【シャフト研究】釣り具メーカーが作る自慢のシャフト。シマノ、オリムピック、ダイワの性能を徹底検証!
最近は大手メーカーが販売するドライバーでもカスタムシャフトが選べるのが当たり前の時代。シャフトの選択肢は以前よりも増えているが、釣り具メーカーには面白いシャフトがあるという。試打キング・堀越良和プロがその性能をチェックした!
【試打・解説】堀越良和
毎年発売される新製品を余すことなく試打。ギアへの造詣に深いプロ
軽さ・強度・しなり… 釣り竿とシャフトには共通点が多い!
堀越 釣り具メーカーのなかには、以前からゴルフにも力を入れているところがありました。ダイワ(現 グローブライド)はみなさんもご存じですが、それ以外にもシマノは『アルテグラ』というドライバーを発売していましたし、がまかつにも『アルフレスコ』というドライバーがありました
グローブライドを除けば、今でもクラブを販売しているところはほとんどないが、シャフト単体で販 売しているところはまだ多い。
堀越 釣り竿とゴルフのシャフトには共通点が多いんです。素材はカーボンが主流ですし、軽さと強度という相反する要素が求められること。さらにしなりについての研究も進んでいます。釣り竿の製作で培った高い技術で作られたシャフトは昔から定評がありました
そこで今回は、釣り竿を作っているメーカーのシャフトをピックアップし、試打によってその実力を検証してみた。
堀越 今回選んだ4本はすべて50㌘台で、フレックスもSを基準に選びました。でも実際に打ってみると、ゴルフ専門のシャフトメーカーにはなかなかない『個性』が際立っていましたね。その分、使い手を選ぶこともありますが、ハマる人にはピタッとハマるとも言えます。高い技術と上質な材料で作られた釣り具メーカーのシャフトは、試してみる価値があると思います」
今回試打で使用したヘッドは、テーラーメイドの最新モデル「SIM MAX」
シマノ
DECISION FS FF-04
今まで味わったことがない先端の走り。初速が速くなる
重さ :51㌘
トルク :4.0°
キックポイント:極先調子
フレックス :S
チップ径 :8.5㍉
バット径 :15.2㍉
価格 :6万6000円
「もっと速く」をコンセプトにヘッドの走りに徹底的にこだわ った軽量極先調子シャフト。
堀越 しっかり感がありながら先端 が走る。この走りは今まで味わったことがない感じで、振り心地が軽い。ミート率が高い人が使えば飛ぶでしょう。ボー ル初速も速く感じます。重心が深いドライバーと相性がよさそうですね
オリムピック
OBAN AIRBURST バーガンディ55 04
シャフト全体がしなる感じで上級者好みの上質なしなり感
重さ :56㌘
トルク :3.9°
キックポイント:元調子
フレックス :S
チップ径 :8.5㍉
バット径 :15.2㍉
価格 :7万7000円
米ツアー選手からの要望で開発されたという「超低スピン」 がコンセプトのシャフト。
堀越 いい意味でシャフトの重さが感じられる。シャフト全体が『モチ~ン』と、まるで生き物のようにしなります。しなり方が上質で、いい素材が使われているの が感じられる。左にも行きにくいので上級者やパワーヒッタ ーにはたまらないでしょう
グローブライド
ロッディオNPシリーズ NP5H
しなり戻りの挙動が素直でインパクトで押していける
重さ :51㌘
トルク :5.1°
キックポイント:中調子
フレックス :非表示
チップ径 :8.55㍉
バット径 :15.3㍉
価格 :6万3800円
カスタムクラブとして人気のロッディオはプロの使用者も多い。
堀越 このシャフトは中調子ですが、ヘッドの走りを感じます。トルクがあって走るシャフトはコントロールしにくいことがありますが、これはしなり戻りの挙動が安定しているので、イ ンパクトで押せる。軽いけど頼りなさはまったくない。抑えて打つこともできます
オリムピック
デラマックス 020D-5
リリースが早すぎて飛距離が出ない人に最適
重さ :50㌘
トルク :4.6°
キックポイント:中調子
フレックス :S
チップ径 :8.5㍉
バット径 :15.2㍉
価格 :6万6000円
人気の「赤デラ」を進化させ、最速のしなり戻りを実現したという最新モデル。
堀越 確かにしなり戻りが早くビュンとくるので、リリースが早い人には最適です。ヘッドが走る加速感もあり、楽にボールが上がるし、つかまりもいい。でも意外と手元のしっかり感もあるので、幅広い層のゴルファーが飛距離を伸ばせそうなシャフトです」
ゴルフ専門メーカーにはない個性がある
今回はアマチュアに人気の50g台の4本を堀越プロに試打してもらったが、
堀越 意外なのが、『先調子』が1モデルだけだったこと。最近は、つかまりがよく、上がりやすく、飛距離も出るということで先調子が人気ですが、中調子や元調子で勝負しているのは自信の表れ。
実は先調子にはボールがバラつくというデメリットもあるという。
堀越 キックポイントはあくまで目安なのですが、今回試打した中調子や元調子のモデルには、しなり戻りの速さを感じるモデルもありました。先調子だけに絞って選ぶと、いいシャフトを見落としてしまいがちなので注意が必要。今回のシャフトはそのいい例です」
今回はすべて50g台のSを試打してもらったが、シャフトの性格はまったく違うので、スペックだけに頼らずに、実際に試打してみることが大切だろう。
堀越 40g台や60g台も用意されており、重さのバリエーションが抱負なのもポイントです。またカスタムシャフトは純正シャフトよりも硬めなので、フレックスは純正よりもひとつ柔らかめを選択してください
週刊ゴルフダイジェスト2020年4月21日号より