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【世界基準を追いかけろ!】Vol.80「ピン型のほうがマレットより方向性が出しやすい」ってホント?

目澤秀憲と黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回は目澤が計測器を利用したパッティングの分析結果から導かれた意外な事実について話してくれた。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 最近、インプットしたことで、何か発見はありましたか。

目澤 最近はクインテック(※1)をずっと勉強しています。ビデオのコンテンツをもらえたので、そこも翻訳しながらやっています。

X それは、実際のインストラクションをしているところの映像ですか。

目澤 教えている動画もありますし、あとはパッティングの考え方についてもあります。自分でも全然知らなかったことがたくさんあって、面白かったです。

GD それは、どんなことですか。


目澤 たとえば、パッティングで方向性が悪くなったらマレット型のパターに手を出す人は多いと思いますが、でも理論的には逆というのが分かりました。理由は、重心深度が浅くて重心距離が短いほうが、基本的にフェースアングルが安定するという結果がロボットの実験で出ているんです。その理屈からいくと、方向が出しやすいのはマレット型よりも、むしろピン型なんですよ。その辺のデータの読み方や、測り方をコロナ禍でいろいろ勉強できて、面白かったですね。

X 方向性が悪くて悩んでいるときに、大型マレットに手を出すのは良くないということなんですね。

目澤 一般的には良いと信じられていますけどね。

X でも、ピン型のほうが簡単ということではないんですよね。

目澤 簡単ではないんですけど、打ち出しを安定させやすいということですよね。

GD ほかに、何か分かったことはありますか。

目澤 ヘッドスピード別のボールの潰れ方も分かって面白かったですね。その測り方も独特なんです。口紅をフェース面に塗り、インパクトでボールがフェースに当たっている痕を見て、ボールがどれくらい潰れているかのコンプレッション量を見るんです。それによってミート率が変わるんですよ。ショットの場合と違って、パターの場合はミート率が良いか悪いかという概念の数値化が分かっている人はなかなかいないですけど、パッティングのタッチがズレてくるというのは、そういうところにも原因があるんだということが分かりましたね。

GD あとは、どんなことが分かりましたか。

目澤 ボールのディンプルで凹んだところ以外の平らなところで打つと、横にも縦にも打ち出し方向がズレにくいという研究データが出ていて、それも興味深かったですね。

X 確かに、ボールに点を付けているプロがいますけど、彼らはその小さな点にフェースが当たるように、ボールをセットしているわけですか。

目澤 ブライソン(デシャンボー)はそれをやっているらしいですよ。ブライソンはそれで3フィート(約90㎝)や4フィート(約1.2m)の距離が外れづらくなって、スタッツが大幅に向上したらしいです。ディンプルを外して打つことは、それほどの影響があるということなんですよね。

※1.「 クインテックボールロール(Quintec Ball Roll)」は、パッティング時に転がるボールの動きをとらえて分析し、ボールがどのように回転したかを計測する機器。パッティングの計測機器では他に、「SAMパットラボ」があり、ストローク、打点、フェース向きなどが分析できる

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2022年月日号より