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【頑固オヤジ】Vol.147「球が上がらない」アイアンを軽くするならカーボンシャフト? それとも…

東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回のお悩みは「アイアンの重さ」について。

ILLUST/Kochi Hajime

Q. 球が上がらなくなったので
アイアンを軽くしたい


アイアンの高さが出にくくなってきたので、シャフトをスチールからカーボンに替えようと思っています。重量、フレックスはどう選べばいいでしょうか。ポイントを教えてください。(55歳・HC6・自営業)


慣性モーメントを下げる工夫

秋はコンペシーズンだけど、コロナ禍、少し収まってきて良かったな。クラブ競技とかも活気が戻ったんじゃねえかな。

「読者からの質問です。クラブ競技に熱心な方で、シニア入りを機にアイアンのシャフトを軽量化したいそうです。で、そのシャフトの重量やフレックスの選び方を知りたい、と」

担当さんも、最近飛距離が落ちてきたとかで、この質問には興味があるらしい。

「アイアンを軽くしたくなるの、トシのせいだけじゃないよな。具体的な理由は?」

「球の高さが出なくなった、とあります」

「その人、ハンデは?」

「6ですね」

「じゃあ、やり方は2通りだな。シャフトを軽くするか、ヘッドを軽くするか」

「え、ヘッドを軽く?」


競技志向で、年齢的に少しヘッドスピードが落ちてくると、アイアンの弾道頂点が低くなる。飛ばなくなる、っていうより止まりにくくなるんだよ、最初は。競技に出ている人は、その辺をシビアに感じて、早めに調整しようとする人も結構いるんだ。

「高さが出ない、ってのはヘッドスピードが少し落ちているだけ。それを補うには、クラブを少し軽くすればいいんだが、シャフト重量はそんなには効かない。ヘッド重量は、少し減らすとかなり効くんだよ。ただ、チューン的には少し手間だけどね」

「でも、シャフトをスチールより40gも軽いカーボンにしたら、結構効くんじゃないですか?」

「それで慣性モーメントがどれだけ下がるか、だけどね」

ヘッド重量なら7g減で効く

シャフトでの軽量化を考えるなら、まずバランスを考えないこと。せっかくシャフトを軽くしても、バランスを以前のものと合わせる、または近づけようとするだけでもクラブ全体の慣性モーメント、つまり振りやすさはほとんど変わらない。結局、ヘッドスピードは上がらないんだ。

「でも、シャフトが軽くなると振りやすくなりますよ?」

「それはクラブ重量を持ち上げるバックスウィングだけ。ダウンスウィングからは慣性モーメントが下がらない限り、同じ体力じゃ、ほぼ同じスピードしか出せない」

だから、カーボンにして振りやすい、という人は、上げるのがラクになった印象だろう。高さが出るとしたら、バックスウィングがスムーズになる動きがダウンスウィングにも影響してると思う。

「でも、それだとスウィングに違和感が出る。上級者とかは慣れるまで大変かもな」

「じゃ、ヘッドを軽くするほうがいいんですか?」

「慣性モーメントは、レングスとヘッド重量がもっとも効くんだよ。だからグリップを短く持って飛ばすプロがいるのも不思議じゃないんだが、一般的にヘッドスピードアップのために慣性モーメントを下げるとしたら、ヘッド重量を減らすのが最善だろうね」

「……でも、手間がかかる?」

「アイアンならヘッドを1番手ぶん、約7gも削ればいいんだが、結構大変(笑)。まあ、背面とかソールにドリルで穴を開けたり、グラインダーで削るんだけど。別に、ヘッドを削らない手もある」

「え、どうするんですか?」

「シャフトを1番手ズラして装着。つまり、7番のヘッドに8番のシャフトを着ける。レングスに対して約7g軽いヘッドが組まれるからモーメントもグッと下がる。で、後はライ・ロフト角調整。1番手ぶんロフトを寝かす必要はないけど、高さとの兼ね合いで直す。その際、バウンスも少しだけ削って、番手数字を潰して書き直してもいいと思うよ」

月刊ゴルフダイジェスト2022年1月号より