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【ヘッドデータは嘘つかない】適正ロフトでラクに上がる。フォーティーン「PC-3」アイアン

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はフォーティーンの『PC-3』アイアンを取り上げる。

球が上がる目安はロフト30度

フォーティーンは「難しい」「上級者が使うメーカー」と思う「ドライバーのヘッドスピードが40㎧未満」のゴルファーに向け、フォーティーンが満を持して発売するのが『PC-3 アイアン』だ。「やさしさ」を生み出しているのは、フォーティーンがウェッジで培ったノウハウが盛り込まれたソール形状。リーディングエッジ側に地面を受ける面を作ることでインパクト時のダフリを補正し、距離のバラつきを軽減させる。また、これまでの知見から、アベレージゴルファーが球を上げられるロフト角は30度が境界線という結論に基づき、7番で30度を基準に、ロフトピッチも広げ、距離の階段をしっかり作れるように設計した。

クラブを計測していく。いつもどおり、数値は7番アイアンの実測値だ。クラブ長さは37.375インチと長いが、クラブ重量が353.2g(標準カーボン仕様)と非常に軽く、スウィングウェートもC7.5と小さいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントが255万g・㎠に抑えられ、ドライバーのヘッドスピードが35㎧くらいのゴルファーがタイミング良く振れる設計になっている。

Point1 7Iのクラブ長は37.375インチで一般的な6Iの長さ
Point2 クラブ重量が353.2gと非常に軽い
Point3 スウィングウェートがC7.5と小さい

シニアゴルファーでも振りやすい

フェースは長く大きく、いかにも打ちやすそうなヘッドで、トップラインは丸く、アップライトなライ角とグースネックで球をつかまえるイメージが出ている。アドレスでは安心感があり、スコアラインがややトウ寄りに入っているので、球をトウ寄りに置いて構えるゴルファーに向いているといえる。

試打クラブは7番で標準のカーボンシャフト(FT-50i)が装着され、クラブ長さは一般の7番アイアンよりも長いが、クラブが軽くかつスウィングウェートも小さいのでクラブ慣性モーメントが小さくなり、非力なシニアゴルファーでも振りやすくなっている。

ヘッドスピードが上がることによって球が上がりやすく、一般の7番アイアンよりも高い弾道(8番アイアン並みの高弾道)を打つことが可能だ。また、フェース面は硬くインパクト音も高いが、フェースが球をしっかり弾いているのがわかる。フェースは長いが、ヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが5851g・㎠と大きすぎないので、ダウンスウィングでのヘッドの返りもスムーズで、球をつかまえられる。そして、対象ゴルファーであるHS40㎧くらいのシニアゴルファーにも打ってもらったが、クラブが振りやすく球も上がり、また球が右に出なかった。最近流行の7番で25度くらいの超ストロングロフトアイアンよりも、この30度くらいのアイアンの打ちやすさを再認識できたという声が多かった。

左から5I(24度)、7I(30度)、9I(39度)。アップライトなライ角とわずかなグースネック(FP値=3.4㎜)により、球がつかまるイメージが出ている

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

フォーティーン

PC-3 アイアン

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2021年7月27日号より