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「エックス」にはカチャカチャ搭載! まもなく発売の「新ゼクシオ」どこが進化した?

日本のクラブ市場をリードする「ゼクシオ」。その12代目となるニューモデルが発表された。その性能はどう変わったのか? 試打のスペシャリストが徹底分析する。

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/クレアゴルフフィールド

解説/堀越良和

小誌試打企画でお馴染み、キング・オブ・試打。ドライバーからパターまであらゆるクラブを試打するギアのスペシャリスト。『ギア選びのウソホント』を連載中

クラウンの凸部が
トウダウンを抑える

初代「ゼクシオ」が登場したのは1999年10月5日。当時としては画期的だった、フェースの大きなわたみで反発力を高める「カップフェース」や爽快な打球音、シャフトを含めたトータル設計による振りやすさの追求など、多くのゴルファーを魅了し、大ヒットモデルとなった。発売以来、日本のクラブ市場をリードしてきた「ゼクシオ」は、2年ごとにニューモデルを出している。そして今回発表となったのが12代目となる「ゼクシオトゥウェルブ」と2代目となる「ゼクシオエックス」だ。どんな進化を遂げたのか?

2019年に発売した前作は「ゼクシオイレブン」「ゼクシオエックス(初代)」という2モデル展開として大きく生まれ変わった。節目となる20年目でブランドロゴも刷新するなど、大きなリブランディングを果たしたわけだが、今回も2本立てのラインナップが継続されている。

2モデルに共通する「新ゼクシオ」の特徴は大きく2つある。ひとつはメインコンセプトになっている「飛びの翼」を実現した「アクティブウイング」だ。クラウン上部に設けられた凸部が空力をコントロールし、トウダウンなどのヘッドのブレを抑え、最適なインパクトを実現。もうひとつが松山英樹も使う「スリクソンZX」に採用された剛・軟の4層構造による「リバウンドフレーム」だ。カップフェースとの相乗効果で反発力がアップしている。

前作同様、「トゥウェルブ」は既存のゼクシオユーザーをターゲットにした正統進化モデル。一方「エックス」は40代、50代に向けたセミアスリートモデルだが、最も注目すべきは、ロフト角やライ角が調整できるカチャカチャ機能が付いたことだ。

Technology 1
「アクティブウイング」がヘッドのブレを抑制

新ゼクシオではダウンスウィングの動きに着目。遠心力によるトウダウンなどのヘッドのブレを空力をコントロールすることで抑制。フェース角のバラつきを23%、打点のバラつきも17%減少し、ヘッドの挙動が安定

Technology 2
スリクソンの技術を継ぐリバウンドフレーム構造

大きくたわむカップフェースは軟らかく、その周辺部は剛性を高め、ボディとの連結部は軟らかくし、最後のボディで剛性を高める、軟→剛→軟→剛の4層構造。スリクソンに採用されたリバウンドフレームを引き継いでいる

ゼクシオ初の“カチャカチャ”搭載
気になる試打結果は?

歴代モデルすべてを打っている堀越良和プロに新ゼクシオを試打してもらった。どう感じたのか?


「『トゥウェルブ』はしっかり感が増しています。ゼクシオ特有の軽快な振り心地を残しつつ、ヘッドが利いている感じです。ヘッド重量が増したからともいえますが、その結果、ボール初速も上がっています。ヘッドの重さが増えているのでミスヒットにも強くなっています。アマチュアには大きなメリットになるでしょう」

では、エックスはどうか?

