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【ヘッドデータは嘘つかない】大きめヘッドでやさしく球を包み込む。マジェスティ「Wモーメント」ウェッジ

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回は マジェスティの『Wモーメント』ウェッジを取り上げる。

やさしくボールを包み込むグース形状

パットとアプローチショットが決まった瞬間が「勝利(Winning)」の「瞬間(Moment)」ということから名付けられた「Wモーメント ウェッジ」。

コンセプトは「どこでも寄せワン」で、やさしくボールを包み込むグースネックでキャビティアイアンの流れにマッチするヘッド形状に、ダフリのミスを防止する丸みを帯びた独自の銛(もり)型リーディングエッジ、スピンを生むミルドエッジグルーブが特徴だ。仕上げはノーメッキとカッパークロムを用意した。

さて、クラブを見ていこう。ウェッジはロフト角58度のモデルを計測する。数値はいつもどおり実測値だ。また、クラブには軽量シャフトの「NSプロ950GH neo」が入っていた。クラブ長さは35.25インチとやや長いが、クラブ重量が447.1gと軽く、スウィングウェートもD2.2と大きすぎないので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが269万g・㎠とやや小さくなり、スチールシャフト仕様のSWの割には振りやすいといえるだろう。

Point1 クラブ長さが35.25インチとSWとしてはやや長い
Point2 クラブ重量が447.1gと軽い
Point3 クラブ全体慣性モーメントが269万g・㎠とやや小さい

フェースを開いて使いやすい

ヘッドは一般のツアーモデルのSWよりはフェース面が長く大きいのが特徴で、ヘッドのトウからトップラインにかけて輪郭が丸いので、全体に丸いヘッドに見える。そして、米国系SWとは違ってフェースプログレッションが小さめで、グースネックが特徴だ。また、ネックは太めでかつ長いので、ヒール寄りの重心位置が想像できる。

実際に試打したところ、まずアドレスでは、丸みのあるヘッド形状、かつ大型なのでいかにもやさしく打てそうなイメージが出ている。そして、フェースのトウ側が丸く高いので、フェースを開きやすいイメージがあり、またややフェースのトウ寄りで打ちやすそうなイメージが出ている。

試打クラブは軽量シャフトながらもしっかりしているので、クラブとして振りやすいSWといえる。そして、アプローチではソールのバウンス角が7.8度と小さいので、フェアウェイでフェースを開いて使う際にソールが邪魔しにくく、また、グリーン周辺での球の勢いを抑えたロブ的ショットもやりやすいイメージがある。また、バウンス角が小さめなので、砂が硬めのバンカーで使いやすく、使い込んだような平らなソール面の抜け感はいい。逆に、砂が重く軟らかいバンカーでは、思い切ってフェースを開いてバウンスを使う必要があるので、注意がいる。そして、フェース面のスイートスポット位置がかなりヒール寄り(重心距離は35.1ミリと標準だが、ヘッドが大きいため)なので、フルショットで芯を食うためには、ヒール寄りの打点を意識したいところだ。

米国モデルのウェッジのようなストレートネックではなく、FP値が小さいグースネックで、球を包み込むイメージがあり、やさしさが出ている

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

マジェスティ

Wモーメント ウェッジ

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月28日号より