【フィッティングでスコアアップ!】#4 ギアーズでクラブの動きを分析すると“合うシャフト”が見えてくる!【動画あり】
フィッティングスタジオ「4plus」の吉川仁氏によると、上手い・下手に関係なく、フィッティングを受けることで確実にスコアアップや飛距離アップにつながるという。そこで、平均スコア105のアベレージゴルファーがフィッティングを初体験。前回はトラックマンで計測した弾道データを分析したが、続いて「ギアーズ」という最新の機器を用いて分析を行っていく。いったいギアーズではどんなことが明らかになるのか……?
THANKS/4 plus Fitting Labo & Golf Salon
スウィング中の
「クラブの動き」を測定
ゴルフ歴1年、平均スコア105のアベレージゴルファー・堀元慎輔さんがフィッティングを初体験。現在使っているドライバーで5球打ち、トラックマンとギアーズで同時に計測を行い、それらのデータをフィッターの吉川仁氏が分析していく。
トラックマンでの分析では、ヘッドスピードに対してボール初速が出ていない(=ミート率が低い)こと、インパクトでロフトが寝てしまっていること、打点がヒール側に大きくズレていることなどが計測結果から明らかになったが、ギアーズではスウィング中のクラブの動きを測定することで、スウィングの特徴やタイプが明確になり、どんなクラブ(シャフト)が合うかが浮き彫りになるという。
それではギアーズでどんなことが分かるのか。測定したスウィングのデータを見ていこう。
>>ギアーズを使うと何が分かる!?
さっそく動画をチェック!
クラブの軌道が適正になっているか
ギアーズでまずチェックするのは、クラブの軌道と手元の軌道。
「正面から見てきれいな円を描いているか、そしてクラブを上げる軌道よりも、下ろしてくる軌道のほうが小さくなっているかを見ます。堀元さんの場合は、ヘッドの軌道は下ろすときのほうがしっかりと小さくなっていますが、手元の軌道が切り返しで若干膨らんでいるのが気になります」
トップからの切り返しで、手元やヘッドの軌道が上げてきた軌道よりも膨らんでしまうと、インパクトでロフトが寝やすくなるという。
インパクトでシャフトが
どれだけしなっているかが分かる
ギアーズでは、クラブにマーキングをすることで、スウィング時の細かいクラブの挙動を可視化することができる。
「インパクトでシャフトの軸線上からシャフトがどれぐらいしなっているかを見ることができます。いわゆるシャフトの『しなり戻り』ですね。堀元さんの場合は、しなり戻りの量が31mmと出ています。理想は20mmぐらいなので、しなり戻りが大きいといえます。インパクトでロフトが寝て当たってしまうことが多いのはそのためです」
もちろん飛ばすためにはしなり戻りも必要だが、あまりに多いとインパクトロフトが寝てしまい、飛距離ロスにつながるというわけだ。
しなり戻りの量が多いため、ロフトが寝て当たっている
「さらに、フェース側からのアングルを見ることで、インパクトでヘッドのトウ側がどれだけ下がっているか、いわゆるトウダウンの量も見ることができます。クラブの構造上、トウダウンは必ず起こるものですが、堀元さんの場合は、少しその量が大きくなっています。アドレス時と比べると一目瞭然ですが、74mmもアドレス時からトウが下がっている。通常は50mmぐらいが適正で、これぐらいなら狙ったところにヘッドを動かしやすいのですが、ここまでトウが下がってしまうと制御不能。打点を見ると、トラックマンで見たときと同様、かなりヒール側に当たっているのが分かりますよね」
インパクト時のシャフトのしなり方を見る限り、先端の剛性が高い(先端がしっかりした)シャフトに変えたほうがいいということが読み取れる。
加速させるポイントさえ分かれば
合うシャフトが分かる
そして「ギアーズの最大の特徴」と吉川氏が強調するのが、スウィング中のクラブスピードが分かること。
「テークバックからフィニッシュまで、スウィング中のクラブのスピードをすべて測ることができます。クラブのスピードはアドレスから徐々に上がり、トップでいったんゼロになる。そしてまたインパクトにかけて加速していく。この“加速のさせ方”が人によってそれぞれ異なるのです」
具体的には、トップからの切り返しでクラブを加速させる「切り返し型」、クラブを振り下ろす中盤で加速させる「中間型」、インパクト直前に加速させる「インパクト型」、そして切り返しとインパクトの両方で加速させる「複合型」の4つのタイプに分けられるという。
「堀元さんの場合は、切り返しから少しクラブが下りたところで加速しているので、中間型といえます。こういうタイプは、あまりクセがないシャフト、つまり手元と先端の剛性がやや高いシャフトを振ると、振りやすいと感じると思います」
極論すると、この加速させるポイントさえ分かれば、その人にどんなシャフトが合うか分かるのだという。
「グリップスピード」も重要な要素
もうひとつ、重要なのがグリップのスピード。
「スウィングでは、グリップの動くスピードが速いと、ヘッドの動くスピードが減速しやすくなります。逆に、グリップスピードが遅いと、ヘッドは走りやすくなる。ダウンスウィングでシャフトが地面と平行になるあたりで手元が減速すると、インパクトにかけてヘッドが走りやすくなります。もちろん、意識的に手元を減速させるようなことは必要ありませんが、ヘッドスピードが上がらないと悩んでいる人は、もしかしたら手元を速く動かしすぎている可能性もあります」
堀元さんの場合は、比較的インパクトの手前でうまく手元が減速しているが、その減速の量が多いことで、ヘッドが戻ってくるスピードが速くなり、それが原因で引っかけのミスが出ていたことがこのデータから読み取れるという。
インパクト(黄色い線)の少し手前(紫の線)で手元の減速が始まっていることが分かる
「そういう意味でも、先端があまり動かないシャフトのほうが、閉じる動きが抑えられてミスが減るのではないかと思います」
堀元さんのドライバーシャフトの振動数を計測した際、233という数値だったが「堀元さんのヘッドスピードは41~42m/s。これぐらいの人の場合、45インチで250~255ぐらいの振動数のシャフトを選ぶと適正にヘッドが戻ってくる。総括すると、もう少し振動数の高いシャフトにして、手元と先端の剛性の高いものにしてあげれば、劇的に変わるんじゃないかと思いますよ」
ここまでの計測結果を踏まえ、次回、いよいよピッタリなシャフトを探していく。