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【ヘッドデータは嘘つかない】強いフェードで飛ばせる! 中~上級者好みのタイトリスト「TSR3」ドライバー

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はタイトリストの『TSR3』ドライバーを取り上げる。

発表前にメジャーを制したドライバー

今年の全英オープンを制したキャメロン・スミス、フェデックスセントジュード選手権を勝ったウィル・ザラトリスの使用するタイトリスト『TSR3 ドライバー』を紹介する。空気抵抗を減らす形状を持つヘッドの後方に「SureFit CG トラック」という弾道調整システムを配置。初速と打ち出し角を最適化できるという。

では、クラブとヘッドを計測していこう。いつもどおり数値はすべて実測した値になっている。クラブの長さは45.38インチとやや長く、クラブ重量は310.5gグラムとやや重い。そしてスウィングウェイトもD3.4と大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが295万g・㎠と大きくなっている。この数値だとドライバーのヘッドスピードが47m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計と言えるだろう。

前モデル『TSi3』は比較的オーソドックスな形状だったが、『TSR3』は縦長・洋梨型形状に変更され、フェースのトウ側が丸みを帯びており、逃げ感もある。そして、フェースアングルが1.5度と強いオープンフェースは継続だが、『TSi3』よりも少しアップライト感があるので、前作よりは少しつかまるイメージが出ている。また、ヘッドの後方が低いシャローバック形状で、インパクトをアッパーに振りたくなる形状だ。

Point1 クラブ重量が310.5gとやや重い
Point2 クラブ全体慣性モーメントが295万g・㎠と大きい
Point3 ヘッド重量が202.0gと重い

叩いても左に行きづらい

実際に試打したところ、アドレスでの強いオープンフェースと『TSi3』から変化した縦長形状、そして、フェースのトウ側の逃げ感で球をつかまえ過ぎないイメージが出ている。試打クラブは10.0度でメーカー純正の『TSP310(フレックスS)』仕様。シャフトは前モデルよりもしっかり感があり、インパクトの再現性もいい感じだ。

ヘッド重量が202.0gと重く、リアルロフトは表示ロフトよりも小さい9.7度と厳しいが、うまくミートできればインパクトでボール初速が上がる設計とも言える。そして、重心距離が43.1㎜と『TSi3』よりも長くなり、またスイートスポット位置がフェースの中央よりもトウ側に位置することで、フェースの中央で球をヒットするとスライス系スピンが入りやすい。同時にヘッドのネック軸周りの慣性モーメントも8163g・㎠と非常に大きく、ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかになっている。そのため、全般に球をつかまえ過ぎない設計と言えるだろう。フェースの反発性能自体は標準的な印象を受けたが、9度モデルよりも少しバックスピンが入り、また、左右方向のヘッド慣性モーメントも大きめなので、ストレート~フェード系の安定した弾道を打ちやすいと感じた。

前作モデル『TSi3』と同様にオープンフェースで、トウ側の丸みにより逃げ顔になっている。つかまり過ぎないイメージだが前作よりはややアップライトで適度なつかまりが期待できる

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

タイトリスト

TSR3 ドライバー

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2022年10月11日号より