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【ヘッドデータは嘘つかない】フェード系弾道で安定して飛ばす! テーラーメイド「ステルス」ドライバー

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はテーラーメイドの『ステルス』ドライバーを取り上げる。

フェード弾道をイメージしやすい

発売前から話題になっていた60層カーボンツイストフェースの『ステルス』を紹介する。

さっそく、クラブやヘッドを計測していこう。記載する数値はすべて実測値になる。クラブ重量は300.8gと標準的だが、クラブ長さが45.38インチとやや長く、スウィングウェートもD2.6とやや大きめなので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが292万g・㎠と大きくなっている。この数値だと、本来はドライバーのヘッドスピードが46㎧くらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計といえるだろう。

ではヘッドを見ていこう。全体のイメージは『SIM』や『SIM2』シリーズと同じ輪郭形状で、時計盤でいう1~2時方向の張り出しが大きく、かつフェースのトウ先に逃げ感があり、フェード系の弾道イメージを出しやすくなっている。しかし、ヘッドのトウ側が高いので、アドレス時には実際のライ角(56.0度)よりもアップライト感が出ている。また『SIM2』シリーズと同様に、ヘッドの後方が高いハイバック形状なので、インパクトをレベルに振るイメージもある。

Point1 クラブ長さが45.38インチとやや長い
Point2 ヘッド重量が200.8gと重い
Point3 ライ角は56.0度とフラット

HS42m/s以上ならカスタムシャフトがオススメ

実際に試打したところ、まずアドレスでは『SIM2 MAX』のように強いオープンフェース(オープン1.5度)で、球をつかまえすぎないイメージがあり、『SIM』や『SIM2』シリーズよりもFP値(フェースプログレッション)が大きくなったので、フェース面が見えやすく、球が上がりやすそうなイメージが出ている。試打クラブは10.5度で『テンセイ RED TM50』のフレックスS仕様だったが、シャフトはかなり軟らかめで、ヘッドスピードが40m/sくらいのゴルファーでも十分扱えそうだ。ただ、正直、ヘッドのパフォーマンスに比べてややシャフトが負けている感じがあるので、HSが速い人はカスタムシャフトをオススメする。そして、『SIM2 MAX』 同様に重心距離が44.0ミリと非常に長く、結果、ネック軸周り慣性モーメントも8178g・㎠と大きくなり、ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかな設計だ。そして、明らかにフェース中央よりもトウ側にスイートスポット位置があるので、フェース中央で球をヒットしても球にはフェード回転がかかりやすくなっている。

しかし、『SIM2 MAX』よりはネック軸周り慣性モーメントがやや小さくなっているので、ダウンスウィングでは前作よりはヘッドが返りやすく、少し球をつかまえやすい感じだ。また、同シリーズの『PLUS+』よりはスピンが適度に入るため、弾道は安定し、基本フェード系イメージで攻めたいゴルファーに向いているだろう。

『ステルス』シリーズのなかでもっとも重心深度が深く、大慣性モーメントを狙ったヘッド。試打する際は、このモデルからが鉄則だ

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

テーラーメイド

ステルス ドライバー

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2022年3月22日号より