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【ヘッドデータは嘘つかない】低スピンの中弾道で飛距離が出る! キャロウェイ「ローグ ST MAX」アイアン

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はキャロウェイの『ローグ ST MAX』アイアンを取り上げる。

AIフェースで飛距離もアップ

今まではなかった「飛びの3要素」であるスピン量、打ち出し角、ボール初速の組み合わせを含めた新たなアルゴリズムを搭載したAIを活用。飛距離性能もアップしたフェースがウリの『ローグ ST MAX アイアン』を紹介する。

早速、7番アイアンのクラブやヘッドを試打・計測していく。数値はすべて実測値だ。計測したクラブのシャフトは『ダイナミックゴールド95(S200)』で、クラブ長さは36.75インチとやや短い。しかし、クラブ重量が413.6gとやや重く、スウィングウェイトもD2.5と大きめだ。クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが272万g・㎠と大きくなり、この数値だと、ドライバーのヘッドスピードが45~46㎧くらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計といえるだろう。

細部を見ていこう。キャロウェイらしい全体に丸みのあるヘッド形状で、トップラインは丸く、球を包み込むイメージが出ている。またフェースプログレッションが0.5ミリとかなり強いグースネックと、62.3度というアップライトなライ角度で球をつかまえようとしているのがわかる。また、フェースのトウ側が非常に高いので、計測値以上のアップライト感が出ていて、アドレスでは球をフェースのトウ寄りで構えると出球のイメージがつきやすいだろう。

Point1 クラブ長が36.75インチとやや短い
Point2 リアルロフト角が27.2度とストロングロフト
Point3 重心深度が4.6ミリと深い

つかまるイメージが強い

実際に試打したところ、やはりアップライト感が強調され、強いグースネックで球をつかまえるイメージが出ている。試打クラブの『ダイナミックゴールド95(S200)』は、やや軟らかめの設計で、ドライバーのヘッドスピードが42~43㎧くらいのゴルファーなら、このシャフトで十分振りやすいと感じるだろう。カーペンター450ステンレスを使用したフェース面は硬く、インパクト音も高いが、フェースの弾きは良く、リアルロフト角が27.2度のストロングロフトなので、バックスピンは少なめの球が打てた。

シニアゴルファーにも打ってもらったが、ストロングロフトで、かつグースネック度合いも強いため、フェアウェイのあるがままの状態(ボールをドロップした状態)からでは、ちょっと球が上がりにくいと感じる人も多かった。重心距離が44.4ミリと非常に長く、その結果、ヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが7159g・㎠と非常に大きいのでダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかで、ボールがフェースのトウ寄りに当たっても当たり負けしにくい印象だ。米国モデルらしくソールのバウンス角が8.8度と大きいので、ダウンブローにスウィングしてターフを取るようなゴルファーだと、ソールの抜け感が味わえるだろう。

左から、7I(27.5度)、9I(36.5度)。0.5mmという驚異のFP値(フェースプログレッション)とアップライトなライ角、そして、トウ側が高いことにより、数値以上に球がつかまるイメージがある

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

キャロウェイ

ローグ ST MAX アイアン

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月19日号より