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【ギアラボ】スパイダーとトラスが夢の融合! 噂のテーラーメイド最新パターは安定感が異次元だった

ギアラボ
2022.06.21

ヘッドの挙動やストロークの乱れが如実にスコアに跳ね返るパッティング。しかし「それらはクラブで解決できる」と豪語するテーラーメイドが、究極の安定感を追求したパターを続々投入。ドライバーの次はパターに革命を起こすのか!

PHOTO/Hiroaki Arihara、Yasuo Masuda THANKS/芳賀CC

試打・解説/合田洋

94年の日本プロでバンカーからパターで寄せ優勝につなげた一打は今も語り草。八丁堀の「Gスタジオ」でレッスンを展開

第1の選択……“大慣性モーメント”で入れる
『SPIDER GT』

いわゆる“ツノ型”に進化したスパイダーGTに、トラスの三角ネックを装着。直進安定性とミスヒットへの寛容さを追求した。

禁断のブレないヘッドは2タイプ

真っすぐ進んで
ミスにも強い究極パター

ローリー・マキロイやダスティン・ジョンソンといった超一流選手の片腕として、数々の勝利に貢献してきた『スパイダー』。現在スパイダーは『GT(グランドツアー)』シリーズを展開する。ヘッド形状は4タイプ、そこにネック違いが存在し、多くのラインナップを形成している。形状は違うが、いずれもより大きな慣性モーメントと高い安定性を追求している。

スパイダーGTのなかで代表的なのは、ツノ型形状。ヘッド重量の約8割をパターの左右部分に配分することで、大きなMOIと高い安定性を得られる。さらにドライバーでいうクラウン部分は比重の軽いアルミニウムを採用し、その下部は空洞になっている。重量を左右に配分しつつ、最適な重心の設計であることがうかがえる。ただでさえ直進安定性に優れるが、今回その『GTブラック』に女子ツアーで人気の『トラス』のネックを装着したモデルが登場。つまり“直進安定性”+“ミスへの寛容性”を突き詰めたということだ。試打した合田プロは、今までにない感覚のパターだと言う。

「この形状ですから、直進安定性の高さは言わずもがなですが、驚いたのはミスヒットした場合。真ん中で打とうとしたのに意図せず芯を外したときって、インパクトでそのヘッドのブレを瞬時に補正しようと反応して、手先で細工することがあります。例えばトウ側に外すとフェースが開くので、ビビッて逆に閉じる動きを入れるとか。でもこのパターは、芯を外してもヘッドがブレないから、余計な動きが入らない。ヘッドがブレないと信じて打てるから結果的に入るし、距離も安定します。これは初めての感覚です」

「芯を外したときにヘッドがブレない、距離も変わらないのには驚きました。下りのパットなんかで、あえて芯を外して打つときにも効果的です。またパットに自信がなかったりイップス気味の人も自信を回復してくれる糸口になるかも」

安定感を追求した機能がてんこ盛り!

ヘッドのブレを抑制する“トラス”ネックはヒールタイプとセンタータイプの2モデルをラインナップ(左)/ヘッド下部は空洞、そして両翼にはタングステン等で重量を集め、大MOI化を図っている(中)/TPU素材とアルミニウムを複合したインサート「PURE ROLL™ 2」。スムーズな順回転を生み出す(右)

第2の選択……“ブレない構造”で入れる
『TP HYDRO BLAST COLLECTION』

いわゆるトラスパターとしては3代目。2代目でやや小さくなったトラス形状は、原点回帰で大きめに(+10mm)。ミスヒットに一段と強くなった。ヘッドタイプは2種類。

トラスの三角板が“幅広”になって帰ってきた!

新モデルはほぼフェースバランス

重心アングルを比べると違いは明らか。前作よりもフェース面がほぼ真上を向き、イン・トゥ・インの軌道がゆるやかになるように設計されているのがわかる

ストロークがシンプルになる

永峰咲希の優勝から始まり、その後の稲見萌寧のブレークで爆発的な人気となった『トラス』パター。2代目の『TPハイドロブラストコレクション』を経て、今回新たに“3代目”が登場。主な変更点はトラス構造のネックが拡大したこと。結果ミスヒットへの強さが増し、よりパッティングに安定感をもたらしてくれる。

「新旧を比べると違いがよくわかります。前作は操作性が高いぶん、ミスヒットにそこまで寛容ではなかった。新しいほうは開閉する動きが小さく、明らかに芯を外したときのブレが小さい。シャフトがヘッドのセンター部分に向かっているので、センターシャフト感覚で打てるのもフェースの開閉を考えなくなる一因。ストロークがシンプルになりますよ」(合田)

「前モデルよりミスヒットに断然強くなっているのが体感できます。構えるとセンターシャフト的に感じるので、シャフトを動かすように真っすぐ、真っすぐシンプルにストロークできます」(合田)

幅広ヘッドの「デルモンテ」もラインナップ

「ヘッドの幅の違いでジュノのほうがセンターシャフト的に見える。個人的にはデルモンテ推し」(合田)

右上エリアにある『スパイダーGT』シリーズはどれも直進性が高い。操作性とミスへの寛容性なら左上の2本だ

第3の選択……“ストロークの安定”で入れる
『TP HYDRO BLAST COLLECTION ARMLOCK』

“パター、第3の選択”としてテーラーメイドが掲げるのがこの『アームロック』パター。体とパターの究極的な同調を図れるとして、PGAツアーでの採用者が目立つ。

ヘッドはデルモンテ、ネックはシングルベント。全長40インチ、グリップは17インチ(約43cm)と長い

ややハンドファーストに構えるためにロフト角は5度と多め。クラブが長いぶん体が起き気味になることを考慮してライ角は75度とアップライト

アマチュアほど試してほしいスタイル

以前は長尺や中尺パターといえば、イップスなどパッティングに問題を抱えている人が採用するパターとして認識されてきた。しかし、ここ数年は長さを武器にして戦っている選手がPGAツアーを中心に増えている。その代表格はデシャンボー。中尺パターを“アームロック”スタイルで使用し、20年の全米オープンを制したのは記憶に新しい。

アームロックのメリットは、左前腕とパターが一体化することで、ストロークが“究極的に”安定すること。今回のテーラーメイドが目指したのも、まさにその点にある。開発責任者のビル・プライスは、アームロックパターは決して異端ではなく、「今後は第3の選択肢になる」と言い切る。アームロックは初体験という合田プロは、その効果はアマチュアほど大きいのではないかと言う。

「ストロークが不安定な人は、例外なく手先を使ってクラブを動かしています。でもアームロックはそれをまったく許してくれない、というかおのずとショルダーストロークになってしまう。これはズルいくらいに安定します」

ストロークの安定以外にも、多くのメリットを感じると合田プロ。

「少しハンドファーストの構えからアッパー軌道でインパクトするので、順回転を起こしやすい。クラブが長いのでアドレスが自然体になってリラックスして構えられる。慣れてしまえばかなりの武器になってくれそうです」(合田)

「これはまいったね
片っ端から入るんだから」

「手先の動きが完全に排除されるので、ストロークの軌道が超安定します。同時にテークバックは腹筋を使って体をねじるように上げるので距離感が狂いにくい。これはカップインの確率が上がります」

月刊ゴルフダイジェスト2022年8月号より