カチャカチャでロフト調整したらバックラインがズレた。どう対処すればいいの?
イラスト/Kochi Hajime
東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回のお悩みは「カチャカチャ」について。
Q. カチャカチャをいじったら
バックラインの向きが変わってしまった
ホーゼルのカチャカチャ機能を生かして球をつかまりやすくしようと思ったんですが、グリップのバックラインの位置が変わって、構えにくくなりました。どう対処すればいいですか?(51歳・HC12・会社員)
まずはグリップの挿し替えを検討
「オヤジさん、寒い時季はドライバーはカチャカチャ機能でロフトを増やすとラクになる、って言ってましたよね」
コロナ禍でも、ウチの常連さんは年末の打ち納めと年始の打ち初めは欠かさないから、寒さ対策には余念がないらしい(笑)。
「ああ、少しフックフェースにもなるし、振り回さなくてもつかまりやすくなるからな」
「でも、シャフトを回すから、バックラインがズレてヘンなところに当たるんですよ。これ、どうしたらいいんですかね。バックラインなしにグリップ交換したほうがいいとか」
「バックラインはあるほうがいいよ、特にカチャカチャには」
「え、そうなんですか?」
シャフトの挿し方でフェースの向きを変えるのがカチャカチャ機能の基本。そうなると、ソールの座り方も変わる可能性がある。
「ポンとヘッドを置いてからグリップすると、その座り方に持っていかれてグリップ位置が狂いやすくもなる。だから、バックラインでグリップ位置を決められるほうがいいんだよ」
「そうすると……?」
「まず考えるのは、カチャカチャ後にグリップを差し替えて、バックラインの位置を合わせる。冬の間、そんなにカチャカチャ、変えないだろ? それならバックラインも固定できるからな。春になったら、また交換すればいい」
ズラしたまま使う手もある
グリップはルールで多少のテーパーとバックラインの盛り上がりは認められている。フェースコントロールが重要なクラブで、これを生かさない手はないんだ。
「最近ではゴルフプライドの『アライン』とか、バックラインを強調したモデルがあるけど、それだけプロからもニーズが高いんだと思うんだ」
「じゃ早速、グリップ交換してください」
「それもいいけど、この機会に自分に合ったバックラインの位置、探してみないかい?」
「……どういうことですか?」
バックラインはシャフトの軸線に沿って、グリップの真裏にセットするのが基本。
「でも、ちょっと左にズラしたり、右にズラしたりすると手のなかの納まり具合がグッと良くなることがあるんだよ。そうなると、滑りにくいし、よりソフトに握れて振りやすくなるんだ」
昔のプロは、下巻きに竹串を挿し込んだりしてバックラインを強調していたけど、今どきのプロはどうだろうな。
「グリップをねじって、バックラインを右手と左手の当たる位置でズラす、なんて手もあるけど、いろいろやりすぎると自分でもわからなくなるから、ほどほどでいいんだけどね」
「冬場向けのおすすめアレンジとか、ありませんか?」
「そうだなあ、カチャカチャ機能でロフトを増やしてフックフェース気味にセットするんだったら、バックラインは少し左手がウィークになりやすいようにするかな。右手部分はそのままで。ヘッドがつかまるほうに振られているぶん、手元はつかまえすぎないほうにしてバランスを取る感じかな」
「じゃ、それでお願いします」
以前は溶剤をグリップに注入して抜いて、挿し直したりもしたけど、今は新品に替えるように勧めている。別に儲けたいわけじゃないけど、グローブと同じで、機会があったらどんどん新品に替えるほうがいいんだよ、グリップは。
月刊ゴルフダイジェスト2021年2月号より