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【世界基準を追いかけろ!】Vol.73 「長いパター」は本当に有利?

松山英樹のコーチを務める目澤秀憲、松田鈴英のコーチを務める黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回のテーマは、パターの「長さ」について。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 今回は「パターの長さ」について話し合います。

黒宮 パッティングで困った人は、長くする方向にいきますよね。

目澤 短くするほうには、なかなかいかないですよね。

GD それは、どうしてでしょう。

黒宮 長尺パターなどがわかりやすいですが、長いパターはアドレスしたときにボールが目の下にこないからいいんですよ。

目澤 ボールが目の下まで入ってくると、ストロークが逆U字を描くようになりますからね。イントゥインで打てなくなる。

黒宮 ボールからなるべく離れて構えたほうがいいですよね。離れて構える人で、パッティングが下手な人はいないですから。

GD では、ボールはどの辺にセットしたらいいんですか。


目澤 タイガーは眉間のあたりと言っていますよね。

黒宮 自然にアドレスをした状態で、目の位置からボールを落とした2個分先(前)にヘッドがある構えが、最も良いアークが描けるということが、某パターメーカーの計測データで出ているんですよ。

目澤 そうなると、普通の長さのパターであれば、ライ角度はだいたい70度ぐらいになりますかね。

黒宮 
でもパッティングで悩んでいる人がいるとしたら、綺麗なフォームで打つよりも、楽にストロークできていいボールの転がりになるように打ちたいですよね。それならライ角75度のパターのほうが楽ですよね。

GD アンカリング(※1)規制の前に、パットで悩んだ人の多くが長尺パターでアンカリングし始めたのは、楽に打てるからですか。

黒宮 パッティングは、ストローク中にライ、ロフト、シャフトの3つのローテーションが複雑に入り込んでくるから難しくなるんですよ。それでおかしくなってイップスになる人が多いんです。でもアンカリングは、この3つのローテーションをある程度コントロールできる打ち方だったわけです。

GD ストローク中に起こる様々なねじれを抑えられるんですね。

黒宮 そうです。以前タイガーがアンカリングに対して反対の姿勢を持ち続けていたことは、凄いなと思いました。

X タイガーは、パターはあらゆるクラブの中で一番短くあるべき(※2)とずっと主張していましたね。

黒宮 アンカリングは、ストローク中の3つのローテーションのコントロールのうち、ロフトとシャフトのローテーションが入りづらいので、ライのコントロールだけやればいいですからね。

GD タイガーは長いパターの優位性を認識していたわけですね。でも、規制後も長尺パターを使っている選手はいますよね。

黒宮 支点を高くすることでストロークが安定するメリットはあります。ただ、体への固定が失われた結果、ライ角度のコントロールも難しくなり、また体の近くに構えたことによる弊害が出ることが多いですよね。

X なるほど。逆U字のアークになるわけだ。

GD 長いパターの功罪的な部分なんですかね。

(※1)クラブやクラブを握る手(または前腕部)を体に付けて固定し、 ストロークの基点を作ってパットをすること。違反した場合は2打罰。(※2)アンカリング問題が持ち上がったときにタイガーは「パッティングは身体とクラブとスウィングをコントロールするものである」とし、「アンカリングされるべきではない」と主張していた

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2022年2月8日号より