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【わかったなんて言えません】Vol.39 「許されるなら、15本入れたい……」

TEXT/Yuzuru Hirayama PHOTO/Tadashi Anezaki

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。先週に引き続きゲストは出水田大二郎。今回のテーマはクラブセッティングについて。

前回のお話

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん

ご指名/出水田大二郎

1993年生まれ、鹿児島県出身。九州ジュニアで4連覇後2011年プロ入り。ツアー1勝。持ち味は183㎝の体格を生かしたビッグドライブ

時松 出水田さんのすごいところは、とにかくショットです。一緒にラウンドした際に間近で見ていると、3番アイアンの出だしの角度がエグいっす。3番であれだけのハイボールを打つって、本当に難しい技術ですから。

出水田 
そう? 自分ではあまり難しいことをしているという意識はないんだけど。

時松 僕には無理なので、3番は中空のユーティリティに頼っています(笑)。大二郎くんって、3番アイアンはもちろん、2番アイアン(18度)も使っているんですよね。クリーク(5番ウッド)は入れていない?

出水田
 ウッドはドライバーとスプーンの2本のみ。やっぱり馴染んでいる2番アイアンが好きなんだよね。

時松 2番アイアンを入れているプロ、少なくなりましたよね。

出水田 僕、今年からウェッジを3本入れてみることにしたんだよね。ずっと課題だったのは、100ヤード以内のアプローチだったから。練習はしているけど、まだまだ下手クソやなあと。攻め方の引き出しが少なすぎるように感じていたんだよね。

時松 これまではウェッジは52度と58度の2本を入れていたんですよね?

出水田 このオフにも、かなりいろんな寄せ方を練習はしたけど、今年から52度、56度、60度の3本にしてみた。それは秋吉(翔太)さんのセッティングを参考にさせてもらって、アプローチ技術ももちろん高めていく必要があるけど、道具でもカバーできる部分はしていこうと。さっきの源蔵のユーティリティの話と似ているね。

「今年からウェッジを52度、56度、60度の3本に。アプローチ技術も高めてはいきながら、道具でカバーできる部分はしていこうと思います」

時松 ウェッジを1本増やせれば、寄せ方のバリエーションも増えるでしょうね。ウェッジを1本増やす人って、クリークを抜く人が多いじゃないですか。秋吉さんもそうですよね。大二郎くん、クリークはもともと入れていないから、何を抜いたんですか?

出水田 2番アイアンはどうしても残したかったから、その下の、さっき話に出ていたキャビティの3番アイアンを抜いてみた。もちろん、3番が不要ってことではないけど、今のところそれほど大きな問題はないかな。

時松
 僕も、できればウェッジを3本入れたいんです。でもクリークは使う頻度が多いからどうしても抜けないし、かといってユーティリティも、絶対に抜けない。悩ましいところなんです……。

出水田 クラブセッティングは、自分がどのシチュエーションを重視するか。できることなら源蔵もウェッジ3本使いたいというのはわかるけど、アプローチのバリエーションのために、自分の強みを犠牲にするわけにはいかないのもよく理解できる。

時松 ドライバーで飛ばして残りはアイアンかウェッジ勝負、というわけには、僕の場合はいかないですから。クリークやユーティリティの精度こそが生命線なので。だからウェッジ3本はあきらめています。とはいえ、深いラフからでもフワッと上げられる60度は、やっぱり魅力的。15本まで許されるなら入れたいっす!(笑)。11本で優勝したパグンサンプロとは逆ですね。

出水田
 セッティングをこれだけ悩んでも、クラブって不思議で、14本のうち、1ラウンドして1度も使わなかったクラブって、よくあるよね(笑)。

時松 今日は6番アイアン握らなかったな、とかね。

出水田 
だけど源蔵は僕から見れば、2本のウェッジであそこまで転がしたり上げたりできているんだから、羨ましく思うよ。源蔵はアプローチがホントに上手。どこがいいかって、スウィングのテンポ。アプローチって、どうしても早打ちになったり、ガツッと強めに入ってしまったりと、いろんなミスが出やすいんだけど、どんな場面でもテンポが変わらない。ゆったりテークバックして、トップからフィニッシュまでのテンポがいつも一定。あれだとミスは出にくいだろうなと思いながら見ている。

時松
 そうですか? テレビに映っているとき、ロブで狙って失敗したらみっともないからと、転がしたことがあったんです。すると後日テレビ観戦していた知人から、「あそこは勝負所なんだからロブでピンそばを攻めないと~」と指摘されました。おっしゃるとおりです!

出水田 転がしておけば大怪我はないからね。やっぱり上げるのは勇気が必要になってくる部分もあるよね。

時松 
その勇気、ほしいっす。最終日、ここは勝負所だと自分でもわかっているんですけど、ロブで攻めたくても、失敗してグリーンに乗らずに足元へコロコロと戻ってきたらと想像してしまうだけでも恥ずかしくて(笑)。

出水田 源蔵の場合、大得意のパッティングがあるから、ロブでの大怪我を避けるというのも正解かもよ。(つづく)

週刊ゴルフダイジェスト2021年7月13日号より