【ヘッドデータは嘘つかない】HS30m/s台でもラクに振り切れる!「エピック MAX FAST ドライバー」
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はキャロウェイの『エピック MAX FAST』ドライバーを取り上げる。
重量が軽く、振り抜きやすい
パワーが足りないと悩んでいるゴルファーに向け、AIフェースやJAILBREAK AIスピードフレームといった『エピックシリーズ』にお馴染みのテクノロジーに、振り抜きの良さを加えた『エピック MAX FAST ドライバー』。
フェースカラーを白にすることで、黒いクラウンとのコントラストを強め、ターゲットに対して構えやすくなっているのも、ほかの『エピック』との違いだ。
さて、クラブ計測をしていこう。数値はすべて実測値になる。クラブ長さが実測で45.375インチとやや長いが、クラブ重量が268.0gと非常に軽いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体慣性モーメントが279万g・㎠に抑えられている。この数値だとドライバーのヘッドスピードが38㎧くらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計といえる。
Point1 クラブ重量が268.0gと非常に軽い
Point2 クラブ全体慣性モーメントが279万g・㎤と小さい
Point3 左右方向のヘッド慣性モーメントが4800g・㎤とやや大きい
適度なスピンで球が上がりやすい
ヘッドから見ていこう。全体に丸型ながらも横幅が非常に広い形状だ。またヘッドの後方が低い、いわゆる「シャローバック」なので、アッパーブロースウィングがイメージしやすい。アドレスでは綺麗なスクエアフェースに見えるが、3種類ある兄弟モデル『エピックシリーズ』と比較するとフックフェース設計になっている。また『エピック LS』ほどではないが、小さなフェースプログレッションで球をつかまえようとしているのもわかる。そのほかの特徴としては、ヘッドにいわゆるカチャカチャがないシンプルな構造も挙げられる。
さて、実際に試打してみたが、アドレスではスクエア感が出ており、ヘッドの横幅が広くかつシャローバックなので、アッパースウィングで球が上がるイメージが出ている。試打クラブは10.5度で純正シャフト(フレックスSR)仕様だったが、クラブ重量が非常に軽いので振りやすく、シャフトも軟らかめの設定。フレックスがSRであれば、ヘッドスピードが37㎧程度のゴルファーが合いやすいのではないかと思う。
リアルロフト角は、前モデルの『マーベリック MAX FAST』よりも厳しくなったが、低重心率が65%と高重心設計。ヘッドスピードがそれほど速くないゴルファーでも適度なスピンが入り、球が上がりやすく、弾道も安定しやすい。そして、ヘッドのネック軸周りの慣性モーメントは7893g・㎠と大きいので、ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかで軽いフェード系弾道が打ちやすいと感じた。実際にマイドライバーでキャリーが170~180ヤードくらいのゴルファーにも打ってもらったが、ストレート系の綺麗な弾道で自分のクラブよりも飛距離が出ていた。
【クラブ&ヘッドデータ実測値】
キャロウェイ
エピック MAX FASTドライバー
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2021年8月24・31日号より