【プロスペック】細部までこだわり抜いた“専用パター”がメジャー制覇を引き寄せた! マシュー・フィッツパトリックの14本
プロの14本のクラブセッティングと、それらのクラブを選んだプロのこだわりを紹介する連載「プロスペック」。今回は、今年の全米オープンを制したマシュー・フィッツパトリックのセッティングに注目。
PHOTO/Blue Sky Photos
今年の6月、全米オープンでメジャー初優勝を遂げたM・フィッツパトリック。難コースのザ・カントリークラブ特有の硬く小さなグリーンを克服したパターは、ブレード型のベティナルディ製。パター開発の初期段階からパトリックが参加した、いわばワンオフパター。ベティナルディの担当者に聞いた。
「フィッツパトリックとプロトタイプの開発とテストをスタートさせたのが2016年でした。その作業を継続していき、正式に契約したのは昨年でした。
彼が最もこだわったのは、フローネックのオフセットラインとインパクトフィールの2点です。長い間使っていたパターからの移行だったので、数値上のオフセットだけではなくハンドベンディングによるフローネックのカーブについてOKが出るまでかなり時間をかけて仕上げていきました。打感については、ベティナルディオリジナルのグルーブ加工『RCフェース』の深さと幅を微妙に調整していき、打感・サウンド・タッチすべてに納得したミルドフェースとなりました。ヘッド素材のDASSは、303SS(ステンレススチール)に特殊な熱処理を施した独自のモノ。ベティナルディのツアーパターはすべてこの素材です」
こだわり抜いたフェース面を見ると、アーチ状のデザインがかなり特徴的。
「これはフィッツパトリック専用です。打感や転がりといったパフォーマンスのためではなく、彼が構えたときに安心感をもたらすデザインで、かつて使っていたパターの見え方に近づけたものです。実はこのパター、全米オープン優勝記念モデルとして9月に274本の発売が決まって、日本では50本の予定です」
ロフト2.5度、ライ角71度、ヘッド重量343グラム、長さは34インチ。完全メジャーチャンプ仕様のパターだ。
ドライバーはタイトリスト「TSi3」のロフト9度。優勝した全米オープン以降、7月の全英オープン(21位タイ)でもこのモデルを使用。シャフトはテンセイAVシリーズのオレンジ。中弾道&低スピンの振り抜きやすいシャフトだ
ウェッジは「SM8」時代からボーケイを愛用。現在は「SM9」。52度(写真)や56度を使ってのクロスハンドアプローチでグリーン周りをプレーする
ボールは「プロV1x」 。「このボールを気に入っているポイントは、まずインパクトでのしっかりとした打感があること、そして、ボールで最も大切なスピンと弾道の安定性が非常に高いこと」(フィッツパトリック)
マシュー・フィッツパトリックの14本セッティング
週刊ゴルフダイジェスト2022年8月23・30日合併号より