「『エックス』には“カチャカチャ”機能が付きました。単に弾道に合わせてロフト角やライ角を変えられるだけでなく、カスタムシャフトが使えるようになったわけです。これは海外ブランドを意識した“戦略”ともいえます。打音は少し抑えめで、上級者が好むクラブに仕上がっています。高弾道&低スピンで飛距離も出ます」

正統進化モデル
「ゼクシオ トゥウェルブ」

●ヘッド素材(製法)/フェース:チタン(鍛造)、ボディ:チタン(真空精密鋳造) ●ロフト角/9.5、10.5、11.5度 ●ヘッド体積/460㏄ ●長さ/45.75インチ ●ライ角/59度 ●シャフト/ゼクシオMP1200(S、SR、R、RR22) ●総重量/282g(R) ●価格/8万8000円

ヘッドのブレを抑えボール初速がアップ
ダウンスウィングにおけるヘッドのブレを抑える機能(アクティブウイング)と、反発力を高めるカップフェース&リバウンドフレームの採用でボール初速が向上。さらなる飛距離アップを実現した。

<堀越’s インプレッション>

【弾道】つかまりがよくラクにドローが打てる
「フェースプログレッションが小さくなったことでつかまり度が増しています。オートマチックにヘッドがターンしてくれるのでスライサーでもドローがラクに打てるはずです。つかまりがいいのでボールも強く出ます」

【打感】爽快で弾き感のある“ゼクシオサウンド”
「甲高く、弾き感のある打音はゼクシオならではで、まさに正統進化な印象です。高い音は『飛んでいる』感が強く、爽快感が大きいです。この打音に惹かれてしまうゼクシオユーザーは多いでしょう」

【やさしさ】ミスヒットに強く球も上がりやすい
「アマチュアに多いトウ上め、ヒール下めで打ってみましたが、前作よりも当たり負けしない、ヘッドのパワーを感じました。曲がり幅や飛距離の低下も抑えられています。打点がバラつきやすい人には最適です」

セミアスリートモデル
「ゼクシオ エックス」

●ヘッド素材(製法)/フェース:チタン(鍛造)、ボディ:チタン(真空精密鋳造) ●ロフト角/9.5、10.5度 ●ヘッド体積/460㏄ ●長さ/45.5インチ ●ライ角/59度 ●シャフト/ミヤザキAX-2(S、SR、R) ●総重量/300g(S) ●価格/8万8000円

自分の好みに合わせ弾道調整ができる
ゼクシオ史上初のカチャカチャ「QTSスリーブフィッティングシステム」を搭載。ロフト角、フェース角、ライ角を弾道に合わせて調整可能。「ツアーAD」「ディアマナ」などカスタムシャフトも充実。

<堀越’s インプレッション>

【弾道】打ち出しが高くより高弾道に
「フェースプログレッションが小さくなったことでつかまり度が増しています。オートマチックにヘッドがターンしてくれるのでスライサーでもドローがラクに打てるはずです。つかまりがいいのでボールも強く出ます」

打感音は少し抑えめでしっかりした打感
「トゥウェルブと比べると音は少し低めでしっかり感があります。前作はチタンとカーボンのコンポジットヘッドでしたが、今回はチタンヘッドなのでゼクシオらしい爽快な打球音が残っていて、インパクトが気持ちいいです」

【操作性】上級者も構えやすく弾道が操れる
「フックフェースではないので非常に構えやすいです。フェースの開閉がイメージできるのでドローやフェードの打ち分けも可能です。トゥウェルブとは重量差が20gもあるのでしっかり振り切れるゴルファーにおすすめです」

●トラックマンで前作と比較
「どちらも低スピンで飛距離が伸びている」

弾道測定器「トラックマン」を使い、堀越プロがヘッドスピード40m/s想定で4モデルを試打。その結果、どちらもスピン量が大幅に減る結果に。さらにボール初速はどちらも0.2m/sアップしている。ヘッドの重量アップや浅重心設計が大きく影響しているのだろう

●ヘッドデータも実測
「ヘッドが重くなり重心深度はやや浅めに」

ヘッドを計測したクラブ設計家の松尾好員氏によると「前作よりヘッド重量が増し、重心深度が浅く設定されています。これはボール初速を速くしたいという表れです。スイートスポット位置もややヒール寄りで多くの人が芯でとらえやすい、つかまりのいい設計です」

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月30日号より