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【ギアラボ】「MAX FAST」の登場でキャロウェイ「EPIC」がゴルファー包囲網を完成させる

ギアラボ
2021.07.21

PHOTO/Takanori Miki、Hiroaki Arihara
THANKS/クールクラブス

人気拡大が続くキャロウェイ『EPIC』に、新たに『MAX FAST』が仲間入り。その名の通り、振りの“速さ”、ボールの“速さ”が特徴だとメーカーは謳う。ポイントは“軽量化”だが、決してヤワではなく、ヘッド速度40m/s前後の人が力強く飛ばせるという。軽さを武器にした新モデルの登場で、EPICのゴルファー包囲網はさらに広がるのか。

「MAXファスト」を打って驚いた

振り切れる範囲で重いほうが
飛ぶんじゃなかったの?

3人の目利きが試打

(右)平野義裕さん【ヘッド速度45m/s】
東京・スイング碑文谷内にある「クールクラブス」のカリスマフィッター。プロ、アマ問わず信頼が厚い。52歳
(中)植竹愛海さん【ヘッド速度39m/s】
ジュニア時代から活躍し、日本女子オープン出場経験などを持つ実力派。ツアーで活躍中の植竹希望は実姉。20歳
(左)佐多俊一さん【ヘッド速度40m/s】
大学時代はゴルフ部に所属。現在はドライバーを軽く、短くして飛距離アップを目指している。51歳

ツアープロのトレンドも
“軽め”スペックに移行中

『EPIC MAX FAST』の実力を知るために、3人のゴルファーに試打を依頼。性能差をより感じ取るため、他のEPIC3モデルと比較した。

ヘッド速度40m/sの佐多さんは飛距離的には『SPEED』が最長だったが……。

「ただ、今の自分のクラブより少し重いのが気がかり。その点『MAX FAST』は、軽量だから速く振れるし、頼りなくない。18ホール、最後まで余力を持って振れそうなのは魅力です」

フィッターの平野さんは、試打結果からこう分析する。

「軽いぶん、ヘッド速度が上がるのは当然ですが、だからといって当たり負ける感じがないんです。プロのトレンドも“軽め”にシフトしている。“クラブは振り切れる範囲で重いほうがいい”という説は過去のものになるかもしれません」

平野さん
本命:EPIC SPEED 対抗:EPIC MAX LS
「『SPEED』の顔が好きで気持ちよく振れました。『MAX FAST』はもっと頼りないかと思いましたがそんなことはなかったですね」

植竹さん
本命:EPIC MAX FAST 対抗:EPIC MAX
「『MAX』のほうが飛んでいるかなと思ったけど、一番飛んだのは『MAX FAST』。甲乙つけがたいけど、軽いぶん、速く振れますね」

佐多さん
本命:EPIC SPEED 対抗:EPIC MAX FAST
「『MAX FAST』のHS アップ効果は明らか。自分自身、ヘッドを軽くしたばかりだったので、“軽いと飛ぶ”を確信しました」

ヘッドの軽さ
スピードによる威力を生む

解説/鞍部飛造

くらぶとびぞう。某メーカーで開発に携わった後、自分の理想とするクラブを求めて飛び出した。最新クラブの性能にも精通する

軽量モデルはなんとなく頼りない、ラクに振れてもしっかり飛ばせるイメージがない、という人も多いだろう。しかし、試打では、軽量でもしっかりと飛ばせる結果に。鞍部所長は言う。

「以前は軽量=非力向けというコンセプトで、ただシャフトを軽くヤワにするタイプが多かったが、たとえば“D1”のスウィングバランスを維持しようとして、ヘッドは重いまま。結局、クラブ全体の慣性モーメント(MOI)はそれほど下がらず、ヘッドスピードも上がりにくい仕上がりだった。ところがここ数年、ヘッド重量を下げてヘッドスピードを上げる、というベテランプレーヤーにもうれしいモデルが登場するようになってきた。この『EPIC MAX FAST』もそのひとつだな」

振るスピードを上げるには「クラブ全体のMOI」を“下げる”ことが最優先、と鞍部所長。

「それにはシャフト重量ではなく、長さを短くするか、ヘッド重量を下げないと効果は薄い。長さを短くするのは、ヘッドスピード面でマイナス要素が大きいから、ヘッドをなるべく軽くするのがベストだな」

ヘッドのエネルギーは、重量より“速度”のほうが効いてくる。『EPIC MAX FAST』のヘッドは『EPIC MAX』より約11gも軽い。

「それでも当たり負けるような軽さじゃあない。スピードのメリットだけが生きるんだよ」

FW&UTも軽く、やさしく
気持よく振りきれる!

