【頑固オヤジ】Vol.148「振り回さないスペックでミニドライバー代りになる」
東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回のお悩みは「ミニドライバー」について。
ILLUST/Kochi Hajime
Q. 置きにいくミニドライバーは
買い足す? チューンで作る?
狭いホールで置きにいくミニドライバーに興味があります。3番ウッドだとヘッドが小さくて……。でも、新しく購入するより、手持ちの古いモデルをチューンしたほうが扱いやすくなりますか?(31歳・HC 12 ・会社員)
振り回さない決断が大前提
なんか、あっという間に12月になっちまった気がするよ。松山英樹のマスターズ優勝、笹生優花の全米女子オープン優勝とか、オリンピックとか、いろいろあって面白かったんだけど、一般ゴルファーはプレー、楽しめたのかな。
まだコロナ禍は落ち着かないけど、ゴルフぐらいは気楽に行けるようになってほしいよな。
「オヤジさん、テーラーメイドの新しいミニドライバー、どう思いますか? 気になっているんですけど……」
常連の息子さん、運送屋の3代目で、結構飛ばすけど、肝心のところでOBを打つからなかなかシングルになれない、と嘆いている。上達しない理由は、ほかにもありそうなんだがね(笑)。
「なんだよ、やっとレイアップに目覚めたのかい。まあ、冬場は特に置きにいったほうがスコアは良くなるだろうな」
「この間、ホームコースのクラチャンと回ったら、ドライバーがもったいない、って言われて。せっかく飛ぶんだから、置きにいけば70台で回れるよ、と。で、ミニドライバーがいいかな、なんて」
「3番ウッドじゃダメかい?」
「最初そう考えて試してみたら、テンプラとか引っかけが出やすくて。ヘッドが薄くて小さいのが、苦手みたいです……」
「そいつは振り回しすぎが原因。置きにいくんだから、おとなしく振らないと」
まあ、おとなしく振る加減ができれば、普段のドライバーのままでもいいわけで。気持ちや振り方を変えるためにも、クラブを替えるのは悪いことじゃない。要は、振り回さない打ち方が合うスペックを考えるといいんだ。
つかまり具合は弾道高さで判断
ドライバーは飛ばすための長いクラブ、と考えるから振り回しがち。少し短くするだけでも、気持ちが切り替わると思う。
「テーラーメイドのは44インチ弱か。ヘッドサイズは300cc強。ロフトやフェース向きもホーゼルのカチャカチャ機能で変えられるから、使い勝手は良さそうだよな」
「ですよね。でも、手持ちの古いドライバーのチューンでもいいかな、とも思うんです」
「まあ、そのほうが安上がりではあるけどね。いずれにしても置きにいく振り方に合わせないとな」
「置きにいく振り方?」
「ショートアイアンでライン出し、みたいな感じかな。フィニッシュを抑える感じの」
この場合、ロフトが立ちすぎていると、打球が浮かない、つかまりの悪い当たりになりやすい。
「つかまりが悪いと、余計なことをしたくなるだろ? だから、加減したときにきちんと高さが出るロフトにするんだ」
シャフトを挿し直してロフトを増やす、フックフェースにするのもいい。カチャカチャ機能があれば、カンタンだよな。
「つかまりすぎぐらいにセットして、逃がすように打つ。右に滑る不安をなくしておけば、やりやすいよな」
「シャフトは、短くしたぶん重くしたほうがいいですか?」
「軽いほうが、加減して振りやすいと思うけどね、オイラは。ホーゼルさえ合えば、まあ、少し重い3番ウッドのシャフトをドライバーに装着するのもいいよ」
「短すぎませんか?」
「昔はドライバーで43インチが標準だったんだし、短いぶんにはいいだろ。あ、無理にヘッドは重くしなくていい。軽いままでもスイートエリアは広いし、振りやすくなるだけだから。極端に飛ばなくなる、なんてこともないしね」
「じゃ、取りあえずテーラーの『M4』で試してみます、3番のシャフトを付けて」
やれやれ、結局今回もカネにならねぇや。ま、いっか(笑)