飛距離生む基本は存在します。
それは同じトップ位置からフィニッシュの大きさで打ち行く練習が与えるものであった。
いいスコアの出ている時、そのスウィングと感覚の維持を練習の第一の目標とすべきだ。
今以上を求めてスウィングを変えに行けば負の部分生じると思う。
いい時は変えるな。何事にも触るながゴルフの基本と私は思う。
悪くなった時の予測、そして今以上のゴルフとスウィングのレベルアップを目指しての変化は成功の確率10分の1あれば善しであろう。

指導者は変化を欲す。
変化を抑え、現在の維持を目指すも善き指導と思う。
変化を生むだけが善き指導ではないと私は考える。
変化させぬも善き指導だ。
現状が最善、変化しちゃいけない時にいい時の変化を求め、それで失敗し消えて行ったプロは多い。
変化の欲出しても変化しない。
あるいは大きな変化ではなく小さな変化に止める方がその後の善き進化の確率は高いと思う。悪くなり始めた時の変化でも充分間に合うのです。それがゴルフだ。

貴兄は同じトップ位置で球を打て。
9アイアン、左腕地面に平行の位置か、平行の位置よりも少し高い位置のトップからフィニッシュ位置を3球毎に変えて行く打ち方だ。打つ距離は70ヤード、80ヤード、90ヤード。
理想は9アイアンの倍の飛距離がドライバー飛距離である。
この理想、若きも老いるも同じと思う。
ドライバーの飛距離180ヤードならば9アイアンの飛距離90ヤードが理想である。
ドライバーの飛距離生むは9アイアンの練習。
貴兄にはフィニッシュ位置で70ヤード、80ヤード、90ヤードを作る練習が要る。
週3回の練習場通い出来るなら、1カ月の忍耐あればいいと思う。
他の練習は不要。
やれば“効果なし”となりましょう。
次なる連絡を待つ。
以上です。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2023年1月10・17日合併号より