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【工房系ドライバー調査団】Vol.2 MIRAI「地クラブは尖ってナンボ!」

マスターズ覇者である松山英樹の生まれ故郷・愛媛県で、ブームになっているクラブがある。綺麗な青色のヘッドが特徴的で、ご当地メーカーが製作した『MIRAI MEGEM NO3』だ。

PHOTO/Akira Kato

ウェイトオプションは4gと8gを用意。ウェイトビスは工房で削れるので重量調整の幅は広がる。奥に写るのが、小誌で2連覇を果たした初代『MEGEM』


MIRAI

(愛媛県)

ゴルフメーカーに勤めていた社長の菅野實さんが1979年にMKトレーディングを設立。他社に負けない飛距離と方向性を追求するだけでなく、「形の美しさ」「アドレスのやさしさ」「体への優しさ」を求める。本社のある愛媛県松山市以外にも、千葉県白井市にあるゴルフ練習場リトルグリーンヴァレー船橋にクラフトカーを常駐させ、ゴルファーの悩みを解決している


社長・菅野 實さん(左)
部長・菅野 崇さん(右)

パーシモン時代からクラブ開発を手掛ける社長の實さんと、その薫陶を受けた崇さん。「飛び」はもちろん、体に優しい素材で、どの世代でも扱えて長く楽しくプレーできるクラブづくりがモットーだ

低スピンを追求した
美しきドライバー

かつて小誌の“カスタムドライバー選手権”という地クラブドライバーの飛距離No.1を決める企画で14年、15年と連覇を果たしたクラブがある。それが愛媛県松山市のコンポーネントパーツメーカー、MKトレーディングが製作する『MIRAI』だ。

今回紹介する『MEGEM(ミゲム)NO3』は、連覇したクラブの系譜を継ぐドライバーヘッド。クラブ開発を担当するのは社長の菅野實さんと部長の菅野崇さん。崇さんが素材選びや形状、構造を考え、パーシモン時代からクラブ製作に携わっている實さんが構えやすい“顔”になるように、最後の仕上げを担当するという。


「地クラブは“尖ってナンボ”です。“平均点が高い”ヘッドなら、それこそ大手メーカーに任せればいいし、開発費用やスケールメリットを考えるとそこと勝負しても意味はありません。弊社のドライバーは『MEGEM』のほか、『KEYEK(キーク)』『TINIT (ティニット)』と、3シリーズありますが、そのすべてで低スピン性能を売りにしています。違いは弾道の高さで『MEGEM』がもっとも高弾道、『KEYEK』『TINIT』の順に弾道が低くなっていきます。適正スピン量というものがあるのは理解していますが、スピン量が増えると必要以上に球が上がったり、曲がり幅が大きくなったりというデメリットが生まれます。そうであれば、あくまでも低スピン(2000回転前後)のほうが、ゴルファーのメリットになると考えています。

『MEGEM』は英語の“ME”と“GEM”を足した造語で「私の宝石」という意味です。高弾道が打てるように、基本ロフト角は12.5度(角度調整スリーブで11〜13.5度に調整可能)と大きく設計しており、かつ3シリーズのなかではもっともシャローフェースの低重心設計です。また、ヘッド重量は192g と軽量なので、それほどパワーがない女性やシニアでも無理なく振り切れると思います。

社長・實のこだわりでもある、ブルーに仕上げた特殊表面処理は、ボール初速を上げるだけでなく、弾き感がありつつもフェースに食いつく打感で、高弾道なのにランが稼げるというメリットがあります。

『NO3』のいちばんの特徴は低スピンを可能にする低浅重心設計です。ソールのフェース寄りにスリットを入れ、強度を保つためにそのトウ側はハニカム構造にし、ネック側に2カ所、トウ側に2カ所のウェイトポートを設置しました。ネック側の隣り合った2カ所のウェイトにより、微調整が可能(ウェイトビスは各1g で、4g 、8g がオプション)です。あまり他社では見かけないフェース寄りトウ側のウェイトで、より浅重心設計が可能になりました。低スピンなのに球が上がってランも稼げる。これがこのドライバーの特徴です」(菅野崇さん)

MIRAI
『MEGEM NO3

地クラブとしては珍しく、角度調整スリーブ付きで、工房にも優しい仕様。ブルーIPのカラーは社長である實さんのこだわりだという

◎素材/6-4チタン(ボディ&フェース) ◎ロフト角/12.5度(11~13.5度) ◎ライ角/59.5度(±1.5度) ◎ヘッド体積/460cc ◎価格(ヘッド)/8万8000円(スリーブ&ウェイト込)

週刊ゴルフダイジェスト2022年5月10・17日合併号より