EPIC MAX FAST FW

2つのスクリューウェイトで『EPIC MAX』より約9gもヘッドを軽量化。5gと2gのウェイトを前後入れ替えることで弾道調整が可能。ドローバイアスでつかまりやすい。番手は3、5、7番をラインナップ

EPIC MAX FAST UT

軽量コンセプトを踏襲しつつ、クラウンがフラットで全体に丸みがあるフェアウェイウッド型ヘッドを採用。フルスコアライン化されたフェースとともに構えやすさが向上した。番手は3H、4H、5H、6H、7Hと豊富

「アイアン」もボール初速がスゴい

ぶっ飛び性能がさらに進化
正当派顔の怪物

今回の『MAX FAST』シリーズにはアイアンが新たに加わった。デザインや構造を見ると、2年前に発売された激飛び系『EPICフォージドスター』の後継モデルのようだ。

いずれも中空構造で、内部にはタングステンとウレタン素材を充填しているが、今回はタングステンを約55gにまで増量し、ソール下部に配置。その効果はいかなるものか。

「ロフトはともに7番で26度ですが、弾道は明確に違います。前モデルは、とにかく弾く印象。そのぶん弾道が低めでスピンも入りにくいため“止める”という部分では不安もありました。一方今回の『MAX FAST』は、弾くけれども打ち出しが高く、スピンもかかる。落下角度が40度以上あるので、通常のグリーンならしっかり止まるレベルです。それでいて飛距離は従来以上で、構えた感じはさらにすっきりさせたことが凄い。飛距離は欲しい、でも激飛び系アイアンのぼってりした感じは苦手、というキャリアの長いゴルファーでも違和感なく使えますね」(フィッター・平野さん)

(左)ソール内部の約55gものタングステンの効果で、7番で26度というストロングロフトでもしっかりキャリーを出せる。(中)ヘッド後方のふくらみはほとんど姿を消し、構えるとブレードアイアンにも通じる“いい顔”に。(右)飛距離アップ、スピン性能の向上は、AIが設計したフェース形状が大きく寄与。フェースカップ構造はスイートエリアも広がる

ヘッド内部には異素材がてんこ盛り!

重いタングステンをソール下部に置くことで低重心に。またその周囲にウレタン・マイクロスフィアという素材を充填することで、反発を損なわずに打感も向上した

新旧モデルを打ち比べ

飛ぶだけじゃなく止まるように進化した

(左=前モデル)
EPIC FORGED STAR
(右=新モデル)
EPIC MAX FAST

打ち比べると、平均で打ち出し角が3度、スピン量が600回転アップ。よりアイアンらしい弾道に進化した

●「MAX FASTアイアン」ココがいい1
圧倒的な飛距離につながる高い初速性能

“パチッ”という心地よい打球音でボールの弾きが良い。初速も速く、AI設計のフェースの効果が感じられる。クラブ全体も軽めなので、ヘッドスピードアップとの相乗効果で大きな飛びが期待できる

●「MAX FASTアイアン」ココがいい2
ストロングロフトなのに高さが出てスピンも入る

タングステンの効果で高打ち出しに、AI設計のフェースでスピンが入るためボールを止められる。加えて“軽量化”によってヘッドスピードが向上することもボールが上がって止まる要素になっている

●「MAX FASTアイアン」ココがいい3
激飛び系にありがちなボテッとした感じがゼロ

トップブレードは薄めでネックはセミグース。ブレードの長さも適度なので、ラフからでも問題なく振り抜けそう。デザインがスタイリッシュで激飛び系にありがちな“いかにも感”がないのもいい