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「VG3」「ゼクシオプレミアム」…日本独自のマーケット「プレミアムボール」の存在価値とは?<後編>

ボールの開発は年々進化を遂げ、“飛んで止まる”高性能なツアーボールがフラッグシップモデルとして各社からラインナップされているが、一方で、日本だけで販売されている飛距離重視の「プレミアムボール」というカテゴリーも存在する。その特徴と、存在価値に迫った。

解説向井伸吾さん

ツアープロへのフィッティングを担当するタイトリストのゴルフボールフィッティングスペシャリスト。アマチュア向けのボールフィッティングも担当し、ボールに対する知見は深い

>>前編はこちら

日本人の多様な好みに対応

「タイトリストの開発は、プレーヤーからのフィードバックを重視します」と向井さん。「新しい『プロV1』が出ると、世界中のツアープロがすぐにスイッチできるのは、前モデルから正統に進化しているからです。これは日本でしか販売されていない『VG3』にも当てはまります。実際に日本で使用している50〜70代のアマチュアゴルファーの意見を中心に改良を重ねています。『VG3』の開発は米国で行われていますが、新ボールを作る際には、担当者が来日し、使用者と直接、といっても通訳を介してですが(笑)、話を聞いているんです。最新モデルと20年モデルの違いは、日本人好みの打感の軟らかさはそのままに、コアの改良でさらに飛距離性能をアップさせました。

カラーリングについてもフィードバックの大切さを感じます。芝や樹々など緑が多いゴルフ場では緑色のボールは視認性が悪いと考えられがちですが、前作からラインナップされたカラー『マットグリーン』はコースで見つけやすいと評判です。カラーボールの市場は米国では10%未満なのに対して、日本は3倍の30%ほど。この分野では日本はかなり進んでいるんです。『VG3』で得たデータの蓄積が”プレミアムパフォーマンス”ボールのカラーリングにも役に立っていくんです」(向井さん)

2010年デビュー『VG3』進化の歴史

2010
センターコアがソフトな打感と低スピンを生む
軟らかい2層のコアを低スピン設計のアイオノマーカバーで覆い、低スピン高弾道で飛ぶと一躍人気に

2012
2代目からイエローパールが登場
ディンプル形状とコアが進化し、よりソフトに。光沢のあるイエローパールはこのモデルから登場

2014
ディンプル数が312に!
『プロV1』『プロV1x』で得た空力技術を『VG3』に採用。飛ぶだけでなく、弾道が安定した弾道の安定性が向上

2016
ボール初速にこだわり飛距離性能がアップ
飛距離に特化したディンプルに。多層コアと高弾性のアイオノマーカバーでどの番手でも高い飛距離性能を発揮

2018
コアの改良でよりソフトな打感
特徴的なサイドスタンプは矢印の視認性が高く、パッティングで目標に合わせやすいと評判になった

2020
センターコアを大きくしボール初速が向上
センターコアを大きくし、反発性能の高いカバーにより、ボール初速が向上し、スピン量を低減

国産ブランドも“プレミアムディスタンス”をラインナップ

日本人ゴルファーのことを知り尽くした国産ブランドも、“プレミアムディスタンス”ボールをラインナップしている。値段が高いから「プレミアム」なのではなく、「高い飛距離性能」と「軟らかい打感」という相反する難しい要素を両立させているから「プレミアム」だったのだ。とにかく飛ばしたい、だけど打感は軟らかいほうがいい、という人は、一度試してみるといいだろう。

ブリヂストン「ファイズ
日本人シニアの飛距離アップが目的

「『ファイズ』はHSがそれほど速くない人でも飛ばせるボールをという開発コンセプトで作りました。この層には、クラブとボールは同じブランドがいいと思うゴルファーが多いのも特徴です」(ブリヂストン広報)

●カラー/ホワイト、パールホワイト、イエロー、オレンジ、パールグリーン、パールピンク ●ディンプル数/326

ダンロップ「ゼクシオプレミアム
非常にソフトで高弾道かつ低スピン

ダンロップが作るボールの中でも、非常にソフトな打感と、高弾道の低スピンで飛ぶボール。まさに“プレミアムボール”にふさわしい。同社の米国HPでは確認できなかったが、英国HPではラインナップを確認。世界に誇るボールだ

●カラー/ホワイト、パールホワイト、イエロー、オレンジ、パールグリーン、パールピンク ●ディンプル数/326

ダンロップ「スリクソン X3
ドラコン大会の公式球に認定

ソフトなカバー、しっかりめのミッド層、高い反発性能を誇るソフトなコアという進化した3ピース構造を採用。このおかげで、ボール初速が最大化でき、高打ち出し、低スピンを実現した

●カラー/ホワイト、パールホワイト、イエロー、オレンジ、パールグリーン、パールピンク ●ディンプル数/326

ブリヂストン「ツアーB JGR
日本人アマのために飛距離を最大化

「リサーチすると、日本は海外に比べて、飛距離に悩むゴルファー
が多いことがわかりました。そのため、高い飛距離性能を誇るボー
ルは必須。『JGR』は打感にもこだわりました」(ブリヂストン広報)

●カラー/ホワイト、パールホワイト、イエロー、オレンジ、パールグリーン、パールピンク ●ディンプル数/326

週刊ゴルフダイジェスト2022年12月20日号より